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米国はいつ「韓国放棄カード」を切るのか

2017-11-12 17:16:38 | 日記

米国はいつ「韓国放棄カード」を切るのか

真田幸光教授と「金融」を通してアジアの火薬庫を読む

鈴置 高史鈴置 高史

2017年11月1日(水)

一部省略

 米国は韓国をいつまで同盟国と見なすのだろうか。

愛知淑徳大学の真田幸光教授と「通貨戦争」を通じ考えた(司会は坂巻正伸・日経ビジネス副編集長)。

摩訶不思議な中韓スワップ

中韓通貨スワップは、本当に存在するのでしょうか?

鈴置:多くの人が首を傾げています。

中韓スワップの期限が切れた翌々日の10月12日になって、韓国銀行の総裁が「結び直した」「延長ではないが、延長と同じだ」などと、立ち話で語りました。

 しかし正式発表はなく、韓国銀行のサイトは10月31日になってもこのスワップに関する報道資料を一切、載せていません。

問い合わせを受けた中国側も「韓国に聞け」と言うだけです(「『懲りない韓国』に下す米国の鉄槌は『通貨』」参照)。

 
 
真田 幸光(さなだ・ゆきみつ)
愛知淑徳大学ビジネス学部・研究科教授

真田:中韓の間に口約束はあるのでしょう。皮肉な言い方をすれば、協定を正式に結んだかはあまり関係ない。

合意書があっても、様々の理由を付けて守らない国もあるのです(笑い)。

鈴置:確かに(笑い)。中韓スワップ協定が満期になる前から、THAAD(地上配備型ミサイル迎撃システム)の韓国配備により中国が協定通りに人民元を融通するのか、疑問符が付いていました。

 ただ、「米国の向こうを張る大国」を中国は自称し始めました。正式な協定書にサインし世界に発表した後では、さすがに反古にしにくい。

 中国は韓国に外交案件で譲歩させた後に、見返りの一部として正式にスワップを結ぶつもりと思われます。

米韓同盟廃棄の呼び水

「譲歩」とは?

鈴置:10月31日、韓国外交部はそのサイトに「韓中関係改善に関連した両国の協議の結果」という題目の報道資料を載せました。

 これによると、韓国は「在韓米軍のTHAADは中国を狙ったものではない」と中国に一札を入れました。中韓合意のその部分を以下に訳します。

  • 韓国側は、中国側のTHAAD問題に関連する立場と懸念を認識し、韓国に配置されたTHAADは、その本来の配置の目的からして第3国を狙うものではなく、中国の戦略的安全保障の利益を損なわないことを明らかにした。

 「在韓米軍に配備されたTHAADは中国を狙ったものではない」と韓国は説明してきました。

それを文書化させられたわけで、これは大きな譲歩です。

 北朝鮮の核問題が何らかの形で解決すれば、中国がこの文書をかざして韓国に「もうTHAADは不要だろう。米国に撤収させろ」と要求するのは確実です。

 一方、在韓米軍が中国の弾道ミサイルから自らを守るTHAADなしに駐留を続けるかは疑問です。結局、この合意は在韓米軍の撤収、ひいては米韓同盟廃棄の呼び水となります。

詫び状を差し出せ

大きな譲歩ですね。

鈴置:中国は韓国に猛烈な圧力をかけていた模様です。

一部の韓国紙は合意文の発表前に「中韓首脳会談に応じてもらうため『THAAD配備は中国の利益を毀損した』との詫び状を差し出す可能性がある」とまで報じていました。

 これを報じたのは朝鮮日報。「韓中、THAAD葛藤の『出口戦略』を水面下で交渉」(10月26日、韓国語版)のポイントを訳します。

  • 中韓両国は関係正常化を目指し、THAADによる葛藤を縫合し得る共同声明ないし合意文の発表を進めていることが確認された。

 

  • 早ければ11月10日のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)など多者首脳会談の前後に発表できるよう、実務者の間で協議中だ。

 

  • 政府消息筋は「韓国は当初、韓中首脳会談を開き、その共同声明文を通じてTHAAD問題を解決したいと望んだ。

しかし中国側が「THAAD(配備への許可)を撤回するか、少なくともTHAAD配備が中国の核心利益を侵害したことを認めてこそ、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の訪中は認めることができる」と、首脳会談の実現の前提条件として合意文を要求していると語った。

 この記事により「中国に屈するのか」と韓国は大騒ぎになりました。

10月27日には青瓦台(大統領府)が記事を全面否定しました。

聯合ニュースの「THAAD巡る『中国への遺憾表明検討』報道 韓国大統領府が否定」(10月27日、日本語版)などで読めます。

 結局、韓国は「詫び状」を差し出すことは許してもらったものの、米韓同盟破棄の呼び水となる一札を取られてしまったのです。

口約束に留め、食い逃げ防止

「詫び状か」「同盟破棄か」の2択ですか……。

鈴置:そんな中で「スワップを延長してくれ」と哀願するのですから、韓国金融当局の立場は極めて弱かった。

でも、中国はこの「大きな獲物」に満足し「正式なスワップ」を結んでやるのではないかと思います。

真田:私は鈴置説と比べ、もう少し韓国の運動空間は広いと見ています。前回に申し上げた通り、米ロがタッグを組む方向にあります。

 当然、中国は国際社会でのポジションの悪化を懸念せざるを得ません。スワップで貸しを作り、韓国カードを確保しようと考えても不思議ではないのです。

 ことに今、韓国は米国に寄り始めました。THAAD配備を認めたこともそうですし、米韓の共同軍事訓練にも力を入れている。

高まる北朝鮮の脅威に対し、文在寅政権も知らん顔というわけにいかないのです。

 中国は米ロの関係改善と、韓国の米国への若干の回帰という新たな状況に対応し、スワップで韓国の取り込みを図った。人民元スワップとはいえ、通貨危機に怯える韓国にとっては安心材料です。

 ただ韓国はスワップを付けてもらったら調子に乗り、米国にさらに寄るかもしれない。

そこで中国は、スワップは結ぶものの正式な締結ではなく「口約束」に留めたのだと思います。

鈴置:韓国は日本にスワップを付けてもらった瞬間、思い切り手のひらを返して卑日三昧しました。

韓国は「食い逃げの達人」です(「5年前、韓国は通貨スワップを『食い逃げ』した」参照)。

大甘の日本と比べ、脇の固い中国なら韓国に騙されないでしょう。

日本もスワップを結べ

韓国が「中国とスワップを結んだぞ。日本は孤立した。日本も我が国と結んだらどうか」と言ってきませんか?

真田:2008年当時はそうしましたが、今回はさすがに言って来ないでしょう。

安倍晋三政権はトランプ(Donald Trump)政権と完全にスクラムを組んでいる。

 その米国は「通貨」を対韓圧力の一環として使っています。

日本に結べと要求しても埒が明かないことは、韓国も承知していると思います。

 日本にスワップ締結を要求して断られたら――今の段階ではそうなると思いますが、マーケットの韓国を見る目はさらに厳しくなりますしね。

10月に入り、韓国株は連日のように史上最高値を更新しました。為替も落ち着いています。

真田:逆に、だから怖いのです。
 
ヘッジファンドは韓国への投資をいったん手仕舞いする機会を見計らっています。
 
売り抜けるのなら株も為替も高い方がいいに決まっています。彼らがそうしたポジションを作っていると見ることもできます。

 米金利は年内に上がる可能性が高い。

すでにドルとウォンの金利差はなくなっています。米利上げで、資金が韓国からどっと流れ出すかもしれないとの観測が高まっています。

ファンドはそのタイミングを見守っていると思われます。

 邦銀も韓国の金融機関や企業に対し、貸し渋っています。

北朝鮮の核危機への懸念が主な原因ですが、韓国から資本が逃げるということでは同じです。

八方塞がりの韓国経済

ウォン金利も上げればいいのでは?

鈴置:韓国経済は家計負債門問題というアキレス腱を抱えています。

金大中(キム・デジュン)政権以降、歴代政府は国民に借金させて景気を維持してきました。

 2016年末には家計負債はGDPに相当する額に膨らんでいます(日経・電子版「韓国経済に『家計負債の死角』 GDP回復も危うさ」=10月26日=参照)

 ウォン金利を上げれば、借金の返済額が増えて消費が減ります。

貸し倒れも増えるので金融システムに打撃を与えます。いずれも資本逃避の要因になります。

 韓国は金利を上げても資本逃避に直面しかねず、上げなくても資本逃避の可能性が高い、という八方塞がりの状況にあるのです。

米国も許さない「敵塩」

日本としては、資本逃避によるウォン安を防ぐため韓国とスワップを結ぶべきだ、と言う人が出そうです。

真田:それは「敵塩(てきしお)」――敵に塩を送ることになります。

先ほど鈴置さんが韓国を「食い逃げの達人」と評しました。

韓国政府の最近の対日外交姿勢を見ていると、私にも「義のない国」としか思えません。

 日本からスワップを付けてもらった瞬間、強気になり、中国側にすり寄る可能性が高い(「『中国側に寝返る韓国』にスワップは追い銭」参照)。

 だからこそ、現段階では米国も日韓スワップは認めないと思います。

1997年の通貨危機の際もお灸をすえるために、韓国を助けようとした日本を止めました(「米国は『日韓スワップ』を許すか」参照)。

鈴置:2017年1月6日、日本がスワップ交渉を打ち切ったのは、釜山の日本領事館の前の慰安婦像を認めるなど、慰安婦合意を堂々と破ったからです(「『百害あって一利なし』の日韓スワップ」参照)。

 韓国はその後も、念を入れて合意を踏みにじっています。

日本大使館前の慰安婦像を自治体の管理下に置いて撤去しない姿勢を明確に打ち出しました。

そのうえ、慰安婦追悼碑の設置を計画しています。日本はよほどのことがないとスワップ再開に応じないでしょう。

 自民党の閣僚経験者の秘書から聞いた話ですが、韓国が「卑日」するたびに、代議士の事務所に支持者から「日韓議員連盟をやめろ」との電話が相次ぐそうです。

いわゆる「リベラル派」が政権をとってもスワップ再開は困難でしょう。

スワップと民主党

でも、日韓スワップがないとウォン安になって、日本企業が不利になりませんか?

鈴置:それは完全な誤解です。逆なのです。

日韓スワップがあるから韓国は安心してウォン安に誘導できるのです。

資本逃避が起きないかと市場が神経質になっている時、韓国の金融当局はその引き金になりかねないウォン安誘導策はとれなくなります。

 2008年の韓国が通貨危機に陥りかけた際、李明博(イ・ミョンバク)政権は日米とのスワップを利用してウォン安を維持しました。

 一方、日本は2009年9月から民主党が執権。

米国との関係を悪化させたため為替政策でも米国の協調を得られず、対ドルで1ドル=80円を切る円高にもなりました。

 「民主党の円高」と「スワップによるウォン安」が相まって、円・ウォンレートは2007年に1円=約8ウォンだったのが、2009年から2012年まで13―14円前後で推移したのです。

 これでは日本企業は韓国の競合会社と勝負できません。

日本はすっかり輸出競争力を失い、景気も低迷しました。

 日経・電子版の「『最強連動通貨』と日本株の不思議な関係」(2013年1月14日)によると、2007年から2013年年初までの日経平均株価と円・ウォンレートの相関関数は、何と0.98。

対円でウォン安になるほどに日経平均は下がったのです。これこそ「敵塩」でした。

IMFに追い込む

しかし、スワップを付けないと資本逃避が激化し、韓国が為替をコントロールできなくなる。

そうなったらウォン安が進みませんか?

鈴置:その時は手があります。韓国を一気にIMF(国際通貨基金)の救済に追い込めばいいのです。

そしてIMFの指示として韓国に超高金利政策をとらせれば、ウォン安は回避できます。

 米国も韓国の左派政権を通貨で脅しています(「14年前のムーディーズに再び怯える文在寅」参照)。

今のところ、国の格付けを下げるぞ、と威嚇しているだけですが、韓国が言うことを聞かなくなれば20年前と同じようにIMFに追い込むことに躊躇しないと思います。

真田:そこは微妙です。今回も米国がIMFカードを切るか――。私には疑問があります。20年前と比べ、米国は劇的に国力を落としているからです。

 例えばカザフスタン。この国から中国はエネルギーをどんどん買っています。人民元で支払いますが、カザフは文句を言わずに受け取ります。

 なぜなら、中国から生活必需品を輸入したり、インフラを整備してもらう際に人民元で支払えばよいからです。カザフは人民元経済圏に入りつつあります。

 中国は、周辺国のインフラ整備のためにAIIB(アジアインフラ投資銀行)を設立しました。各国による出資金だけでは大した規模の融資ができませんので、債券を発行して資金調達することになります。

 その際、格付けが重要ですが何と、ムーディーズを含む米欧の格付け会社がAIIBに対してトリプルAを付けたのです。日米の銀行は政治的配慮から、直ちにはAIIBにファイナンスしないと思います。

 しかし、中国封じ込めに関心のない欧州の銀行は、この格付けを見てAIIBの債券を大いに買うでしょう。

中国の金融を通じた周辺国への支配力は格段に増します。今では米国の比較優位は20年前とは比べものにならないほどに低下しています。

 そのような状況で米国が韓国民の恨みを買う「IMFへの追い込み」を実施するか、私は首を傾げるのです。

今度そんなことをしたら、韓国は完全に中国側に行きますからね。

「4カ国戦略対話」からも排除

鈴置:トランプ政権は――米国の金融界は別として、安保の専門家は韓国を同盟のネットワークから外すことは織り込み済みと思います。

 北朝鮮と対峙する今現在は、米国は韓国との同盟が堅固なものと見せたがっている。

北朝鮮への圧迫を最大限に強めるためです。

しかし、北朝鮮の核問題を片付ける過程で「韓国放棄」カードを切る可能性があります。

 トランプ大統領は公然と「歴史的に韓国は中国の一部だった」と語りました(「『韓国は中国の一部だった』と言うトランプ」参照)。

 北朝鮮の核問題解決に協力したら、在韓米軍を撤収や米韓同盟をやめてもよいと中国に約束したのではないか、との推測が広がりました。

 トランプ政権が推進する日・米・豪・印の「4カ国戦略対話」構想からも韓国は排除されています。

中国の包囲が目的ですから、中国にすり寄る韓国を入れないのは当然ですが。

 トランプ大統領の11月5日からのアジア歴訪にも、当初計画では韓国は訪問先に含まれていなかったようです。

 CSISのマイケル・グリーン(Michael Green)上級副所長が中央日報の「トランプ氏、日本だけに行きたかった……訪韓の最大の目的は」(10月23日、日本語版)で語っています。

韓国のヌンチに苛立つ米国

真田:それは米国の韓国に対する「揺さぶり」ではないかと思います。北朝鮮もそうですが、韓国は状況変化に応じて立ち位置を替えていく力――韓国語で言うところの「ヌンチ」があります。

 米・中・朝の間で上手く立ち回ろうとする韓国に、米国は苛立ちを見せているのです。

 


外交礼儀を無視した文大統領の「反日劇」

2017-11-12 16:02:32 | 日記

外交礼儀を無視した文大統領の「反日劇」

アゴラ

 
2017年11月11日 11:30
 
トランプ大統領は7日、2泊3日の日本訪問後、1泊2日の訪韓のためソウル入りした。
 
ホスト国の韓国の文在寅政権は同日夜、国賓ゲストのトランプ米大統領夫妻のための歓迎夕食会を開催し、そこに、元慰安婦の李容洙さん(88)を招待した。
 
日本メディアによれば、李さんの夕食会参席については事前に米国側に報告されていなかったばかりか、韓国外務省も当日まで部外に置かれていたことが判明した。

常識的にみて、国賓歓迎夕食会に招いたゲスト・リストを土壇場まで自国の外務省に伝えない、といったことは考えられない。

それでは誰がオーガナイズしていたのか。韓国大統領府だ。

大統領府はホスト国の米国だけでなく、自国の外務省にも報告せずに李さんを勝手に招待し、トランプ大統領に会わせたのだ。

それでは、なぜ韓国大統領府は外務省に報告せず、李さんを招き、トランプ大統領に会わせたのか。

文大統領は外務省が李さんの招待、トランプ氏との面会計画に難色を示すと考えたからだろう。

韓国外務省の立場は明確だったはずだ。トランプ大統領の訪韓は対北問題で日米韓の一体化を国際社会に向かってアピールする絶好のチャンスだ。

李さんを歓迎会に招待し、トランプ氏に会わせれば、日本側は不快感を示すだろう。

日米韓の3国結束という本来の外交目的と一致しない。

外務省はトランプ氏の訪韓目的を危険にさらすような冒険は避けたいはずだ。

一方、文大統領は確信犯だ。

外務省の抵抗、トランプ氏の訪韓目的などを全て熟知したうえで、李さんを招き、トランプ氏に会わせたのだ。

その結果、韓国は日米韓の3国結束という外交目的を台無しにしたばかりか、日韓に不協和音を再発させてしまったのだ。

なぜ文大統領は外交面で非礼となる危険を冒してまで李さんを招き、トランプ氏に会わせたのか。

文大統領は就任後も機会ある度に、「2015年の日韓両国の合意には国内で少なからずの反対がある」と指摘し、その見直しを強く示唆してきた張本人だからだ。

当時の岸田文雄外相と尹炳世韓国外相は2015年12月28日、ソウルの外務省で会談し、慰安婦問題の解決で合意に達した。

会談後の共同記者会見で、岸田外相は、「日韓両政府は、慰安婦問題について不可逆的に解決することを確認するとともに、互いに非難することを控えることで一致した」と表明。

尹外相は、両政府による合意事項の履行を前提に、「この問題が最終的、不可逆的に解決することを確認する」と述べた(読売新聞と時事通信の電子版参考)。

文大統領は最高統治者だ。

一部の国民が反対したとしても他国との間で合意した外交内容を維持しなければならない立場だ。

国民の一部の声に迎合し、合意内容を一方的に破棄することは統治者として取るべきことではない。

にもかかわらず、文大統領は今回、内政問題を外交の世界に持ち込み、外交礼儀を無視したわけだ。

国際通信社が配信したトランプ氏と李さんの出会い写真をみてほしい。

写真には文大統領の背中が写っているが、文大統領の笑みが微かに見える。李さんも少し笑みを見せながらトランプ大統領と会っている。

韓国紙中央日報(日本語電子版、10日付)によると、ゲストを大統領に紹介する際、トランプ氏の周囲には通訳がいなかったという。

極論すれば、トランプ大統領は元慰安婦が夕食会に招待されていること、自分に挨拶した女性が李さんであった事実を知らされていなかった可能性があるのだ。

文大統領が慰安婦問題を米国側に伝えたいとシリアスに考えていたとすれば、李女史が誰で、元慰安婦だったという事実をトランプ氏に通達すべきであったはずだ。

文大統領にとってそんなことはどうでも良かったのかもしれない。

慰安婦問題は単なる反日攻撃のテーマに過ぎず、日本を国際社会の檜舞台で叩く材料に過ぎないからではないか、といった憶測すら生まれてくるのだ。

夕食会に元慰安婦を招待したことについて、韓国大統領府関係者は、「日韓には慰安婦問題や歴史問題がある。両方を訪れたトランプ大統領にバランスのとれた視野をもってもらう意味がある」と説明したというが、トランプ大統領の訪韓目的には日韓の慰安婦問題は議題に入っていない。

穿った見方をすれば、文大統領も李さんも恣意的に間違った場所でその身元を明確にすることなく、「トランプ米大統領が元慰安婦に会った」という事実だけを願ってトランプ氏に近づいたのではなかったか。

竹島産エビ問題は余りにも子供っぽいテーマだ。

日本と韓国が領有権を主張する島根県の竹島でとれたエビを料理しなくても、素晴らしい韓国料理が多数あるはずだ。

文大統領の国内の反日活動家向けのアリバイ工作に過ぎない。

ちなみに、文大統領が李さんを招き、竹島エビを夕食のメニューに忍ばせた反日劇を最も大声で笑っているのは北朝鮮ではないだろうか。

韓国の外交は文政権下では内政によって変質され、大統領は国民を啓蒙するどころか、一部勢力に迎合するだけだ。

韓国に高い見地からの外交は期待できないことを再度、明らかにしてしまった。

日韓両国に横たわっている問題は、「歴史問題の認識」ではなく、韓国側の日本民族への消し難い劣等感だ。

竹島産エビも李さんの招待も、そのことを悲しいほど端的に示している。