おかげさまで、良い夏休みを過ごさせてもらいました。
2日間も時間を全く自分の好きに使えることなど、めったにないことなので、大分からは近いようで日帰りするには遠い、阿蘇とくじゅう高原に行き、やりたくてもできなかったことをすべてやろうと計画しました。限られた日数の中で無駄無く移動し、最大限いろいろな体験をしようという、旅行の計画をたてるのは得意中の得意です。
もちろん、計画したことがすべて実行できるとは、限りません。計画したことがうまくいかないと、焦ったり怒ったり悲しんだり、あげくの果てに人のせいにしたりしがちですが、そんなことでは、夏休みの意味がありません。まして、阿蘇くじゅう国立公園は今年は雨が多く、先月には大きな被害が出たばかりです。天候、道路の状況によって、できないことも出てくるだろうけど、いろいろ計画したうちひとつでも実行できれば良しとしようというつもりでした。天気予報も、金曜日には雨の予報が出ていました。
ところがありがたいことに、完全に中止しなければならなかった計画はひとつもありませんでした。あるいは良い風が吹かず、2本の予定を1本に、あるいは途中で雨と雷に合い、1時間の予定を30分で切り上げた計画もありましたが、それでも十分に楽しかったのです。そしてメインイベントは、その後に来ました。
2日目の夜は、周りに何も無い、高原の宿に泊まったのですが、そこで一番楽しみにしていたのが、夜の星空です。私は、SFが好きで星を見ては宇宙に想いをはせるような少年だったのですが、子供たちが小さい頃に家族で北海道の山の中で見た天の川も忘れられず、またいつかあのような夜空を見たいものだと思っていました。しかし、旅行でそのような場所に行った時は、ちょうど天気が悪かったりして、なかなかその機会が得られなかったのです。この日も午後から激しい雨が降り、雨が上がっても日が落ちたころから宿の周りは霧に包まれ、今夜もだめかと諦めていました。
それが、9時頃食事が終わって外に出てみて、驚きました。雲一つない満天の星空になっていたのです。25年ぶりに見る天の川です。あまりの星の多さに、ふだん見慣れた星座が、よくわからないぐらいです。ペルセウス座流星群の方角を見ると、ひっきりなしと言っていいほどの数の、流れ星も見られます。宿の企画で、星を見るために久住高原に住みついてしまったという大天文ファンの方が、大きな天体望遠鏡を宿からほど近い丘に持って来てくださり、いろいろな星雲(他の銀河)を初めて見ました。
その方のお話だと、この企画は毎晩予定しているのだけど、今年は雨が多く、実は8月になってこの企画を開催できたのは、この夜が初めてだったのだそうです。星を見るためには、月の明るさはじゃまになるのですが、この夜は月の出も夜明けごろで、すべてが揃って奇跡的に見る事ができた星空なのでした。この夜だけで、1年間の疲れが一気にどこかに行ってしまったような気がしました。