高円寺から徳島へ!JACの味噌
徳島県で約400年前に誕生したという「阿波踊り」。徳島の夏の風物詩だが、東京では阿波踊りを高円寺発祥だと勘違いしている人が結構いるようで驚く。尤も徳島の宣伝下手に加え、高円寺で開催される阿波踊りの人出が本場を凌ぐ様を見れば、誤解されても仕方なしと思える部分はある。しかし、なぜ高円寺で定着するに至ったのか。
それは昭和32年、高円寺の商店街青年部が町おこしで始めたのがきっかけだそうだ。当時、隣の阿佐ヶ谷で既に行われていた「七夕祭り」に対抗し取り入れたという。その後、東京在住の徳島県民の指導を受けてブラッシュアップ。今では100万の観客を集めるまでに大きくなった。さて今回訪れた「味噌そばJAC」。こちらもまた、高円寺とは縁がある。
ご主人の佐藤友紀氏は徳島「東大」の出身で、上京後は味噌が人気の市ヶ谷「麺処くるり」でも修業。2012年9月に阿波踊りのある高円寺で徳島ラーメンを出す「中華そばJAC」を創業した。人気を博すもビル取り壊しのため2021年6月に閉店。それが5か月を経て、2021年11月30日に徳島駅そばで「味噌そばJAC」として復活したのだ。
店舗は徳島駅前のアーケード商店街「ポッポ街」の一角にある。店内はL字カウンターのみ8席。麺メニューは「味噌そば」「辛みそつけ麺」の2軸で、野菜増し、味玉、生卵、極太メンマ、チャーシューを追加トッピング出来る。また、残ったスープに入れる追い飯も用意。今回は「特製味噌そば」の並盛(1050円)を注文した。
スープのベースは鶏か豚骨か。ドロドロと粘度が高く、マイルドな味噌を加え甘めに仕上がっている。上から辣油が回しかけられており、程よい辛味も加わり旨い。合わせる麺は、徳島市沖洲のマルメン製麺所謹製。平打ちでモッチリした食感の中太麺だ。言わずもがな、ドロドロのスープは麺によく絡み相性抜群である。
チャーシューはバーナーで炙ってからの提供。トロトロの脂身と赤身部分のバランスが良いバラ肉で、香ばしく食べ応えもあり絶品だ。豆モヤシ、粒が大きめのミンチ、ニラ、コーンは鉄鍋で炒めてあり、特にモヤシはシャキシャキした食感で旨い。ほか、黄身ホックリの味玉、刻んだ小口ネギ、極太メンマがトッピングされる。
そして卓上には黒コショウのグラインダー、生ニンニク、昆布酢、スパイスが用意されている。特にスパイスは、クミン、コリアンダー、レッドチリを合わせたもので、スープの印象をガラっと変えてくれる面白い存在だ。こりゃ徳島には無かったタイプの味噌ラーメンである。高円寺から徳島へ、踊りが繋いだ一杯。徳島での躍進が楽しみだ。
<店舗データ>
【店名】 味噌そばJAC
【住所】 徳島県徳島市寺島本町西1-49
【最寄】 JR高徳線「徳島駅」徒歩3分