今の季節、我が家でも<撫子>の花が咲いています。
残念ながら薄いピンク色は枯れてしまったので、白色の方です。
撫子には外来産のセキチク(石竹)と日本産(大和撫子)の2つがある事を
買いに行った園芸店で知りました。
どちらもダイアンサスという種類。
源氏物語でも撫子は夕顔の忘れ形見・玉鬘のイメージです。
実際、玉鬘十帖の中に季節的にも撫子がよく出てきます。
枕草子にも
『草の花はなでしこ、唐のはさらなり、やまとのもいとめでたし』とあります。
1000年以上前からすでに撫子は2種類あったという事ですね。
花の時期が長いので<常夏>ともいうそうです。
先日、唐撫子の<石竹>を見かけたので買いました。ダイアンサスと表示され、
鮮やかな濃いピンク色でした。
我が家で咲いている撫子は大和撫子です。日本の撫子も色々な種類があるようです。
以前は河原撫子も河原に生えていたのに、最近は見かけなくなったと教えてもらいました。
撫子色についても調べてみました。
『なでしこの細長・・』 (胡蝶)
『紫苑、撫子、濃き薄きあこめどもに・・』 (野分)
細長とは着物の種類。
重ね色目で見てみると、いわゆる赤系です。
長崎盛輝『重ねの色目』 (3番目の写真)
これならば、唐産の石竹の色からとっている事になります。
しかし、吉岡幸雄『日本の色事典』では、撫子色は淡い紫がかった薄紅色とされ、
薄いピンク色でした(2番目写真の右ページ左下)
しかも重ね色目も、諸説あるがピンクと緑系にされています。
石竹色も一緒に載せておられ(2番目左ページ)
同じ淡い紅色でも撫子色よりも濃い色とされていました。
和泉式部の唐撫子の和歌も記述されていました。
『みるがなほこの世のものとおぼえぬは
からなでしこの花にぞ有りける』 (千載集)
からなでしこの花より、私は大和なでしこの方が楚々とした感じで好きなのですが・・(笑)千年前の撫子は今と違っていたかもしれません。
撫子には可愛い子供のイメージもあるので、唐なでしこの色は?
感覚の違いかもしれません。
実際、先日観た<常夏>というの園芸品種の撫子は、花が小さくかわいいものでした。
重ね色目
http://www.kariginu.jp/kikata/kasane-irome.htm
写真は白の撫子、吉岡幸男『色事典』紫紅社、長崎盛輝『かさねの色目』京都書院
セキチク