カンムリワシ、ワシは名ばかり、言うばかり

20年前探せばカンムリワシがいて、10年前そこにはカラスがいて、いま両方ともいません。よって最近ではそれ以外の話題に。

アメリカの醜聞 02 手袋論争

2016年01月15日 05時45分42秒 | 海外

「手袋捨てスシのために戦え」 NYの板前が手袋着用義務に反対 素手で握り、閉店に 「和の伝統脅かす」と訴え

【ニューヨーク=黒沢潤】米ニューヨーク市ですし職人がすしを握る際、ゴムまたはプラスチック製の手袋着用を義務付ける市当局の衛生基準に反対の声を上げる店が現れ始めた。日本料理の“伝統”を壊すだけでなく、衛生効果がどれだけ上がるか疑問とされるためだ。手袋着用の是非は、すし愛好者も巻き込み大きな 論争となっている。〔2015.12.31 産経ニュース

アメリカには前から

熱処理上の問題として、素手ですしを握ることを禁じる衛生基準があったようですが、手袋をしたまま他の器具・用具を平気で扱うことがあるため、何のための手袋義務なのか、と一律の禁止に疑問の声が上がっているようです。

むしろ寿司職人が、しばしば手を酢水で洗うため、衛生的であり、しかも指先でネタの鮮度を区別できるという利点もある、と主張する人もいます。

ただし、このまま衛生基準を下げると、それでなくても危ないアメリカ社会で食中毒が頻発する恐れがある、という理由で、従来の基準にこだわっているのでしょうが、寿司だけを特別扱いするわけにもゆかず、悩ましいところです。

どうなるか分りませんが、政府が一律で決める国(中国など)があるのを考えると、必ず論争が起きて、様々な意見が出て来るのも、アメリカらしいところです。しばしば誤った判断も見られますが、「ほかの国では見られないほど素早く動く」のがアメリカの特長と言えるでしょう。

あと任期を1年残すのみとなった大統領のオバマが、ひんぱつする銃乱射事件を目の当りにして、なんとか少しでも銃規制をしたいようですが、「自分を守る自由」と称して「銃の自由」をかかげて反対する勢力もあり、なかなか規制が進みません。

「銃で守る自由」じゅうでまもるじゆうとは「自由を銃で守る」じゆうじゅうでまもる)ことに等しく、もはや時代遅れになっています。

こんなアメリカですから、イラクやシリアの対立そして難民続出している現状など「たいしたことがない」のでしょうか。

アメリカ社会は、lung cancer肺ガン」〔ラングカンサー〕と共に、 gun's cancer 「銃ガン・がんがん」に罹(かか)っているのでしょうか。蔓延する銃が文字通りアメリカ社会の癌(がん)ですね。

山本リンダは「じんじんさせて」と歌いましたが、どうやら頭が「がんがん」してきました。

海外には、「店で寿司を食べると必ずお腹をこわす」と語る人もいて、日本の寿司職人たちが培ってきた魚の処理方法がまだまだ行き渡らず、形だけを整えた魚の処理をしているからなんでしょう。

生ものを扱うには、それはそれは熟練した技が必要で、こてこて煮炊きしたり炒める料理では考えられない衛生基準が求められます。軟水・硬水の違いもあるでしょう。

個人的な話ですが私は、もう数え切れないほど、しかも決して豪華とは言えない寿司店で飲食してきましたし、まれに素人ながら限られた種類とはいえ切り身の冊(さく)を買ってきて自宅で寿司を握ることがありますが、いずれも一度も、お腹をこわしたことなどありません。それほど日本人は、売る側も握る側も、魚の鮮度に対して、真剣に配慮しているのでしょう。

それほど衛生面での配慮がない国もあるため、アメリカ人の寿司職人がどう動くか、楽しみです。

今のところアメリカでは、様々な抵抗運動があり

  • 当局による衛生検査の時には手袋をするけれど、係員が帰ったら手袋をはずせ、としたり
  • 当局の衛生基準保持の姿勢に反発している店もある

と聞いております。

私の個人的な考えですが、

検査体制がより複雑になるかも知れませんが、一定の基準をもうけ、これを満たしておれば「素手で寿司を握ることができる」

よう衛生基準を改正したほうがいい、と思います。

食品には

  • 必ずと言っていいほど、雑菌・細菌が含まれるようで、無菌状態の食品などなさそうです。
  • 焼きたて・蒸したて・熱したて・炒めたて、であっても、その熱で死滅しないこともあれば、調理法にムラがあって菌が残存しているかもしれません。あるいは、食器やナイフ・フォーク・箸そのものに菌が付着していたり、店のテーブルや天井や空気の流れさえ疑われ、そもそも食べる人が菌を持ち込んでいる可能性さえ、あるのです。
  • 要は、「人間にとって害になる菌の量に関する基準」がなければならないと思います。油断していると、室温や保管器の温度によっては2~3時間でこれらの菌が増殖するかもしれません。
  • これらを充分に考慮し、時代の変化とともに食材や調理法も変わるでしょうから「常にきびしく衛生基準を見直す」必要があり、従前の基準を守りさえすれば大丈夫、ではないのです。
  • 調理台から下に落ちた食品を平気で元に戻す風潮を放置しておきながら、寿司職人に手袋を強要する衛生基準もどうかと思います。

参考文献: