今日から2月9日発売(2月8日ワンフェス先行発売)の「初代ゴジラ ポスターカラーバージョン」の詳細、こだわったところについて書きます。購入の際の参考にしていただければ幸いです。
1 当時のポスターの印刷に見るゴジラ
言うまでもなく『ゴジラ』(1954年)はモノクロ作品です。ですので映像で見られるゴジラはカラーではありません。素材としてカラーであるものは宣材類だけとなります。
が、その宣材の印刷物の全ては、モノクロで撮られた写真・スチールに印刷の段階で人工的に着色されたものであり、厳密に「実物」のカラーの色ではありません。たくさん調べたわけではありませんが、大衆娯楽作品、時代劇、戦争もの……当時の日本映画のポスターはほとんどこの手法で作られているようです。
当時は今のようなデジタルでの印刷データの形式ではありません。長年、印刷では(今でも)CMYKの4色という印刷インクの調合比を変える事で作られていますが、当時はまだCMYの三色掛け合わせが主流。製版の段階で色を付けたい部分にそれを指定するわけです。もちろん今ほど製版技術も進歩していないわけですから、線数(網点の細かさ)もかなり低いのです。
そう言った時代に作られているゴジラの宣材。今、我々ゴジラファンから見れば見慣れた古い当時のポスターなどのデザインではありますが、複数ある映画『ゴジラ』ポスター1つを見るだけでも、実は当時としては力を入れて作っているのがわかります。
コラージュのための切り抜き、CMYの複数の組み合わせで見られるいくつもの細かな部分への製版の着色指定など……。炎や戦闘機(セイバー?)などはイラストにさらに着色加工されているものです。当時の他の映画のポスターに比べれば、実に手間のかかったデザインである事がわかります。
それはゴジラの部分だけをみてもわかります。前からは青白い感じの光が当てられ、後ろからは炎の照り返しをイメージしたオレンジの着色がされています。色の乗せ具合が当時としては大変だったと思われるほど微妙で細かいのです。通常のインクの着色部分と乗算(複数の色を重ねて着色)部分のバランスも計算されていただろう事も推測されます。
社運をかけたと言われるだけに、東宝が力を入れた作品だったのだろう事はポスターの製版レベルを見るだけでもわかるのです。
この2次元で作られた色を、立体物……Gメモリーズの「初代ゴジラ」で実現できないか……。フィギュアメーカーとしてというよりは、多くの印刷物に接する事が日常である弊社、グラフィックデザイナー心を実にくすぐるのです。
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