エコでピースな市民のひろば

『ひとりの百歩より百人の一歩』をスローガンにライフスタイルやスピリチュアル系情報を交換するWebひろばです

あけましておめでとうございます

2022年01月10日 | 映画日誌
令和四年
あけましておめでとうございます。
本年もどうぞよろしくお願いします。


とはいえ
ここ広島では年明け早々の「マンボウ」とかで
いきなり自粛ムードが漂っています。
「感染者数」にフォーカスすれば
早めの対策が必要なのでしょうが
「ウィズコロナ」などという掛け声むなしく
前回に逆戻りというお粗末な状態には
どうにも承服できません。






さて
先のブログで
「マトリックス4」の紹介をしました。
感想はズバリ
作品への期待が大きかったため
その反動は結構ショッキングでした。



▲映画com



マトリックス3部作の持つ
宗教的、哲学的なメッセージ性は継承しつつも
映画という媒体は視覚、聴覚に訴える
娯楽作品と考えると
やはり「映画com」のような評価に
なってしまうのも頷けます。
映像にもサウンドにも斬新性を感じない。
作品前半部分が劇中劇のようで
監督のラナも正直、この時期に
「マトリックス」は撮りたくなかった
のではないかと感じました。



なぜなら
製作側の本気度が伝わってこない。
クラッシュシーンを撮影するのに
わざわざ高速道路をつくった前3部作のような
チカラの入れようが全体的にないのです。
そんなわけで
劇場では中盤ぐらいで
退出しようかと思いながらも
なんとか見続けましたが
エンドロールはキャンセルして
久し振りに
“見なきゃよかった感“に包まれながら
さっさと帰宅しました。



これらの感想はあくまでも
個人のモノです。
見る角度によって物事は
全く違って見えてきます。
映画の評価は人それぞれですので
どうぞ悪しからずご了承ください。



▲映画com



一方
サブスクチャンネルで話題の
劇団ひとり監督作品「浅草キッド」。
こちらはいかにも
“映画らしい映画”と感じました。
監督が見せたいシーンを
実にしっかりと丁寧に見せていて
これぞ「編集力」といえる作品です。
映画comの評価よろしく
大きなスクリーンで見たい作品。
劇場公開を期待したいと思います。



▲ネットフリックス「浅草キッド」



Navras

2021年12月17日 | 映画日誌

▲YouTube「Navras」3:42



映画「マトリックス レザレクションズ」
ついに本日公開になりました。
1999年公開から22年。
当時、映像革命と言われ
映画史に残る名作となり
現在でも大きな影響力を持ち続けているのは
時代を先取りしたその斬新力からでしょう。



監督のウォシャウスキー
「兄弟」が「姉妹」に変わったのも
時代を先取りしていた現れでしょうか。
LGBTQを当たり前に目にするこの時代を
当時、誰が想像したでしょうか。



▲「兄弟」から「姉妹」へ

1999年頃は
所謂「シネコン」黎明期で、物珍しさもあり
仕事が休みの日には頻繁に映画のハシゴを
していました。
年間で100本以上の映画を見ていた時代に
最も印象的で何度も見直した作品です。
映像はもとよりサウンドも革命的で
「Navras」のイントロは
マトリックスそのものと言ってよい。


ちなみに
曲冒頭のマントラのような叫び声は
サンスクリット語で以下のような意味があります。


asato ma sad magamaya
asato ma sad magamaya
tamaso ma jyotir gamaya
mrtyor ma amrtam gamaya
om santih santih santih



現実から真実へ導く
現実から真実へ導く
闇から光へ導く
死から永遠に導く
平安へ 平安へ 平安へ



気分アゲアゲでいざシネコンへ!!


▲YouTube「Navras」9:09



▲YouTube「レザレクションズ」予告編2:49



「マトリックス」ついに!

2021年09月08日 | 映画日誌

▲『マトリックス』新章、12月全世界公開!



邦題『マトリックス レザレクションズ』
(原題:THE MATRIX RESURRECTIONS)が
日本をはじめ全世界で今年12月に
公開されることが決定したそうです。
一昨年、公開20周年を記念して
4Dでリバイバル上映されましたが
その際、新作の情報も公開され
期待感が高まっていました。
ようやく、って感じでしょうか?



「レザレクションズ」とは
「復活」という意味の言葉らしく
これまでの続編
リローデッド・ レボリューションズの頭文字
「R」を踏襲しているようです。
ちなみに今作はシリーズ3作目
『レボリューションズ』の続編ではなく
1作目の続編に当たるとのこと。
『禅』を描いた言われる1作目の世界観を
どのように引き継いだのか。



詳細については
予告編が今月9日(木)の22時に
世界一斉に動画で配信されるようです。
たのしみです!



▲2021.09.09 22:00




▲過去ブログ「マトリックス」



「~らしさ」の考察/その2

2021年08月14日 | 映画日誌



アメリカ現地時間8月12日のMLBゲーム
「ホワイトソックス対ヤンキース」
の一戦は劇的な幕切れとなりました。
1989年の映画
「フィールドオブドリームス」
の公開30年を記念してのイベントは
わざわざこの日のために
スタジアムをつくるという
いかにもアメリカらしい発想のもと
8000人の観客を迎えて開催されました。









映画さながらに
ケビン・コスナーの登場に合わせて
両軍の選手が
外野フェンス奥のトウモロコシ畑から
登場するシーンが映し出された瞬間は
しびれましたね。
スクリーンやスポーツが活況する
アメリカを象徴するような演出には
降参するしかありません。
エンターテイメントを突き詰めると
こういうカタチになるんだという
熱意が伝わってきました。











映画で使われたスタジアムは
公式戦を開催するコンディションではないにせよ
わざわざ近くに新設するあたりの本気度は
日本の文化にはありません。
そんな非合理的な発案は
口にした時点で迷宮入りでしょう。



シナリオがないはずの野球が
映画のシナリオ以上の結果を生む
というのも驚くべきことで
まさかの結末に
あっけにとられてしまいました。









9回表
ビハインドのヤンキースが
2発のホームランで逆転。
ホームランボールが
トウモロコシ畑に吸い込まれていくシーンは
まさに映画を見ているようです。


そして
8-7で迎えた九回裏。
まさかまさかの
サヨナラ逆転2ランホームラン!
これ以上も
これ以下もない結末は
花火とともに終演になりました。





当初は
この1試合のみ予定だったようですが
来年以降もMLBのゲームが開催されるようです。
日本からのツアーを企画してほしい。
旅行会社を計らいを期待しています。



アメリカは
ことあるごとに戦争ばかりしている
ちょっと困った国ですが
エンターテイメントという側面から眺めた時
その熱意や本気度に
強い魅力を感じてしまいます。



▲YouTube/9:20

ワイルドワイルドカントリー

2021年05月13日 | 映画日誌

▲YouTube



2018年制作のドキュメンタリー作品
「ワイルドワイルドカントリー」
Netflix で配信されているそれは
1作あたり約1時間ですべてを観終わるのに
約6時間を要します。
したがって
時間に余裕のあるゴールデンウイークに
コンプリートすることにしました。



▲Netflix



作品に関してNetflixには
以下のようにありました。


カルト集団を率いるインド人グルが、オレゴンの荒野に理想郷を建設。地元住民との摩擦から衝撃のスキャンダルまで、堕ちた宗教家の足跡をたどるドキュメンタリー


「インド人グル」とは
❝Osho❞ことバグワン・シュリ・ラジニーシ氏のこと。


▲Wikipedia



その思想信条については
現在でも大きな影響力があります。
とりわけ出版サイト等で
「Osho」と検索すると
その豊富さに驚かされます。
また
Oshoの死後設立された
「OSHO インターナショナル・ メディテーション・リゾート」は
ホームページ上において
作品を以下のように評価しています。



▲ワイルド・ワイルド・カントリー ストーリーの背後にあるストーリー



とかく宗教に関する報道は
タブー視されることが多いですが
この作品では登場する人物が
実に魅力的に演出されています。
40年ほど前に
アメリカを震撼させた実際の事件が
まるで昨日のことのように描かれています。


日々
刻みながらですが
再度見直している
今日この頃です。

メッセージ

2021年05月09日 | 映画日誌


今日は5月9日の日曜日。
今日までゴールデンウイークという方も
いらっしゃるでしょうね。
昨年同様
解放感の薄い連休という感じがしたのは
ワタシだけでしょうか?


さて
そんな連休中の巣籠り生活で
久しぶりに映画を観ました。
原題は「Arrival」
邦題は
「メッセージ」
です。


2016年公開のこの作品は
数々の受賞歴やノミネートがあり
なかでも
イギリスの第70回アカデミー賞では
「音響賞」を。
アメリカの第89回アカデミー賞では
「音響編集賞」など
たしかに独特の雰囲気のある作品にふさわしく
音響効果のすばらしさには感嘆しました。


ところで
この作品を観た方が一様に
「あっ、あのばかうけね!?」
などと言うので何かしら爆笑する
コミカルなシーンがあるのかと
気になっていましたが映像を観て
なるほどまさに
煎餅の「ばかうけ」がそこにありました。




この作品はSFですが
宇宙人来襲で人類がひとつになるという
旧来からのストーリーを踏襲しています。
ただこの作品の特長は
「言語」にスポットを当てたことです。
「ヘプタポッド」とよばれる宇宙人が
地球に来た目的がわからない。
なぜなら言語体系が全く異なるからです。
それを解明しながら展開していく
言語学者ルイーズ(エイミー・アダムス)が主人公です。





彼らの文字を分析すると
人類に「武器=道具」を与えるために地球に来た
と解釈の出来る返答があり
これを脅威と見なした中国軍が
ヘプタポッドとの戦争の準備を始めてしまう
というストーリーが続いていきます。
以降ネタバレになりますので
DVDやNetflixでの配信でお楽しみください。



一度観ただけでは
「なんのこっちゃ!?」
って感じですが2回、3回観て
「なるほど!」
となるテーマがベースになっています。
過去、現在、未来の
時間軸を飛び越えた現実が
目の前で展開されると
こんな感じなんだなあと
深い感動を覚えた作品でした。









あれから40年

2020年11月09日 | 映画日誌
11月7日はスティーブ・マックイーンの命日でした。
1980年、50歳没。すでに40年も前になります。


彼の出演した映画の多くは
劇場ではなくテレビで見たのですが
なかでも「大脱走」のバイクでの逃走中
鉄条網に絡まるシーンの痛々しさに
子供ながら身もだえたことを覚えてます。




「タワーリング・インフェルノ」では
消防隊長の頬に付いた黒いスス痕が
なんともかっこ良く、墨汁で真似るも
彫の浅い顔には似合わないことに
落胆したものです。



1971年
彼が40歳を超えての作品
「栄光のルマン」
は最も好きな作品のひとつです。
スティーブが
自ら率いるプロダクションによって
総力をあげて作り上げた作品にも関わらず
興行的には芳しくありませんでした。



▲YouTube「その男とルマン」予告編




いわゆるセミドキュメントの作品ですが
「ただ走るだけの映画」と揶揄されつつも
クラッシュシーンなどからは
撮影の過酷さが伺えます。
命を掛けて高速で駆け抜けることだけに
執念を持って取り組んだスティーブの思いが
しっかりと詰まった作品だと思います。





ラストシーンで
ライバルに向けてスティーブが
笑顔で2本指を振り上げるシーンがあります。
このスマイルが作品の要諦だと感じます。






画質はイマイチですが
「栄光のルマン」は全編
YouTubeでの視聴が可能です。
カーレース好きの欧州人の様子や
スティーブの勇姿、そして
ルマンの高揚感を味わえます。


加えて「ポルシェ20番」の
オシャレなカラーリングにも要注目。
半世紀も前の作品とは思えないカッコよさです。

合掌



▲YouTube「栄光のルマン」

日常のとらえ方

2020年08月30日 | 映画日誌


平成28年、今から4年前の5月
当時のアメリカ大統領オバマ氏が
広島市を訪問し
記憶に残るスピーチをされました。


当時
一部の識者からは
「謝罪の言葉がなく残念」
という批評もありましたが
アメリカが非戦闘員に対して
無差別攻撃をしたことを
公式に認めたことに
驚きを隠せませんでした。


以下
そのスピーチの一部を添付します。


なぜ私たちはここ、広島を訪れるのか。
私たちはそう遠くない過去に解き放たれた恐ろしい力に思いをはせるために訪れるのです。
10万人を超す日本人の男女そして子どもたち、何千人もの朝鮮人、十数人の米国人捕虜を含む死者を悼むために訪れるのです。
彼らの魂が私たちに語りかけます。
私たちに内省し、私たちが何者なのか、これからどのような存在になりえるのかをよく考えるように求めているのです。




その後
アメリカ大統領選挙において
民主党政権から共和党に代わり
トランプ氏が大統領に。
時代が逆行するかのような
アメリカの有権者の判断に対して
大きな疑問と不安を感じました。
しかし
トランプ氏の政策や言動を見るにつけ
それはスピーチを揶揄するものではなく
「アメリカ・ファースト」を掲げる
アメリカ人の
日常の幸せ
を一番に考えるからであると
感じるようになりました。


紛争や戦争は
日常が突然失われてしまう。
当たり前の日常の中に
豊かさと幸せ感じられること。
このことが
人生の目的のひとつです。


それぞれの国の人々が
それぞれの日常で
幸せを感じて生きる。
幸せな国民同士が
争いをすることはありません。


ところで
「ある日本アニメ映画に米国で最大級の賛辞!!共感と称賛の声が!」
と題した動画がYouTubeに
アップされています。


▲火垂るの墓



つい75年前の出来事は
当たり前の日常の有難さを
教えてくれています。



ちなみに
上記の動画をアップされている
KoaraKoaraさんのチャンネルには
外国からみた日本の
文化や技術に関する
クオリティの高い動画が
多数アップされています。



▲KoaraKoara



8月も終盤ですが
まだまだ暑い毎日です。
どうぞご自愛ください。



記憶と自我

2020年07月19日 | 映画日誌
7月18日(土)の夜
CSで放映された映画
「エターナル・サンシャイン」
を観ました。
2004年に公開されたアメリカ映画で
アカデミー賞「脚本賞」を受賞しています。



▲「エターナルサンシャイン」ネタバレ



主演はジム・キャリーのほか
ケイト・ウィンスレット(タイタニック)
キルスティン・ダンスト(スパイダーマン)
イライジャ・ウッド(ロード・オブ・ザ・リング)
など豪華キャストです。




この作品を一言で表現すると
「ジムとケイトの恋愛物語」
ということになりそうなんですが
作品の底辺に流れるテーマは、人生は
「記憶でつくられている」
ということだと思います。




生きていると思っている今の自分から
過去の記憶を消してしまうと
今しか残らない。
出合いやハプニング
人間関係の確執なども
すべて記憶によって支配されています。
そしてその記憶のおかげで
私という「自我」を形成できています。


もし記憶のすべてを消し去ってしまうと
今の人生はどうなるのでしょうか。
作品内では
「記憶除去手術」を施されつつ
その施術に抵抗する主人公の様子が
実にリアルに表現されています。




恋人の記憶を消し去るという
一見シリアスなテーマを扱う上で
コミカルが売りのジムの配役は
深刻になりすぎず、感情移入されにくい
という点で成功だと思います。


イライラするとき
腹立たしいとき
悲しいとき
なぜそうなのかを味わってみると
人の感情には必ず
記憶が張り付いていることがわかります。




記憶を手放して少しの間
今、そのままの状態に漂ってみると
しだいに感情の波が治まってきます。
ラストシーンでジムが言います。
『ちょっと待って!』


そうちょっとだけでも
今の状態を味わってみる。
すると今しかないことに気付いた
ジムとケイトは過去の出来事を許し
またそこからやり直すことに決めます。


過去を許し
また未来を創造しながらも
今一瞬、ココに戻ってみる。
人生はそのことのくりかえしだよ
ってことでしょうね。


原題
「Eternal Sunshine of the spotless mind」は
18世紀の英国詩人
アレクサンダー・ポープの一文を引用したものです。
「思い煩うことのない永遠に輝く
太陽のようにいつまでも美しい心」とは
許しの心
だと思います。


▲YouTube「エターナル・サンシャイン」


三島由紀夫観了

2020年03月22日 | 映画日誌
サロンシネマではいつも
最後列の御座敷席に座ります。
今日は「畳11番」の席にコーヒーを持ち込み
ノンビリと鑑賞することに。
テーブルのメッセージは
“考えるな、感じろ!”です。






公開初日のサロンシネマには50名ほどの観客で
その多くは60代以上の紳士の皆さまでした。
内容が内容だけにごく限られた層の関心に
依拠する作品かも知れませんが
ウイルス騒動の今だからこそ
多くの方に観られるべき作品だと感じました。
それはつまり国家とは何かを一人ひとりが
真剣に考えてみる時節でもあり、そのヒントが
この作品の底流になっているからです。


とりわけ「天皇」を頂いていることが
当時の全共闘にとって壁であり
乗り越えられなかった一番の理由でもある。
天皇が権力者として君臨していれば
学生が発端となった『革命』も
容易く成し遂げられたと三島はいいます。


そもそも60年安保などの国民運動の目的は
反米愛国
であって暴力的な闘争における
正義の旗印でした。
それは三島としても歩み寄れるところであって
非合法でありながらも結局のところ手段として
暴力は否定しないという立場です。
しかし、三島が学生たちに訴えたかった要諦は
天皇は民衆にのし掛かる権力ではない
という一点でした。
上部構造の排除が目的の偏ったイデオロギーに
洗脳されるのではなく
天皇を頂いている国民としての
伝統と生き方を考えた上で
愛国とは何かを考えてほしいと訴えます。
このことは
現代を生きる私たちにも関わる問題であり
日本文化そのものの在り方や価値について
今一度考えてみるべきでしょう。



昭和45年11月の
市ヶ谷での自死は日本の文化や伝統に則り
情勢に見合った法律に変えていくための行動を
自衛隊に訴えた最期の瞬間でした。
日本は好む好まぬ、知る知らぬに関わらず
犯すことのできない天皇を立てることで
長い歴史を積み上げできました。
日本は先の敗戦で
価値観の転換を余儀なくされましたが
敗北が歴史のすべてを
否定したわけではありません。
むしろ改めてその敗戦から何を学ぶのか。
天皇とは何か。
敗戦の原因は天皇制にあったのか。
今一度、冷静に考える時期かも知れません。


▲ 映画『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』公式サイト


三島由紀夫

2020年03月11日 | 映画日誌

▲映画「三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実」予告編



映画「三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実」
は今月20日に公開の予定です。
昭和45年11月25日市谷駐屯地での
演説と割腹自殺は
当時まだ幼かった記憶に
うっすらとですが残っています。


高校生の頃
古文の先生に勧められて
三島由紀夫の作品を読みました。
難解な文章でしたので
辞書を引きながら読み進めましたが
当時はその内容の深さに
なかなかついていくことが
できませんでした。


なかでも
「豊穣の海」全4巻は
所謂、輪廻転生がテーマで
東洋思想や仏教思想の奥深さに
触れることができました。
また
第2巻「奔馬」で描かれた
割腹の描写などは今でも鮮明に
記憶しています。
その後
何度か読み返し
仏教思想を学びなおす
きっかけにもなりました。


▲Amazon



この作品は
割腹自殺の前年
昭和44年に行われた
東京大学全学共闘会議との討論が
ドキュメンタリーとして
公開されます。


日本はその後
「70年安保」を境に
戦後の安定期に入って行き
学生運動も下火になっていきます。
大学に入学した昭和58年は
一部の大学を除いては運動的な学生は
政党の下部組織が中心でしたが
社会正義を謳う団体は多くあり
その後、エロコジー的な活動へと
シフトしていきました。


当時の学生が
何を信じ何を考え何をしたのか。
そして
その息吹が現在まで
どのような影響を与えているのか。
楽しみな作品です。
ちなみに
当時学生だった方はもとより
宗教的な立場での考察もあるようです。


三島曰く
「言霊を残して去っていく」
死を覚悟しての討論だったのですね。



▲映画「三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実」予告編





禅の映画

2019年12月14日 | 映画日誌

▲YouTube「マザーウォーター」予告編1:32



“禅”というと仏教の一宗派
「禅宗」が行っている坐禅の様子を
思い浮かべます。
しかしもともと坐禅は
本当の自分に出会うための修行であって
仏教の教義ではありません。
作務衣をきて頭を丸めた人だけが
独占的に行う修行ではなく
いつでも、だれでも、どこででも
行うことができる
極めてナチュラルな行為です。


見性体験とはどんなものなのか。
どのような環境で発現するのか。
聴いた人なりの解釈が
いろいろな装飾を施した上に
それぞれの正しさを主張することで
宗派として今日の姿があります。
最近の日本では
仏教は葬儀のための宗教に
なってしまった感があります。


そもそも
仏教というのはその名のごとく
「仏の教え」であり
つまりブッダの見性体験を
その後の弟子たちがまとめたものが
教えとして広まったものです。
今風に言うと自己実現法やパラダイムシフト
と呼ばれるもので
所謂、宗教とは似て非なるイメージです。


禅という字を分解すると
「単」に「示」すとなります。
ただ、今目の前にあるココが
すべてであって
坐禅はそのことに気付くためにただ坐る
ということです。
そして
その気付きは自分の気付きではなく
すべての気付きであるということ。
このあたりのことは
思考レベルを超越するようで
その体験のない者には
理解しようがありません。


なので
とにかく何もせずただ坐ってみる。
坐る時間がない時も
目の前の今ココの動作をじっくりと
味わってみることも禅の教えのひとつです。
生活すなわち禅
仏道は自己なり

と言われる所以はここにあります。



たとえば
茶道の立居振る舞いなどは
決められたひとつひとつを
丁寧に味わうことから始まります。
一見マンネリのように見える
決まりきった動作の中に
見性のすべてが詰まっている。
これが茶道のみならず
『道』
の真髄です。



さて
先日の「食と農の映画祭」において
リクエスト上映された『マザーウォーター』
2010年公開のこの作品は
公開当時も劇場で観ましたが
スローライフを謳った作品かと思いきや
改めてみると実は禅がテーマの
映画だと気付きました。



水割りをつくる音
コーヒーを淹れる音
食事をひとくち一口味わう音
公園にそよぐ風の音


ひとつひとつ動作はそれぞれに
生活音を奏でます。
まさに今ココの出来事だけを
切り取ってみると
唯々そのことがあるのみなのです。
そして
あすもあります
明日も今ココの連続の中にある。



▲「マザーウォーター」のワンシーン


監督は松本佳奈さんで
この作品が初監督となったようですが
「東京オアシス」(2011年)
「パンとスープとネコ日和」(2013年)
でも監督を務められました。



ちなみに
同姓同名のアーチストの楽曲が
YouTubeにアップされていました。
こちらの映像もなかなか良いのです。
偶然とはいえ何かのメッセージかも
知れません。


▲YouTube松本佳奈「パラダイムシフト」4:59



ちょっと疲れているなあ
とか
どうすれば良いかなあ
と迷ったときに
この映画は良いクスリになります。

映画祭

2019年12月10日 | 映画日誌
12月5日(金)に始まった
「食と農の映画祭2019inひろしま」に
先週末、行ってきました。

「武蔵野〜江戸の循環農業が息づく〜」
「蘇生Ⅱ〜愛と微生物〜」
「山懐に抱かれて」
「今日も嫌がらせ弁当」
の4作品を観ましたが、それぞれ個性的で
メッセージ性の強い作品ばかりでした。



これからご覧になる方には
ちょっとネタバレになりますが
ご容赦ください。




▲蘇生Ⅱ公式サイト



「蘇生Ⅱ」はサブタイトルにもあるように
微生物の活用が地球環境を再生する
というテーマであり微生物が
放射能を消失させるという事実を
強く訴えている作品です。
科学的な視点での検証はもとより
実際に成果があることが
実証されているものであえば
積極的に導入する姿勢も
大切なのかも知れません。
理論的な裏付けが
あってから動き出すことは
とても大事なことですが
政治的判断や利権によって
汚染処理が進まなないようでは
本末転倒ではないでしょうか。


また
「今日も嫌がらせ弁当」は
母、篠原涼子と娘、芳根京子の
親娘の確執を「食」を通して修復していく
感動ストーリーです。
篠原涼子の強烈な個性が作品全体を
覆い尽くすなかで登場する「キャラ弁」が
いかにもアンバランスで面白い。
“人生、無駄なことはない!”
というメッセージが
作品に一貫して流れています。



「武蔵野」「山懐に抱かれて」は
ともにドキュメンタリー作品ですが
とにかく出演している方々みなさんが
とても元気です。
自然とともに生きていると怖いものなんて
なくなるんでしょうか。
みなさん、ハツラツとしています。



なかでも
「山懐に抱かれて」は
岩手県の山あいでの酪農を営む家族を
24年に渡って取材したドキュメントですが
いわゆる「山地酪農」にこだわる生産者の
成長と日常を
女優、室井滋のナレーションで綴っています。



ちなみに
この「エコでピースな〜」ブログですが
書き始めて間もなくの2010年9月に
群馬県で始まった
「山地酪農」の現場に訪れたことを
いみじくも10年前に記載していました。
短いレポートですが以下に添付します。


▲過去ブログ(2010年9月11日)



自分も自然のなかで何かしたいな
と思いはじめ
翌年広島県の中山間地域で
米作りを始めました。
まさにきっかけとなったのがこの
「山地酪農」でした。



山地牛乳は
当初1本300円程度の価格で
販売を始めたようですが
ネットショップを見ると
現在700円+送料で流通しています。
実際どんな味なのか
試してみたいと思いました。
群馬で食べたプリンが
とにかく美味しかった。
牛乳ってこんな味なんだ
と感動しました。
ご興味ある方、サイトを以下に添付します。



▲山地牛乳HP



「食と農の映画祭」は
今週木曜日
12月12日まで開催しています。

樹木希林

2019年11月03日 | 映画日誌


平成30年(2018年)9月15日に
75歳で逝去した女優
樹木希林さん。

57年間の役者人生の中で
多くのドラマや歌番組、CMなどに出演し
日本映画界にとって欠かせない存在であり
今でもその作品の多くは
珠玉のような存在感を放っています。
なかでも
このブログ内でも紹介した
『日日是好日』
は昨年度の日本アカデミー賞の
最優秀助演女優賞を受賞し、まさに
覚醒した演技が見事に表現されていました。


▲過去ブログ「日日是好日」



先日
福山市内での仕事が終わり
次の予定まで3時間余りの時間があったので
フラッと「シネマモード」に立ち寄ると
まさにちょうどのタイミングで上映される
作品がありました。
リサーチゼロで見たそれは
希林さんの遺作にして海外デビュー作となった
令和元年8月公開のドイツ映画

『命みじかし恋せよ乙女』

です。ストーリーはオフィシャルHPから。

「酒に溺れ仕事も家族も失ったドイツ人男性のカールの元へ、突然、ユウと名乗る日本人女性が訪ねて来るところから始まる。風変りな彼女と過ごすうちに、人生を見つめ直し始めるカールだったが、その矢先、彼女は忽然と姿を消してしまう。ユウを捜しに訪れた日本で、カールがユウの祖母から知らされたのは、驚きと悲哀と感動に満ちた物語だった―。」



▲予告編(2分)YouTube



オープニングは気味の悪い
日本の「妖怪イラスト」から始まりました。
ドイツと日本の接点が
少々わかりづらい点がありましたが
親と子、家族の確執がテーマになっていて
民族を問わず共通の課題をそれぞれの
文化的側面から表現されていました。
さらにスピリチャルな視点からは
子供のころの負の感情を
抑えつけたまま大人になり
抑えられた負の感情が癒やされないままだと
人生がうまくいかなくなるという
「インナーチャイルド」
へのアプローチの大切さが盛り込まれています。


ちなみに
「命みじかし恋せよ乙女」は
大正3年(1915年)にヒットした
「ゴンドラの歌」という歌謡曲の一節です。




「ゴンドラの歌」は昭和27年(1952年)
黒澤明監督作品『生きる』のなかで
志村喬さんが歌うブランコでの
シーンが印象的です。
そのシーンとあわせ
ダンスホールでの切実な表情が特別に痛々しく
取り囲むギャラリーの表情も
独特な雰囲気を醸す場面。
たしか『生きる』を始めてみたのは25歳の頃。
民放で放映された当時
十二指腸潰瘍を患っていて
胃ガンに苦しむ主人公と境遇が重なっていた
シュールな状況に恐怖を感じたものです。


▲映画『生きる』から(4分36秒)YouTube



いみじくも
希林さんの遺作となったこの作品ですが
表情はとても生き生きしていて
とても死を覚悟した様子は感じられません。
その
お悟りあそばしたご様子に心を打たれ
いつのまにかスクリーンが見えなくなるほど
涙が溢れていました。
志村喬さんの死を覚悟した演技と
実際に死を目の前にした希林さんの演技が
シンクロするこの作品。
監督のドーリス・デリエは希林さんを
以下のように賞賛しました。

「人生の美しさと残酷さを描く本作において、樹木希林の、その女優人生最後となったシーンはまるで彼女が私たちへ遺したメッセージのようでした。」



▲『“樹木希林”を生きる』公式サイト


ところで
映画『“樹木希林”を生きる』は
希林さんの最後の日々を追ったドキュメンタリー作品。
初めて長期密着取材し
平成30年9月26日に放送された
NHKの同名ドキュメンタリー番組に
未公開映像を加えて再編集され
先月10月4日に劇場公開されました。
広島地区では11月15日から八丁座において
上映が予定されています。
公開が楽しみです。



▲八丁座情報




フィールド・オブ・ドリームス

2019年10月10日 | 映画日誌


「フィールド・オブ・ドリームス」は
1989年公開のアメリカ映画で日本公開は1990年。


野球ファンならずとも
この作品をご存じの方は少なくないはずです。
アカデミー賞で作品賞など3部門に
ノミネートされただけでなく
アメリカの野球ファンのあいだでは今も
「お気に入りの野球映画ランキング」
で必ず上位に入る作品です。
日本では
第33回ブルーリボン賞や
第14回日本アカデミー賞で最優秀外国語作品賞を受賞。
全世界で8つのノミネートを受け
5つの受賞を果たした名作です。


野球がテーマの映画ではありますが
主人公が不思議な声を聴いたり
聴いた声に従って動くと
運命的な出会いがあったりして
スピリチュアリズムを感じる作品でもありますね。


さて公開から30年を迎えた今年
この映画の中で実際の撮影に使用された
アイオワ州ダイアーズビルのグラウンドで、
来年8月13日に
ホワイトソックスVSヤンキース
の公式戦が行われることが決まったそうです。


ロケが行われた球場は
今でも観光名所になっているものの
公式戦が可能なコンディションではないため
ロケ球場の隣に新たな球場を作っているんだそうです。
なんかアメリカらしい話題ですね。


ちなみに
新球場の右翼壁には窓を設け
トウモロコシ畑が見えるようにした上で
観客はトウモロコシ畑を通って球場に入るよう
設計されているそうです。

完成予想図
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