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正義の政治経済学   水野和夫 古川元久

2021-12-30 07:19:51 | 
現在、世界の最富裕層(ビリオネア)は、2189人(世界の総人口75億7500万人 世界人口白書2021年)

だそうである。その資産額は10兆2000億ドル(約1081兆2300億円)で、驚くことに2020年4月から7月の

間に27.5%増加しているという。コロナ禍で生活が厳しくなっている人たちをしり目に彼らは絶好調だそ

うだ。彼らの財産総額は最貧困層46億人の財産よりも多い。現代の富の不均衡をもたらしたのは〈新自由

主義〉〈自由貿易論〉そして〈グローバリゼーション〉だと本書の水野氏は指摘している。


行き過ぎた〈競争〉が、その荒波に乗れない弱者を多数生み出し、〈小さな政府〉の下では、社会福祉も

削減され、国の公的支援を受けられない人が増える。そして日本特有の自己責任論が出てくる。(ハッキ

リ言って自己責任論をこれだけ吹聴するのは、政府与党と官僚の政策の失敗の連続を押隠す為に他ならな

い)


「資本は暴走するものだから、どこかでブレーキをかけなくてはいけない」という。しかしコロナ禍でア

メリカの株式市場は右肩上がりで、日本の大企業も過去最高益を更新している。格差はますます拡大する

ばかり。


古代ローマの神学者アウグスティヌスの教訓「正義がなければ、王国も盗賊団と異なるところはない」に

応えられない現代社会。既存のシステムを変えるために、トップの意識改革が必要だ。政治家はもとより

沢山の人に本書を読んでほしい。


     正義の政治経済学   水野和夫 古川元久        朝日新書
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