久しぶりの更新になります。いろいろばたばたして、さぼってしまいました。
今日は昨日の外山先生担当の勉強会の内容を載せたいと思います。
ややマニアックな内容ではありますが、緩和ケア領域では時々遭遇する問題でもあります。乳がんの方などは腫瘍の皮膚への浸潤により、出血がなかなか止まらないことがあります。今回はそのようなときの対処方法について調べてくれました。
<体表部悪性腫瘍からの出血マネジメント>
「トワイクロス先生のがん患者の症状マネジメント」より
•血小板機能を阻害するNSAIDをやめる(AAP、COX-2阻害薬に変更する)
•アルギン酸塩(カルトスタット®など)
•硝酸銀棒
•トラネキサム酸
–内用 2g×4回/日(!)
–外用 500mg/5mlの溶液をガーゼに浸し圧迫
•その他外用
–エピネフリン1000倍液をガーゼに浸し圧迫
–スクラルファート(アルサルミン®)2gを5mlのKYゼリー®に溶解し外用
–1%ミョウバン液
その他の外用(医中誌などからの検索を中心に)
•エピネフリン軟膏(0.001%)
–0.1%エピネフリン1ml+親水軟膏100g 塗布(茅根ら「緩和ケアのちょっとしたコツ」)
•3%ホルマリン液
–ストマパウチ貼付、内部にホルマリン液を入れ30分間固定(足立ら、2007日臨外会誌)
•Mohsペースト
Mohsが考案(Mohs’ chemosurgery:乳がんの固定・切除治療法、1936~)。本邦入手困難な材料を含むため普及せず。2005年重山らが本邦で容易に入手できる材料を用いた方法を報告し、使用報告数が増加
–調整例:塩化亜鉛50g+亜鉛華でんぷん25g+グリセリン5ml+蒸留水 (300円/100g程度、院内薬剤師の協力不可欠)
–直接塗布の他、ガーゼ塗布、ストマパウチを用いる方法も。2-3時間とされるが20分でも止血効果
–有害事象:局所疼痛、健常皮膚の接触皮膚炎 (以上 大井ら2009Palliat Care Res、加藤ら2013乳癌の臨床)
–固まるので作り置き不可→亜鉛華軟膏と混和にて保存可能(川俣ら2016医療薬学)
体表部悪性腫瘍の悪臭などに効果があるメトロニダゾール軟膏などと比べて、今一つこれだというのがない感じではあります。普段はカルトスタット(アルギン酸塩)などを使用することが多いですが、コストの問題があります。エピネフリン軟膏は簡単につくってもらえそうではあり、薬局とも交渉しやすいかなと思いました。Mohsペーストは使用報告数多いようですが、なかなか現実的には使用難しそうですよね。