副鼻腔の粘膜は、鼻腔や気管支と同様、線毛上皮に被われています。細菌や異物などは、上皮の表面の粘液に吸着され、その粘液は線毛と呼ばれる細かい毛の動きで運ばれ、排出されます。気道を守る重要な仕組みです。副鼻腔は自然孔と呼ばれる小さな窓で鼻腔とつながっており、線毛の動きはこの自然孔に向かい、さらに鼻腔の後方に向かって行きます。
副鼻腔炎はウイルス感染(かぜ)から始まることが多いのです。かぜでダメージを受けた副鼻腔の粘膜に細菌が感染して、上皮や上皮下の組織が傷害された状態が、急性副鼻腔炎です。自然孔からの排出が滞り、粘液の産生も増えて、炎症が長引いたのが、慢性副鼻腔炎です。
自然孔が閉塞した動物の細菌感染による副鼻腔炎を見ると、まず著明な粘膜の傷害と好中球の浸潤といった急性炎症の所見が見られます。1ヶ月すると傷害と修復が同時に見られるようになり、杯細胞(粘性の強い粘液を産生する細胞)が増え、慢性副鼻腔炎の状態になります。