昨年襲名した三代目中村又五郎さんは、私と同年齢です。歌舞伎はあまり詳しくありませんが、この方は少年時代、中村光輝と名乗っていたころ、大河ドラマの天と地とで、主人公上杉謙信の少年時代を演じて、大変な人気が出た方です。あれほど少年時代は有名だったのに、歌舞伎の世界では、本家の御曹司ではないからか、お父様が早くに亡くなったからか、青年時代は目立たぬ存在でした。私が少年時代、はじめて夢中になった時代劇は大河ではなく、民放が大河に負けない時代劇をという意気込みでつくった、TBSの真田幸村でしたが、幸村の一子大介も、彼が演じていたはずです。はずですと言うのは、インターネットで調べると、なぜか大介は、やはり同年齢で一門の御曹司である勘九郎(今の勘三郎)となっていることが多いのです。それだけ青年時代は忘れられた存在だったのでしょう。
と、今日は個人的に思い入れのある中村又五郎さんをテーマにしようとここまで書いて、勘三郎さんについても確認しておこうとインターネットを見て驚きました。勘三郎さんの訃報を今知りました。
まだ、56歳です。本当に残念なことです。歌舞伎は大きな存在を失いました。最近、特発性難聴、食道癌と、次々に病を得ながらも克服してきた勘三郎さんですが、ARDSにより世を去りました。
ご冥福をお祈りいたします。
もう長いこと歌舞伎は見に行っておらず、勘三郎さんの舞台はテレビでしか見ていません。しかし、同世代の中のトップランナーのひとりとして、注目していた存在でした。 同年齢、子供たちもほぼ同じ年で、昔ディズニーランドで、ちょろちょろ走り回る小さな男の子たちを連れて来ていらっしゃった勘三郎さんをお見かけしたことがあります。こちらも同じように子供づれ、とても親近感を覚えたものです。
その小さな子供たちが、今の勘九郎、七之助さんです。父の死の直後の舞台を勤め上げての勘九郎さんの口上は、本当に立派なものでした。