貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

ベリル

2021-11-20 19:50:31 | 単品

ベリル(Beryl 緑柱石) Be3Al2Si6O18 サイクロケイ酸塩鉱物
なんて言うと、まあ普通の人は知らない。
アクアマリン、エメラルドというと、ああ宝石ね、となる。そして
「え? アクアマリンとエメラルドって同じ石なの?」となる。
あちきもそうでした。何だよそれ。
柱石(スキャポライト)は別物。柱石で検索するとよく緑柱石が出てくるので困る。紅柱石も別。それはアンダルサイトでカイヤナイトの妹。

ベリルは美しい石が多い。ベリル、ベリービューティフル、なんちって。(ひどい)
美しいから色ごとに名前をもらった。

・青=アクアマリン  二価鉄含有
・緑=エメラルド  クロム含有
・ピンク=モルガナイト  マンガン含有
・黄金色=ヘリオドール  三価鉄含有
・無色=ゴシェナイト
・赤=レッドベリル(ビクスバイト、レッドエメラルド) マンガン含有

へえ、と思いましたね。ピンクも赤もあるのかよ、と。
ちなみに、二価鉄と三価鉄の両方を含んだ黄緑のグリーンベリル/ミントベリル/ライムベリルというのもあるが、だいたい加熱処理してアクアマリンにしてしまうらしい。もったいなくね?
レッドベリルは、採掘元だかがレッドエメラルドと呼ぶことを提唱したけれど、「エメラルドはもう色の名前になっているからあかん」と却下され、じゃあと、「ビクスバイト」にしようとしたら、すでにあるビクスビアイト(ビクスビー鉱)と紛らわしいとこれも非難囂々になって、結局レッドベリルのまま落ち着いたとか。そう言えば五反田で母岩に超ミニサイズの結晶がついたものが800円で売っていたな。でも老眼には小さくて無理ぽ。

ベリルというのは、ベリリウムを含んでいる。
これも、最初は希少金属かと思いましたが(文系頭w)、そうではない。
Be 原子番号4。4だぜ4。4番目に単純。さぞやいっぱいあるのかと思いきや、案外少ない。地殻中では10億分の5くらい。けど、「ベリリウムは約4000種類の既知の鉱石のうち、約100種類の鉱石において主成分となって」いるとのこと(ウィキ)。何だよそれ。変じゃね?
ベリリウムは「アルカリ土類金属」に含まれたり含まれなかったり。金属なのか何なのかよくわからない。「ベリリウム・マグネシウム・カルシウム・ストロンチウム・バリウム・ラジウム」が「第2族元素」で一族らしい。要するにマグネシウムの弟分みたいなものか? カルシウムは金属じゃない感じだけど、後は金属と言われればそんな感じもする。ほんとにわけわからん。
宇宙船の構造部材を始め、非常に様々な工業的用途がある。一方、単体では人体に対する毒性もある。単体での話であって、アクアマリンを粉にして飲んでも死なない。
ふーん。よくわからん。この世にはいろんなテクノロジーがあるのだなあ、と少し茫然。
しかしベリルを調べなかったらこんなことを知ることもなかった。これも石好きの功徳で、ありがたいこと、かな。(まあジジイが知ってもどうということもないけどね)

ベリリウムを含んだ鉱物で有名どころでは、
・フェナカイト(Phenakite フェナス石)Be2SiO4(単独派=ネソ) アルミなし
・クリソベリル(Chrysoberyl 金緑石) BeAl2O4 (アレキサンドライト)(酸化)
・ユークレース(Euclase) BeAl(SiO4)(OH)(単独派)
などがあります。どれもきれいな石。そして高い。
ま、要するに、ベリリウム鉱物は美しいものが多い、ということ――と思いきや、100種もあるんだったらそうでないものも多いということかな。どうもよくわからない。

アクアマリンというのは、宝石質の透明なものだとあんまり澄んでいて、淡い青で、ちょっと頼りないというか、面白みに欠けるというか。宝石としても高い部類ではないようで。
むしろ、透明度のない、青のはっきりした石のほうが、味わいがある感じ。「ミルキーアクアマリン」ね。むしろそう言って売り出せばいいのにと思う。
とはいえどちらも人気があるらしく高い。高級品はやはりすごく美しいけれど、お手頃値段品でも美しいです。結晶とミルキーのタンブル。両方とも Stone of Wakou 産で千円台。控えめに小さく。

アクアマリンの安ブレスレットについては別項で扱いましたが、別にアクアマリンのさらに安いブレスレットがあって(何でそんなに買う?)、それ、シラー(内包された層の輝き)が出るんですよね。おい、アクアマリンにシラーなんて出るか?
何やらインド産アクアマリンには、サンストーン混じりのものがあるとかいう話がある。え? アクアマリンとサンストーンは混じるか? ようわからん。
ま、それはそれで美しいのでよしとするか。
【追記】「アベンチュリン・アクアマリン」というラメの光るアクアマリンがあるようです。ラメがあるから「サンストーン」と形容したので、長石ということではなさそうです。

こちらは前にも書いたモルガナイトの原石。これも Wakou 産だな。

モルガナイトの透明なものは宝石クラスで、ファンが多いのか、モルガナイト専門店という石屋さんもある。びっくり。

エメラルドは四大宝石の一つということもあってやはり高い。で、「ミルキーエメラルド」(笑い)の安ブレスレットで楽しんでおります。白濁していても、いい色。ほわあっとなります。安いからちょっと黒い混ざり物がありますけれど。

ヘリオドールは稀少なせいかえらく高い。で、ミネラルフェアで見つけた1000円の小さな結晶。少し色は薄くて姿も素っ気ないけど、ヘリオドールの黄金の雰囲気は味わえる。(お手頃品ばっかだな)

ゴシェナイトは、うーむ、透明な石でもっと特色のある石は多いし、そもそも高いし。

ベリルのいろいろな色を並べてみたいけど、まあ無理ですな。

ベリルおよびベリリウム鉱物は美しく悩ましいのであります。


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