Part.6 許諾への道(2)
今日も「モスラ幼虫」を東宝様に許諾していただくまでについての続きです。
▲最終チェック前の原型。口が開いている方が「太郎」です。
■そして解決!?
今までになかった原型でのNG。
どうしても納得できないし、なかなかこちらのコンセプトや出来が許諾範囲から外れていない事を理解していただけません。
電話やメールでは無理と判断し、最終的にはスケジュールを調整して直接東宝本社で担当者様にお会いさせていただき、お話させていただこうと言うことになりました。「モスラ幼虫」の原型はもちろん、これまで許諾していただいている代表的な商品、Gメモリーズセレクションのコンセプトから「モスラ幼虫」の制作企画書まで大量のプレゼンを用意する事にしました。
たかが大量生産する訳でもないディフォルメソフビに大げさな…と思われる方もいらっしゃるかもしれません。他社さんで見られるレトロソフビのようにもっと簡略化して大まかな形状に改良すればOKをいただけたかもしれません。しかし、それではいままで発売してきたディフォルメテイストとは違ってしまいます。ここで諦めてはGメモリーズセレクションそのものを自ら方向転換しなくてはならなくなり、今後に影響すると考えていました。Gメモリーズセレクションのコンセプト自体が「リアルだから」の一言でNGならば、もう発売はできなくなるからです。
そしてまた驚く事がありました。最初の申請から3ヶ月弱、そのプレゼンのための材料を用意している準備の最中、やり取りをさせていただいていた担当者様が他の部署にすでに移られたのでノータッチになったと前任の方から聞かされました(正直「聞いてないよー!」とまたまたびっくり)。
後任の方が決まるまでの間、前任の方に間に立っていただきましたが、もしかして後任の方にまた最初から説明しなくちゃならないのかと、ちびまる子ちゃんのキャラクターの顔の縦線状態でした。そして後に後任の方にこれまでのいきさつを正直に伝え、新たに申請。
一発OKです。その後もすんなり本申請まで。…………。
嬉しさを通り越して言葉がありませんでした。最初の申請からOKをいただくまで3ヶ月も経っていましたから。もちろん原型も当初から何一つ変更箇所はありません。
この間のやりとりは何だったのか、この時の版元様の詳しい事情はどうだったのかはよくわかりません。いちメーカーである弊社に言えない事情もあったのかもしれません。解釈の違いもあっただろうし、もしかしたら気がつかない所でこちらに不手際や失礼があったのかもしれません。結果的に何人かの方に時間やお手数をかけてしまった事は確かですからその点は大変申し訳なく思います。
まずはとにかくほっとしました。産みの苦しみというのは大げさかもしれませんが、そのせいか余計商品になった幼虫達が愛おしくてたまりません。そして既存のキャラクターの版権商品の許諾をいただく難しさを痛感しましたし、こういう事もビジネスの上では今後あり得る事なのだと勉強になりました。
ご理解いただき、許諾いただいた現担当者様には深く深く感謝する日々です。
お求めいただいた皆様、よかったら「生まれてきて(発売できて)よかったね」と幼虫達の頭をなでてあげて下さい(笑)。