貧乏石好き

つれづれなるままに石をめぐりてよしなきことを

アイオライトをめぐる迷走 ②アイオライト・サンストーン

2021-10-16 21:18:34 | 単品

前項の「角度によって完全に透明になる」石です。



反射光で見ると、石の内側にきらきらと虹色の光点が浮かびます。見る角度によっては、少しばかりキャッツアイのような「動く光の線」が浮かびます。写真だと表面しか写りませんね。

石の説明にはヘマタイト含有と書かれていました。ヘマタイトは赤鉄鉱(Fe2O3)。単独でも存在しますが、ラピスラズリや水晶などの中に、よくインクルージョンとして登場します。

でも、何となく解せないことが。
アイオライト・サンストーンは、あちこちのサイトで「アイオライトとサンストーンの混合物」だと説明されています。しかし、サイクロケイ酸塩であるアイオライトと、テクトケイ酸塩(長石)であるサンストーンが混ざり合う(しかも方向変色する)なんていうことがあるのか。「サンストーン」という言葉を、微細な鱗片状混入物(アベンチュレッセンス)を含んできらきらと輝くもの、として使っているのではないか(アベンチュリン・アイオライトという表記もたまに見かけます)。
どうもよくわかりません。

それはさておき、このアイオライトサンストーン、手に入れた「下から照明の台座」で見ると、びっくり。強い光によって、濃い青が素晴らしく美しい青に輝く。そして角度を変えると黄色に明るく透き通る。

きらきらは光るし、方向変色もダイナミックだし、何よりわずかに紫を帯びた青が美しいし、「一粒で三度おいしい」。かくしてこのアイオライトサンストーンはあちきの「お宝」石になったのでした。

(ツイッターに動画を上げてみました。ひどい動画ですけど。)

 


アイオライトをめぐる迷走 ①奇妙な石

2021-10-15 20:55:58 | 単品

きわめて私的なごたごた記録です。

アイオライト(Iolite 菫青石 Mg2Al3(AlSi5O18) 正式鉱物名はcordierite)という石については何となく知っていて、安いブレスレットがあったので買ってみた。(またかよ)何と700円。(安っ)
着いて手に取ってみて「うーん」と首をひねった。菫青石とは程遠く、暗くくすんでいて、あえて譬えれば「あんこ」みたい。(スミレはあんこにならんぜ)
ただ、光にかざすと、あら不思議、一転透明に近くなる。ふうむこれがカラーチェンジか、と初心者のあちきは思ったのでした。

アイオライトを売っているサイトにはたいてい、「太陽に向けてまわすと色が変わる特質を利用して、北欧のバイキングはこの石を羅針盤として身に付けていた」といった伝説が引かれますが、回しても色は変わらない。まあ、神話のようなものだろうかと思いました。

しばらくして、新宿紀伊国屋の東京サイエンスさんの出店で、「ミニ標本」としてアイオライトが置かれていた。磨いたとても小さなタンブル。
かなり透明で、青が少ししか見えない。これじゃインクルージョン入り水晶とさして変わらんじゃないかと思いつつ、安かったので買ってみた。(その安けりゃ買うみたいなやり方がよくないんちゃう?)まあ、きれいはきれいなのでコレクションケースへ。

「なんでこんな地味な石があちこちで売られているのだろう」と不審に思い、アイオライトのことは半ば忘れ掛けていました。
その後、石の色に関してあれこれ調べているうちに、「多色性」ということにぶち当たり、そこで、「わずかな角度の違いで透明になったり青になったりするアイオライト」の写真を見てびっくり。(下はウィキペディアの「多色性」から)



そこでブレスレットと小タンブルを改めて見てみた。ブレスレットは相変わらず。けれど小タンブルの方は、確かに横から見ると青が濃くなる。けれどそれは石に色の偏りがあるからのようにも見える。ううむ、と首をひねったのです。
もっとちゃんとした石を買わないとだめなのか、と、お気に入りの千葉四街道の老舗「セルフクリエーション」さんのサイトで探してみると、「二色性がはっきりわかります」という説明の「アイオライトサンストーン」というのを見つけた。で、ぽちっと。

石が来て手に取って回してみてびっくり。普通に見ると暗い青なのに、横のある角度から光を透かすと、ほぼ透明になる。
あやや、これかい。
しかし何でこんなことが起こるのか。
アイオライトに対するあちきの興味は膨らんでいったのでした。


モリオン

2021-10-14 21:18:09 | 単品

色は石の魅力の大きな要素だけれども、色がないものもある。
色がないには二つ。透明。そして黒。
透明は来る光を何でも通してしまう。黒は来る光を全部吸収してしまう。
どちらも変と言えば変。
(おい、何か忘れてないか?)
あ、白もあったね。でも白はちょっと面倒だからないことにする。(おいw)

で、黒。
有名どころでは、ショール(ブラックトルマリン、鉄電気石)、モリオン(黒水晶)。
昔オニキスと銘打った黒いアクセサリーが流行ったことがある。どちらかというと男性向け。バブル時代に男たちも身を飾ったのかな。
オニキスとはカルセドニー(アゲート、微晶質石英)の別称で、黒だけを指すものではない。今はあんまりオニキスという言葉を見ない感じがする。ちなみに「レインボーオニキス(オニックス)」(豚肉石としても有名、いや有名じゃないか)はカルサイト。何でこんな混乱が起こっているのかは知らない。
オプシディアン(黒曜石)はガラスなので、真っ黒ではない。時々レインボーやスターを見せる。ちなみにガラスは鉱物ではないし固体でもない。
エジリン、ネプチュナイト、ビクスビアイトといったちょっとレアなのもある。
石墨(グラファイト)はあんまり黒くない。同じ炭素鉱物で最近はシュンガイトという石炭がもっと確固たる石になったような黒い石もある。なかなかきれい。
まあけっこうあるね。

で、モリオン。黒水晶。やっと本題。(寄り道しすぎ)

これは全体の姿が妙によくて、そのくせ安かったから買ったもの。誠安天然石さんから。中国山東省産とのこと。なんかこの頃山東省産がやけに多い気がする。山東半島がなくなったりしないだろうか。(ねーよw)
側面はピカピカで横の条線が入っていてとてもきれい。レムリアン・モリオンだああ。(よせ)



結晶が寄り添うように接合しているのは、「カテドラル」型と呼んでいいのかな。よくわからない。小さな煙水晶の結晶もくっついているし白い嵌入結晶もある。嵌入結晶ってどうやってできるのか不思議。底のほうは半透明水晶。お安いわりになかなか味わいがあってお気に入り。
モリオンを磨き石にしてしまうと、ちょっと人工物っぽくなって、もうひとつ面白みに欠けるような気がする。やっぱり一応水晶の形をしているのがいいような。

モリオンがなぜ黒いかは、アメジストがなぜ紫なのかと同様、はっきりわかっていないらしい。放射線によって中に含まれた微量のアルミニウムに電子欠陥が生じ、それが光を吸収するという説がある。「微量のアルミ」なのにこんなに真っ黒になるのかしら。ケイ素の原子欠損ではないのだろうか。(意味わかって言ってる?)
アメジストもモリオンもよくある石なのに、その色の秘密が隠されているというのは、とても面白い。わからないことはいっぱいあるのだよ。それがいい。
モリオンには人工的に放射線を照射して黒くしたものがあるという話もあるけれど、わざわざ放射線照射して、こんなに安い値段で売るのは割に合わないような気がする。放射線て安いのか?(いや線が安いというのは変だろ)
まあ放射線は自然でも人工でも放射線だからね、偽物というわけではないでしょう。(そうか?)

黒は黒で美しいんだけど、しばしば「魔除け」の意味を帯びるようで。なぜでしょうね。黒い魔が同じ色の石に吸い込まれてしまうから? でも吸い込んだらやばくね?
実はあちきも小さなモリオンの六角柱を職場の片隅に魔除けとして置いてある。けっこう魔が跋扈する場所なので。少しばかり魔が除けられているような気がしないでもない。(けっこうオカルティストなんだね)
でも内なる魔はなかなか退散しない。(そっちの方がはるかに厄介だなw)


変なカルサイト

2021-10-13 21:01:36 | 単品

変な石つながりで一つ。
これ、クリスタルワールド立川店さんで買ったカルサイト。中国産。
鼈甲色筆集合型カルサイト(そんな名前はない)

筆というかアスパラというか、そんなものが集まった形状。
鼈甲色というか鼈甲飴色(おんなじじゃん)というか、そんな色。しかも上下で色合いが違う。ゴールデンカルサイトとも言えないような。
何なんですかね、これ。
売りは「蛍光」で、ブラックライトで光る。しかもライトを消してから0.1秒くらい発光し続ける。のだそうです。あちきはブラックライトを持っていないのでわかりません。(いい加減買いなさい)
蛍光がなくても、十分、変に美しいです。強い光を当てると黄金色に輝く。
鍾乳石の一種かな。すごく壊れやすい。実はちょっと落っことして後ろを少し欠いた。
うーん、これは何だろう、と頭をひねりつつ眺めるのがいいです。


変なフローライト ⑤弁当箱?

2021-10-12 20:03:09 | 単品

フローライトの原石、つかかたまり。
荒々しい感じがよくて、安かったので(何と1500円)。ちょっとゲテモノ趣味かも。
大きい。598グラム。あちきのコレクションでは二番目に重い(一番はあの丸玉)。
ところどころに澄んだ結晶もついていて、ワイルドな中にも愛敬がある。あちきは「岩男君」というあだ名で呼んでおります。ラテン語だとペテロですかね。(おいおい)お前の上に教会は立たない。(こら)
ところがこれ、どうも変。真ん中あたりに。

これ、何ですかね。結晶のなりそこない?
まるで弁当箱じゃないですか。
外だけあって、中は不純物混じりで埋まっている。近くで見ると白い石の中に小さな結晶がちりばめられている。まるで炊き込みご飯。グリーンピースかな、枝豆かな。(どうでもいい)

四角い結晶で、外側近くを色の帯が四角く取り巻いている(いわゆる「ゾーニング」)というのは、時々見かけます。味わいがあって、評価も高い。
でもこれ、ちょっと違う。いや、全然違くね?(その変な日本語やめい)
結晶が外側から形成されるなんてことがあるんですかね。中は不純物混じりだから結晶として育たないでしょう。
この「弁当箱」はあちきの「結晶」というイメージを見事にぶち壊してくれたのです。面白い。わけがわからないけど面白い。

炊き込みご飯のお弁当箱を抱えた岩男君は今日もコレクションケースの片隅で幸せそうな顔をしております。