「たち寄らん陰とたのみし椎が本 むなしき床になりにけるかな」 (椎本)
「椎本」の巻名にもなった「椎」を調べてみた。
(画像は城南宮の「源氏物語の庭ー草木の栞」よりツブラジイ)
「椎の木。
常盤木(ときわぎ)はいづれもあるを、
それしも葉がへせぬためしにいはれたるもをかし」(枕草子)
常盤木(ときわぎ)はいづれもあるを、
それしも葉がへせぬためしにいはれたるもをかし」(枕草子)
常緑樹。また椎の樹皮で喪服の色を染めた。「椎柴」は喪服を意味する歌語。
また椎に四位をかけて官位の不遇を訴えた。
椎・椎柴は人里離れた地を表す。 (知っ得古典文学植物誌より)
また椎に四位をかけて官位の不遇を訴えた。
椎・椎柴は人里離れた地を表す。 (知っ得古典文学植物誌より)
この歌の「椎が本」の「椎」は宇治八の宮を表す。
この歌は宇津保物語にちなむ。
「うばそく(優婆塞)が行ふ山の椎が本 あなそばめし床にしあらねば」をひく
(出家したうばそくの宮はお亡くなりになって、
そのご修業のお席もむなしく跡をとどめているだけだ) 「新潮日本古典集成頭注」参照
「うばそく(優婆塞)が行ふ山の椎が本 あなそばめし床にしあらねば」をひく
(出家したうばそくの宮はお亡くなりになって、
そのご修業のお席もむなしく跡をとどめているだけだ) 「新潮日本古典集成頭注」参照
同じような木にクヌギ(橡)とコナラ。どちらもドングリ(団栗)が出来る。
(源氏物語の庭より)
クヌギ コナラ
(源氏物語の庭より)
クヌギ コナラ
実の形が違うようだ。
↑クヌギは字の通り古名は「つるばみ(橡)」で、染色に使用。
ダークな喪系の色になる。
ダークな喪系の色になる。
コナラは「ははそはら(柞原)=コナラの茂る原野」 →
万葉集で母の枕言葉がある。「ははそ葉は母の命・・」(万葉集)
一名「ハハソ」、ホーソ(柞)、ナラ(楢)とも。
万葉集で母の枕言葉がある。「ははそ葉は母の命・・」(万葉集)
一名「ハハソ」、ホーソ(柞)、ナラ(楢)とも。
源氏物語では
「菊の籬(まがき)、我は顔のははそはら・・」(乙女)
(源氏物語の庭より)
「菊の籬(まがき)、我は顔のははそはら・・」(乙女)
(源氏物語の庭より)
ついでに浅茅(あさぢ)は「茅(ちがや)または茅萱」
茅は原野に自生、春に銀白色の小花を穂に集め、
ススキのようなこの穂をツバナ(茅花)といい、若い花は食用にする。
茎や葉は屋根葺用。
一面に生えた丈の低い茅萱をいう「浅茅」は歌語になり、
浅茅が原、浅茅が露、浅茅生の語が生まれている。(知っとく古典文学植物誌より)
茅は原野に自生、春に銀白色の小花を穂に集め、
ススキのようなこの穂をツバナ(茅花)といい、若い花は食用にする。
茎や葉は屋根葺用。
一面に生えた丈の低い茅萱をいう「浅茅」は歌語になり、
浅茅が原、浅茅が露、浅茅生の語が生まれている。(知っとく古典文学植物誌より)
人里離れた秋の植物達。画像は「源氏物語の庭」より白茅。