東埼玉病院 総合診療科ブログ

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高血糖性高浸透圧昏睡(HHS)と経腸栄養

2015-07-02 20:19:56 | その他
最近、ある経腸栄養の患者さんで、血糖コントロールが少し難しいなあと感じることがありました。経腸栄養の患者さんは何かのきっかけで血糖が高くなりはじめると、そのままさらにコントロールが悪化することが多いなと感じます。
 過去にも、感染や脱水などをきっかけにあっという間にHHSとなってしまった経腸栄養の患者さんを何人か経験したことがあります。今日は、「高血糖性高浸透圧昏睡(HHS)と経腸栄養」というお題で書こうと思います。

<高血糖性高浸透圧昏睡(HHS)と経腸栄養>
★過去の報告から・・・
①2008年垣羽らの報告
 重症高血糖症例(DKAorHHS)20例を検討
 HHS10例のうち8例は経腸栄養をしていた(10例全例で感染症が誘因)
 全例HHSの状態からは脱したが、4例はその後の合併症で死亡(4例とも経腸栄養)
②2006年田中らの報告
 HHS5例⇒3例はIVHor経腸栄養(2例は今までDM既往なし、1例はDMコントロール良好)
③2008年Arinzonらの報告
 施設で経腸栄養をうけていた患者の47%がHbA1c7%以上
 そのうち44%が今までDMと診断されていなかった。

★病態⇒軽症のDMであっても高カロリーの流動物の反復投与により比較的容易に高血糖になりやすい。口渇など自覚症状乏しく、飲水が制限されているため糖毒性発現しやすい。


 経験的にも、経腸栄養の患者さんでは、表面的にはあまり変わりなくて気がついたら大変な高血糖になっていた、HHSになっていたなんてことを経験することも時々あります。気をつけないといけないですね・・・。
  
 「DM既往なし、もしくはDMコントロール悪くなくても、経腸栄養患者が“何か調子悪い”時はHHSの可能性も念頭に」

 
 

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