「アフガニスタンの亡霊」ーBS世界のドキュメンタリー

私がアフガニスタンを初めて意識したのは、1979年12月24日のソ連のアフガニスタン侵攻を報道した新聞

の見出しでした。大国によって戦争が始まる事を目の当たりにして衝撃を受けました。そして2001年10月

2日にアメリカ同時多発事件を受けアメリカ軍が空爆を開始し、イギリス軍も加わり、北部同盟が地上攻撃

を開始し、年末にはタリバン政権を崩壊させます。しかし2008年にはアフガニスタン国内で治安が著しく

悪化し、タリバンは周辺区域を掌握して、2021年にアメリカ軍は完全撤退しています。


このドキュメンタリーは2005年に従軍記者として現地入りした、カナダ人ジャーナリスト、グレアム・ス

ミス氏が何年にも渡って取材したものです。彼は自由を求めて発信し続ける女性や、ヨーロッパで勉強し

現地で医療を施す女性、その医師を介して都会で自由にふるまう女性たちとは、違う環境の保守的な女性

たちにも意見を聞いています。そして現場で感じた大きな矛盾によりタリバンの復活を予見します。


以前アフガニスタン製作の映画で見た山岳地帯の激しい起伏が非常に印象に残ります。かつては美しい国

であったという証言を他の番組で知りました。


大国の思惑で一つの国に戦争を仕掛け、泥沼化させて、多数の犠牲を生んだ背景には戦争によって潤う産

業がある事を忘れてはいけません。あらゆる産業の中でも突出して莫大な利益を上げているのです。そこ

には消費しかないのです。国の予算を食い尽くしても尽きない消費で、悲劇しか生みません。（2021年　

カナダ）