●画像は宮沢賢治
もうかれこれ
40年近く前のこと
中学生として2年目を迎える春
引越しにともなって
人生初の
「転校」
を経験しました。
同じ市内での転校でしたが
友人も少なく
日々、心細く感じたものでした。
そんななか
転校先では
新学期を迎えるにあたって
新2年生にむけて
宿題が出されていました。
宮沢賢治の
「雨ニモマケズ」
を暗記してくること
というものでした。
当時を思い出し
久しぶりに読み直してみました。
■雨ニモマケズ (訳文)
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雨にも負けず
風にも負けず
雪にも夏の暑さにも負けぬ
丈夫なからだをもち
慾はなく
決して怒らず
いつも静かに笑っている
一日に玄米四合と
味噌と少しの野菜を食べ
あらゆることを
自分を勘定に入れずに
よく見聞きし分かり
そして忘れず
野原の松の林の陰の
小さな萱ぶきの小屋にいて
東に病気の子供あれば
行って看病してやり
西に疲れた母あれば
行ってその稲の束を負い
南に死にそうな人あれば
行ってこわがらなくてもいいといい
北に喧嘩や訴訟があれば
つまらないからやめろといい
日照りの時は涙を流し
寒さの夏はおろおろ歩き
みんなにでくのぼーと呼ばれ
褒められもせず
苦にもされず
そういうものに
わたしはなりたい
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転校先が
どんな理由で
暗記の宿題を出したのか
今となっては
知る由もありませんが
あらためて読み直してみると
下線を引いた部分には
なんだか特に
魅かれるものがあります。
ちなみに
「1日に玄米四合」
という数値を
グラムに換算すると約600g
年間消費量にすると約220kgになります。
これを
約60Kgの俵に換算すると
3.6俵になり
田んぼからの収穫量に直すと
約3畝から4畝の
農地が必要になります。
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1畝(いっせ)は約30坪
1反(いったん)は10畝で約300坪
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味噌に必要な大豆畑や野菜畑を加えると
どうでしょうか。。。。。
だいたい200坪ほどもあれば
生命を維持することができるだけの
収穫が得られるのではないでしょうか?
都市の200坪と農地の200坪
その価値は簡単には比較できません。
贅沢はできないが
収穫できる土地があれば
生きていける!
宮沢賢治は
「食の大切さ」
を伝えてくれています。
現在の私たちの食生活では
肉・野菜・牛乳等を
バランス良く摂取するよう
教えられていますが
完全食
といわれる玄米を中心とした
食生活に見直せば
色々な拘束から
自由になれるのではないでしょうか。
●画像は酵素玄米
宮沢賢治が生きた
明治29年(1896年)から昭和8年(1933年)は
日本社会に排他的で自己中心的な意識が強まり
やがて戦争へと進んでいく時期でした。
他方
宮沢賢治の物語の中では
自然の中で生活する
猫、鹿、熊などの異質なモノとの
開かれたコミュニケーションが
重要なテーマとなっています。
こうしたテーマを通じて
排他的で閉ざされた日本社会とは異なる
オルタナティブな可能性を
探ろうとしたのだと思います。
「一日に玄米四合」は
お米を中心とした持続可能な社会の
基礎を司る貴重な道しるべです。
今の当たり前に感謝しながらも
食を取り巻く既成概念を疑ってみると
もっと自由な生き方が
出来るかもしれません。
◎つづく