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焦点:中国がウクライナ戦争「徹底研究」、スターリンクに警戒も

2023-03-14 14:27:15 | 日記
ワールド2023年3月10日2:19 午後UPDATED 4日前


焦点:中国がウクライナ戦争「徹底研究」、スターリンクに警戒も



By Reuters Staff

[北京/香港 8日 ロイター] - 
中国が必要としているのは、「スターリンク」の低軌道衛星を撃墜する能力、そして対戦車ミサイル「ジャベリン」から戦車やヘリコプターを防護する能力だ

――これが、米軍主導の勢力との武力衝突の可能性に向けた計画の中で、ウクライナで苦戦するロシア軍を研究した中国の軍事研究者たちが指摘した課題だ。

 3月8日、中国が必要としているのは、「スターリンク」の低軌道衛星を撃墜する能力、そして対戦車ミサイル「ジャベリン」から戦車やヘリコプターを防護する能力だ――これが、米軍主導の勢力との武力衝突の可能性に向けた計画の中で、ウクライナで苦戦するロシア軍を研究した中国の軍事研究者たちが指摘した課題だ。

写真はウクライナ・キーウ地域北部でジャベリンを持つウクライナの兵士。2022年3月撮影(2023年 ロイター/Gleb Garanich)

ロイターは、20以上の国防関連の定期刊行物に掲載された100本近い論文を分析。

台湾をめぐる紛争が生じた場合に中国軍に対して展開される米国製の武器とテクノロジーの影響について、中国の軍産複合体全体で精査が行われている様子が明らかになった。

こうした中国語の定期刊行物には、人民解放軍と連携する大学、国営の兵器製造業者、軍情報機関系シンクタンクからなるネットワーク内における数百人もの研究者の取り組みが盛り込まれており、ウクライナによる妨害工作についても検証が行われている。

中国政府当局者は和平と対話を呼びかけつつ、ロシア政府の行動や戦場での行動について公然と批判するコメントは控えているものの、公開の定期刊行物に掲載された論文では、ロシア軍の欠点に関して、より遠慮のない評価が下されている。

研究者らの結論について中国国防省にコメントを求めたが、回答は得られなかった。

研究者らの結論に中国軍上層部の考え方がどの程度反映されているのか、ロイターでは判断できなかった。

中国の国防研究に詳しい大使館付き武官2人と、さらにもう1人の外交官によれば、最終的に研究課題を設定・指示するのは、習近平国家主席がトップを務める中国共産党中央軍事委員会だという。

また、研究対象の量からして、軍上層部がウクライナ紛争という機会を活かしたいと考えていることは明らかだという。

この3人をはじめとする外交当局者は、業務について公開で発言する権限がないことを理由に、匿名を条件としてロイターの取材に応じた。

米国防当局者の1人はロイターに対し、台湾の状況とは違いがあるとはいえ、中国はウクライナでの戦争に学んでいる、と語った。

「ロシアによるウクライナ侵攻に対して国際社会が示した迅速な反応から世界が学ぶべき教訓は、今後、侵略に対してはこれまで以上に一致団結した行動が生じるだろうということだ」とこの当局者は語った。

機密に関わるテーマだけに匿名を条件として取材に応じ、米軍の特定の能力について中国側の研究が警戒を強めていることには触れなかった。

<空から見つめるスターリンク>

人民解放軍系の研究者による6本の論文で目立っていたのが、中国側が「スターリンク」の役割に対して抱いている懸念だ。

スターリンクは、イーロン・マスク氏が米国で設立した宇宙開発企業スペースXが開発した衛星ネットワークで、ロシア側のミサイルによるウクライナ電力網への攻撃にもかかわらず、ウクライナ軍が通信機能を維持することに貢献している。

人民解放軍陸軍工程大学の複数の研究者が共同執筆した9月の論文は、

「ロシアとウクライナの紛争においてスターリンクの衛星が傑出した性能を見せている」だけに、アジアにおける対立においても、米国・西側諸国がスターリンクの広範な活用をめざすことは確実だと述べている。

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中国もスターリンクに似た独自の衛星ネットワークの開発をめざしているが、論文の執筆者らは、中国がスターリンクの衛星を撃墜する、あるいは無効化する方法を見つけることが「急務」だとしている。

スペースXにコメントを求めたが、回答は得られなかった。

またウクライナ侵攻を機に、中国の研究者のあいだでは、ドローン兵器への投資を拡大する意味は大きいというコンセンサスが生まれているようだ。

中国は、台湾を自国の支配下に置くことを宣言しており、台湾周辺空域でドローンの実験を続けている。

人民解放軍に供給を行う国営兵器メーカー、中国兵器工業集団(NORINCO)が発行する戦車戦に関する専門誌に掲載された論文は、敵の防衛網を無力化するドローンの能力に触れ、「将来の戦争においては、こうした無人機が『ドアを蹴破る』役割を担うだろう」と指摘している。

定期刊行物の一部は地方レベルの研究機関が発行しているものだが、それ以外は、兵器生産や軍の現代化を管掌する国家国防科技工業局をはじめとする中央政府機関の公的な刊行物だ。

国家国防科技工業局の機関誌「国防科技工業」10月号に掲載された論文では、ウクライナ兵士が運用する「スティンガー」や「ジャベリン」といったミサイルによって「ロシアの戦車、装甲車、艦艇が受けた深刻なダメージ」を考慮して、中国は装備を防護する能力を改善すべきだと指摘している。

シンガポール南洋理工大学ラジャラトナム国際学院のコリン・コー安全保障研究員は、ウクライナでの紛争は、人民解放軍の科学者が長年続けているサイバー戦争モデルの開発や、西側諸国の現代兵器に対する装甲の改善といった取り組みに勢いを与えている、と語る。
「スターリンクはまさに彼らにとって新しい頭痛の種だ。簡単には真似のできない先進的な民生テクノロジーの軍事利用だからだ」
コー氏によれば、テクノロジー以外にも、ウクライナの特殊部隊がロシア国内で行っている作戦を中国が研究しているのも意外ではない、という。中国もロシアと同様に部隊や兵器の輸送を鉄道に頼っており、破壊工作に対して脆弱だからだ。
人民解放軍は急速に現代化を進めているものの、近年では戦闘経験が乏しい。最後の本格的な戦闘は1979年のベトナム侵攻で、この紛争はその後1980年代後半までくすぶり続けた。
ロイターが中国の定期刊行物を調査している時期、西側諸国では、中国がロシアに対し、ウクライナへの攻撃を支援するため殺傷能力のある兵器を供給する計画ではないかと懸念を強めていたが、中国側はこれを否定している。


<台湾争奪、情報戦も>

複数の論文は、中国が米国およびその同盟国との間で、おそらくは台湾をめぐって地域紛争に陥るリスクを考慮して、ウクライナ紛争が持つ意味を強調している。

米国は、台湾の防衛に向けた軍事介入の有無については「戦略的な曖昧さ」という政策を維持しているものの、法律上、台湾に自主防衛の手段を提供することにはなっている。

米中央情報局(CIA)のウィリアム・バーンズ長官は、習主席は2027年までに台湾侵攻の準備を整えるよう軍に指示したと述べつつ、ウクライナにおけるロシアの苦戦ぶりに同主席が動揺しているのではないかと指摘している。

人民解放軍国防大学の研究者2人が10月に発表した論文では、米国がウクライナに高機動ロケット砲システム「HIMARS(ハイマース)」を供給したことの影響と、人民解放軍が懸念すべきかどうかを分析している。

「将来的に、あえてHIMARSを台湾に投入しようとするなら、一時は『戦況打開のツール』と呼ばれたHIMARSも、別の相手を前に、これまでとは違う運命を味わうだろう」

この論文では、偵察用ドローンの支援を受けた中国側のロケット砲システムに注目し、ウクライナにおけるHIMARSの成功は、米国からスターリンク経由で標的情報の共有を受けているおかげだと指摘している。

前述の大使館付き武官2人を含める外交当局者4人によれば、人民解放軍のアナリストは以前からずっと米国の卓越した軍事力を懸念していたが、ウクライナ紛争を機に、西側諸国の支援を受けた小国を大国が圧倒できていない状況が見えてきたことで、その分析は鋭さを増してきているという。

こうしたシナリオは当然ながら台湾でも通用しそうだが、異なる点もある。

特に、中国は台湾を海上封鎖しやすい立場にあり、他国軍が支援を試みようとすれば、直接的な衝突は避けられない。

対照的にウクライナの場合は、西側諸国は隣接する欧州諸国を経由して陸路でウクライナへの供給を行うことができる。

ロイターが分析した定期刊行物には、台湾に言及する例は比較的少なかったが、中国側の研究を追っている外交当局者や他国の研究者らによれば、中国の国防アナリストは、公表される論文とは別に、政府・軍上層部向けの内部報告書を提供する任務を負っているという。

ロイターではこうした内部報告書にアクセスすることはできなかった。

台湾の邱国正国防部長(国防相)は2月、人民解放軍はロシアによるウクライナ侵攻から、台湾攻撃を成功させるにはスピードが鍵になると学びつつある、と発言した。

台湾側でも、交戦戦略を進化させていくため、ウクライナ紛争を研究している。

複数の論文はウクライナ側の抵抗の強さを分析しており、ロシア国内における特殊部隊の破壊工作、アプリ「テレグラム」利用による市民から提供される情報の活用、マリウポリのアゾフスターリ製鉄所の防衛などが取り上げられている。

弾道ミサイル「イスカンデル」を用いた戦術攻撃など、ロシア側の成功事例も指摘されている。

国営兵器メーカーである中国航天科工集団が発行する「戦術導弾技術」は「イスカンデル」に関する詳細な分析を行っているが、一般に公表されているのは要約版のみだ。

他の多くの論文は、ロシアの侵攻部隊の失敗に注目している。

戦車戦専門誌に掲載された論文は、時代遅れの戦術や統一的な指揮の欠落を指摘しており、電子戦専門誌に掲載された論文は、ロシアによる通信妨害はNATOからウクライナへの機密情報提供を阻止するには不十分で、そのために待ち伏せ攻撃による大きな被害が生じていると述べている。

中国人民武装警察部隊工程大学の研究者らが今年発表した論文は、ロシアが占領するクリミア半島のケルチ橋(クリミア大橋)の爆破事件から中国がどのような知見を得られるか評価している。ただし、分析の完全版は公表されていない。

研究の対象は戦場だけではなく情報戦にも及んでいる。

ウクライナとその同盟国側が勝利している、というのが研究者らの結論だ。

人民解放軍信息工程大学の研究者らが2月に発表した論文は、中国は、ロシアが体験したようなグローバル世論の反発にあらかじめ備えておくべきだと呼びかけている。

この論文は、中国は「情報認識について対抗するプラットフォームの構築を促進」し、紛争中、西側諸国の情報キャンペーンが国民を動揺させることを防ぐため、ソーシャルメディアの統制を強化すべきだと主張している。

(Eduardo Baptista記者、Greg Torode記者、翻訳:エァクレーレン)



「野党代表リスク」に隠れた尹錫悦大統領の真の危機

2023-03-14 12:17:06 | 日記
[コラム]「野党代表リスク」に隠れた尹錫悦大統領の真の危機

3/14(火) 10:38配信

任期1年目の大統領支持率が30%台に留まっていることを深刻に受け止めなければならない。


権力の独善と無能力、無責任な行動に対する冷静な評価がそこに表れているからだ。


国民の力の党大会場を埋め尽くした熱気とは裏腹に、尹錫悦政権はすでに来年の総選挙での勝利を断言できない茨の道に入った。


結局、選挙の成否を分けるのは、野党でも与党でもない、大統領自身に対する評価だ。

8日、京畿道高陽市キンテックスで開かれた国民の力第3回党大会に尹錫悦大統領が出席し、党員の歓声に拳を握りしめて応えている=カン・チャングァン先任記者

 最近、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は「イ・ジェミョン(韓国最大野党代表)・リスク」にともなう反射利益を十分享受しているように見える。

先週末、韓国ギャラップの世論調査で尹大統領の支持率は34%で、前の週より2ポイント下がった。

日本の強制動員責任を免除した類を見ない発表にもかかわらず、この程度の支持率低下で済んだのは善戦だというのが、与党内部の評価だ。さらに尹大統領の気を良くさせたのは、国民の力党大会の結果だ。

権威主義政権時代にも見られなかった大統領の露骨な介入の中、ひたすら「尹大統領の御意向」を前面に掲げたキム・ギヒョン代表が選出され、最高委員も「尹錫悦派」一色で構成された。

今後、大統領を軸にした保守層の結束はさらに強くなり、来年4月の総選挙で勝利できるだろうという期待感で与党全体が胸を膨らませている。

  しかし、「イ・ジェミョン・リスク」に隠れただけで、尹大統領の真の危機が消えたわけではない。

むしろ日増しに鮮明になっている。

「銀行は公共財」という大統領の発言や、早くも選挙を意識して公共料金はもちろん焼酎価格の引き上げまで抑止する保守政権の自己矛盾的な動きは端的な例だ。

尹大統領が候補時代に感銘を受けたというミルトン・フリードマンの市場万能主義的価値は、ポピュリズム政策と法の外皮をかぶった検察権の乱用の中で、すでに姿を消した。

市場を重視するという政府の下で、民間と公共部門いずれも検察を手足のように操る大統領を恐れている。

  総選挙や大統領選挙を控えてポピュリズム政策を打ち出さない政権があるのかと反問するかもしれない。

それでも過去の政権はある程度の線を守った。

尹政権はこの線を簡単に飛び越えている。

それに政策方向と内容も非常に不明で混乱を呼ぶ。

米連邦準備制度理事会(FRB)は今年1年間金利を引き上げると公言しているのに、大統領の一言で先を争って貸付金利を引き下げた韓国の銀行らがどれだけ持ちこたえられるだろうか。

市場では、政府の要求が一時的な金利引き下げにとどまらず、新たな銀行の設立など産業構造再編まで念頭に置いたものではないかとの疑念が深まっている。

  尹錫悦政権で一貫性のある唯一の基準は、ほかでもなく人的交代だ。

昨年末から政府の気流を読み、新韓をはじめNH農協、ウリィ、BNKまで相次いで金融持株会社の会長らが自ら退いた。

その空席を誰が埋めるかは容易に想像できる。

問題は、そのような人的交代が国家の総体的危機に対処できる有能なラインナップを組むこととは程遠いという点にある。

KT理事会が選んだ最高経営者候補の代わりに、77才のモフィア(退任後に政界や金融界に進出し巨大な勢力を構築する企画財政部出身の人たちをマフィアに喩えた造語)出身の大統領選挙の功臣を座らせることを、「あり得る話」だと納得できる国民が果たして何人いるだろうか。権力の野獣のような属性を改めて痛感するだけだ。

社会的対話機構である経済社会労働委員長に、半世紀前に労働運動をした極右政治家を就かせたのも似たような脈絡だ。

これでは今後どのような労働改革を進めながら経済危機を克服していくのか、国民は信頼できない。

  過去の軍事政府時代には陸軍士官学校出身が政界と官界の主なポストを埋め尽くしていた。

今は検事出身が要職に布陣し、来年の総選挙で大挙政界入りする準備を進めている。

軍事政府が情報・捜査機関の監視と暴力で恐怖を煽った一方、今は検察捜査という刃が政治と経済全般を凍りつかせている。

現政権の辞任圧力を拒否したある高官が「いつ検察捜査が押し寄せるかわからず怖い」と発言したのは、単なる政治的レトリックではない。

新悪が旧悪を凌ぎ、新しい検事政権が過去の軍事政権に勝る格好だ。

  尹大統領は近く日本と米国を訪問する計画だ。

どのような成果を収めるかまだ分からない。

ただし、米国の要求を受け入れ、韓米日軍事協力の強化に全力を傾けながらも、米国のインフレ抑止法(IRA)や半導体支援法(CHIPS法)になすすべもなくやられるのは、右派政権にとっては珍しい経験であることは確かだ。 

 支持率が思ったより下がらなかったとして満足している場合ではない。

任期1年目の大統領の支持率が30%台に留まることを深刻に受け止めるべきだ。

無能力で無責任な権力に対する国民の冷静な評価がそこに表れているからだ。

「他人がやれば介入だが、自分がやれば正義」という検事特有の独善が、人々の心を遠ざけていることに気づかなければならない。

国民の力党大会場を埋め尽くした熱気とは裏腹に、尹錫悦政権はすでに総選挙での勝利を断言できない茨の道に入った。
結局、選挙の成否を分けるのは、野党でも与党でもない、大統領自身に対する評価だ。

 パク・チャンス|大記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国大統領室高官の辞任を要求する

2023-03-14 12:03:35 | 日記
[コラム]韓国大統領室高官の辞任を要求する

3/14(火) 9:49配信

11日午後、ソウル中区の市庁広場の東側で開かれた「強制動員屈辱解決策強行糾弾および日本の謝罪賠償要求第2回汎国民大会」で参加者たちがプラカードを持ちシュプレヒコールを叫んでいる=キム・ヘユン記者

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権の「白旗投降」で終わったこの4年間の韓日対立を思い起こすと、実に様々な複雑な思いに陥る。

  4年間続いた対立の前半部といえる文在寅(ムン・ジェイン)政権時の韓日対立について、2021年7月に『新冷戦韓日戦』と題する本を出した。

その本で当時、この戦いは両国間の単純な歴史対立ではなく、朝鮮半島と東アジアの未来像をめぐる巨大な世界観の衝突だったとする分析を提示した。

すなわち、北朝鮮核問題を解決して南北関係を改善し、東アジアの冷戦秩序を打破しようとする文在寅政権の「現状変更」戦略と、韓国政府のそのような試みを打ち破り、

韓米日の3角同盟を強化し、北朝鮮と中国を抑制しようとする日本の「現状維持」戦略が正面で衝突し、大きな破裂音を立てたということだ。 

 両国間の対立がピークに達した2019年8月、慶南大学極東問題研究所で討論会が開かれた。

その時、当時の与党「共に民主党」のキム・ミンソク議員(当時は議員就任前)が吐露した発言が胸に残っている。

「この問題に国家の命運がかかっており、国家の名誉を担ってこの問題を解決できるかどうかに政権の命運がかかっている」

 当時その討論会の席でこの話を聞き、「大げさな発言ではないか」と思ったが、事態の本質を見抜いた発言だったと遅ればせながら認めざるをえない。

あの殺伐とした闘争で韓国は敗れ(2019年2月末、ハノイでの朝米首脳会談の失敗)、文在寅政権は任期を終えた。

だからこそ、その後登場した尹錫悦政権が前政権の遺産を全面的に否定し、韓米日3カ国協力の強化に「全賭け」するのは、別の見方をすれば残酷だが当然の論理的帰結だと考える。 

 それでも、新たに登場した尹錫悦政権に一抹の期待を持たずにはいられなかった。

私の所見では、世界はすでに新冷戦の入り口に差し掛かっており、北朝鮮の核の脅威が現実化した状況においては韓米日の3カ国協力自体を否定できなかった。

だから、両国が最大の懸案である強制動員被害者への賠償問題に合理的な妥協案を引き出せるよう心から願った。

だが結果は、原告の二つの要求事項である日本の「謝罪」と「賠償参加」のうちの一つも勝ち取れなかった白旗投降になってしまった。 

 なぜそうしなければならなかったのだろうか。

大統領室高官(知っている人は誰のことなのか皆知っているが、実名公開は不可だという)の6日の会見録を読んでみたが、すべての分析が無意味だと感じられた。

「我々が大法院(韓国最高裁)判決を否定する理由は何もないが、とにかく国際法的に、そして1965年の韓日両政府の約束に照らしてみると、2018年の大法院判決は、日本としては『韓国が合意を破ったものだ』という結論になったのです」。

これまで日本を含む数多くの外国政府の当局者の会見を見てきたが、公開の席上で自国の最高裁の判決を蔑視し相手国の立場を擁護する姿は、見たことも聞いたこともない。

  戦争はなぜ発生するのか。これに関する最も印象的な洞察を、東京大学の加藤陽子教授の『それでも、日本人は「戦争」を選んだ』という本で読んだことがある。

その本で著者は、戦争を「相手国の権力を正当化する根本原理である憲法を攻撃目標にすること」と定義した。

大韓民国が今の大韓民国たらしめている二つの前提は、憲法の中に含まれている。

大韓民国は「3・1独立運動で建立された大韓民国臨時政府の法統」と「不正に抵抗した4・19(李承晩大統領を辞任に追い込んだ民主化運動)の民主理念を継承」した民主共和国だ。

この高官が、日本の立場を擁護し返す手で非難した2012年5月の大法院判決(破棄差戻し)と、それに続く2018年10月の大法院全員合議体の判決の核心は、次のようなものだ。

原告敗訴を決めた日本の先の判決は、過去の植民地支配が合法であることを前提としたものであり、これは、「大韓民国の善良な風俗」すなわち憲法の価値に反するものであるため受け入れることはできず、原告が要求する慰謝料は「不法な植民地支配と侵略戦争の実行に直結した反人道的な不法行為」に対するものであるため、1965年の請求権協定で解決されなかった、ということだ。

  国家であれば、この価値を擁護するために戦わなければならない。

時には妥協も必要だが、政府当局者には言うべき言葉と言ってはならない言葉がある。

政府高官が自ら自国に恥をかかせるのであれば、世界のどの国が韓国を尊重するだろうか。

過去にも様々な論議を引き起こしたこの高官には、辞任して「学問と思想の自由」がある大学教授に復帰してもらいたい。 

キル・ユンヒョン|国際部長 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

36時間で米SVB破綻…スマホで取り付け騒ぎ、韓国にとって他人事で済まされるか

2023-03-14 11:42:40 | 日記
【3月14日付社説】

36時間で米SVB破綻…スマホで取り付け騒ぎ、韓国にとって他人事で済まされるか

3/14(火) 10:51配信
 
昨年末時点で総資産が2090億ドル(約27兆8000億円)あった米シリコンバレー銀行(SVB)がわずか36時間で「超高速破綻」し、世界に衝撃を与えた。SVBが18億ドルの損失を出したと発表するや、それがスマートフォンのメッセンジャーを通じてシリコンバレーに一瞬で伝わり、預金者がスマートフォンで資金を引き出したため、一日で55兆ウォン(約5兆6000億円)が流出した。結局、SVBは流動性不足と支払い不能の状態となり、金融当局が翌日閉鎖を決めた。
 銀行は顧客の預金引き出しに備え、現金を支払準備金として一定比率保有する。普段はその程度の現金でも十分だが、「信用危機」に直面すると、不安になった顧客が一気に預金を引き出す取り付け騒ぎが発生する。そうなれば、健全な金融機関もあっという間に破綻の危機に追い込まれる。  預金者が銀行窓口に直接行き、銀行の営業時間に預金を引き出さなければならなかった時代には、預金の一斉引き出しにも数日または数週間がかかった。今は預金者がスマートフォンですぐに資金を引き出してしまうので、一日で巨大銀行がつぶれてしまった。取り付け騒ぎを英語で「バンクラン」と言うが、今回のような事態は「静かなバンクラン」「デジタルバンクラン」と呼ばれる。  韓国では2011年の貯蓄銀行問題で、大規模な取り付け騒ぎが起きた。不動産プロジェクト融資の焦げ付きで営業停止になった貯蓄銀行だけでなく、他の貯蓄銀行にまで騒ぎが拡大した。08年の世界的な金融危機も取り付け騒ぎが発端だった。世界4位の投資銀行リーマン・ブラザーズの破産申請が人々の不安感をあおる導火線となり、不安になった預金者が他の金融機関にも詰めかけ、預金を大量に引き出し、大手金融機関が次々と崩壊した。  ソーシャルメディアでうわさや不安感が急速に広がり、「スマホバンクラン」で銀行があっという間に破綻する時代になった。伝統的な預金保護装置を無力化する可能性がある。スマホバンクランは特定金融機関に留まらず、瞬く間に広がり、金融危機に発展する爆発力も大きい。過去最大の取り付け騒ぎが最短時間で発生した。金融市場の不安定性が高まる今、韓国の金融当局も警戒心を持つべきだ。

バフムトの戦闘結果、ウクライナの将来を左右=ゼレンスキー氏

2023-03-14 11:22:48 | 日記
バフムトの戦闘結果、ウクライナの将来を左右=ゼレンスキー氏

Reuters|2023.3.14 10:03:29


[クレミンナ近郊(ウクライナ) 14日 ロイター] 

- ウクライナのゼレンスキー大統領は13日のビデオ演説で、東部ドネツク州のバフムトなど激戦地の戦闘結果に国の将来がかかっているとの見方を示した。
「東部は非常に厳しく、多くの痛みを伴っている。敵の軍事力を破壊する必要があり、それを成し遂げる」と強調した。
ロシアの民間軍事会社ワグネルを中心とする軍部隊はバフムトの東側を制圧したが、全体を包囲できていない。
ロシアはバフムトを掌握すれば、侵攻の目的でもあるドネツク州の占領に道が開けると考えている。ウクライナ軍は、バフムトから撤退しないのは、ロシア側に甚大な被害を与えているからで、今後の反撃を容易にしていると強調している。
バフムトの北に位置するクレミンナ近郊では、ウクライナ部隊が13日、激い攻撃を撃退していると述べた。
前線から約8キロ離れた森では、北東の敵陣を狙って放たれた砲弾の音が響き、遠くからも爆発音が絶えず鳴り響いている。
ロイターの記者は、足に重傷を負った兵士が前線から運ばれてくるのを目撃した。車両の中で添え木と鎮痛剤で安定させられ、前線から離れた医療センターへ運ばれた。
「2─3週間前が戦闘のピークだったが、今は少し落ち着いている」と35歳の衛生兵、ミハイロ・アネストさんは話した。砲撃や迫撃砲の攻撃が多いと語った。