源氏物語と共に

源氏物語関連

源氏物語の写本

2010-03-31 10:47:50 | その他

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昨夜は桜と日本人をテーマにしたTVを見ました。


C・Wニコルさんが、京都の冷泉家を訪れるという内容でしたが、
とても面白かったです。次回も楽しみです♪


奈良時代は中国文化の模倣。
中国でもてはやされた梅が万葉集に歌われ、
桜を詠んだ歌は梅より少ない。


花といえば桜をさすようになったのは平安時代になります。


平安時代は日本独特の国風文化が進み、
古今和歌集などから、
桜と和歌が結びついて日本人に好まれたいう事も
大変興味深いものでした。
はかなく散る美しさも日本人独特の感性です。


そういう意味で、和歌の流れの
800年も続く冷泉家の財産の貴重さを
改めて感じました。


源氏物語の原文は、当然現在では残っていませんが、
定家が鎌倉時代に写本したという青表紙本などが伝わり
そこから、今ある写本の系列を推定できるそうです。


1番古い200年後の鎌倉時代に写されたという藤原定家の青表紙本(4帖現存)、
同じく鎌倉時代の河内本といわれるもの(現存せず)、
その河内本を直接写したとされる
北条実時の尾州家河内本(54帖現存)、


室町時代に青表紙本を写したとされる大島本(53帖現存)、
江戸時代に青表紙本を写したとされる湖月抄他様々なものが伝わっています。


現在一般に使われている原文は、その定家本を中心に作られました。


☆定家の直筆とされる
青表紙定家本4帖(花散里・柏木・早蕨・御幸のみ現存)
☆明融本(定家の筆跡に似せた53帖が現存。
そのうちの桐壺、ははきぎ、花宴、花散里、若菜上下、柏木、
橋姫、浮舟の9帖は定家様式で、奥入がある。
しかし、定家様でないようなものもある)
☆大島本(浮舟以外の53帖現存。巻末に奥入あり)


これらを適宜に取り合わせて作られたものだそうです。


同じ定家系列の写本でも、文は微妙に違っています。
人間の手によるものですから
写す時に間違いがあります。
同じ言葉の所で段落が飛んだり、
字が抜け落ちたりしています。
大変ややこしいですね。


書き写した人が、
後から文を書き加えたものもあるそうですから、
もとの紫式部の原文を推し量るのは大変難しいでしょう。


紫式部日記にも道長が式部の留守中に、
勝手にまだ清書されていない源氏物語を持っていったというくだりがありますから、
当初から原文が散逸された源氏物語ともいえるでしょう。


その結果、巻数も特定できず、文献には出てくる
今は伝わらない「輝く日の宮」などの巻を道長が隠したという
想像小説までできるロマンがあります。。


しかし、その文の類似性によって
写本の系列を見つけることができるのは面白いと思います。
写本の形や大きさで判断するという
大変気の遠くなる作業と思いますが。


一方で定家系列でないものは、
別本としてひとまとめにされていますが、
もしかしたら、
案外別本に原文が伝わっているものもあるのかもしれません。
そういう意味で昔の注釈本なども注目されます。


もっとも、鎌倉時代に定家が写したとされる青表紙本は、
他の写本も当然比べているでしょうから、
1番文としては良いものが残ったのかもしれません。


しかし、原文でも読みやすいものや、
全くわかりにくいものがあるのは
このあたりが原因なのかもしれません。


国宝源氏物語絵巻は青表紙本より前に作られたものと思うのですが、
その場面や文の言葉もあまり違いはないとしたら、
その内容はこの頃にすでに定着していたのでしょう。


新しい知らない場面の絵巻など出てくるとまた面白いものになるでしょう。


とにかくこの源氏物語は、
その人気ゆえに時代の変遷と共に大きくなりすぎた感もしますが、
そのおかげで今も伝わっているのですから、すごいものです。


1000年前に生きた一介の寡婦・紫式部のこの物語は
今も伝わる日本の財産の一つでしょう。