3 2号スーツのいろいろ
ゴジラを演じていたのは手塚勝巳さんと中島春雄さん。
ベテランの手塚さんが入ったゴジラが国会記事堂を破壊するシーンが、撮影時のゴジラの第一カットだったらしい事は語られていますが、スーツが重く最初は失敗だったそうです。後にあまりやりたがらず、若手だった中島さんがゴジラのメイン所を多く担当されるようになったのはよく知られています。
お二方がどのシーンの時にゴジラに入っていたか、中島さんが覚えてらっしゃる所は間違いないと思いますが、曖昧な記憶の所は中島さんだったのか、手塚さんだったのかは体型による差で出ていただろうスーツのしわやたるみで判断するしかないようです。小柄な中島さんとがっちり体型の手塚さんで当然違いがあるからです。
2号スーツは入る人の体型で大きな差がわかる例としては、スチール写真があります(その点、1号スーツよりも2号スーツの方が柔らかかった事の証明でもあります)。
当時の役者さんの契約条件では撮影時とスチールとは別だったらしく、スチールでの写真は基本的にスタッフが入っていたとされています。誰もが知っている砲台の前に立つゴジラのスチールは、当時造形助手だった開米栄三氏。開米さんは身長が180cm以上あったそうです。160cm代だった中島さんとは大きな差があります。そのため、劇中とは違い、同じ2号スーツでも皮膚の張りが全然違う事がわかります。他のスチールでも河内桃子さんとゴジラが並んだものや、宝田明さんたちと一緒の写真もスーツの張り具合から見て開米さんではないかと推測しています。
これも不確かなので私の推測ですが、劇中でも開米さんじゃないかと思える2号スーツの張り具合があるので、もしかしたら可能性はあるんじゃないかと勝手に思っております。
また、シーンによって当然スーツは傷んだり、傷つくたびに修復するわけです。ゴムを重ね塗りして塗装も足して……。近年の着ぐるみよりも技術的にも材料的にも元の形にするのは容易ではない事が想像されます。同じ2号スーツ、同じ中身の中島さんだったとしても、シーンによってしわやたるみの差は出ているはずです。それを探りながら見るのもまた『ゴジラ』を観る楽しみの一つにしてもいいかもしれませんね。