星蜜記

ホシ蜜と申します。リンパ浮腫、乳房再建、食べ歩き、ワンコ(柴7歳)のことなどあれこれ思うままに綴っています。

じゅんとの別れの時

2021-06-29 17:41:00 | いぬ時々ねこ
じゅんが亡くなる前日、ほぼぐったりとしていたけれど、私が洗濯物をたたもうと床に座ると、いつものように、けれどとてもゆっくりとやって来て、私の足にぺったりとくっついて寝そべった。私はじゅんの全身を撫でながらまた泣いてしまった。
何日も泣いてばかりいて、まぶたは腫れているし目はチカチカするし。なるべくじゅんのそばにいようと、リビングの床やソファで寝ていて熟睡していなかったので、目の下には立派なクマ。本当に悲惨な顔をしていた。

この日、じゅんは吐くものがないのに何度か吐こうとしていた。その度に苦しそうな声を上げていた。その時以外にも呻き声のような声を時折り出すようになっていた。それでも、部屋の中を少し歩いたりする力はあった。

じゅんは何度も外に出たがった。なんでも望みをかなえてあげたくて、抱っこして家の周りを歩いたり、一緒に日向ぼっこをしたりした。外にいる間は不思議と吐き気や苦しそうな声は出なかった。じゅんは元野良猫だけあってお外が大好きだった。

家の中に戻ってしばらくすると、いつのまにかじゅんの姿が見えなくなった。
また外に出たいのか、玄関のドアの前に横たわっていた。
ドアを開けてあげるとヨロヨロと外に出てまた横たわった。
息はもう口呼吸になっている。その時が確かに近付いていることを確信した。
だから、何度もじゅんに言った。「もう頑張らなくていいんだよ」と。泣きながら何度も言った。
それでもじゅんは立ち上がって、少しずつ歩こうとしていた。そして、13年前の9月に私たちが初めてじゅんに出会った玄関の脇に寝そべった。

そのうちに夜になり夫が帰宅した。「じゅん」と呼ぶと、尻尾でパタパタと返事をした。この頃はまだ意識があったようだった。
幾度も立ち上がろうとしては崩れ落ち…。じゅんはまだまだ生きたかったのだろうな。肝臓さえ悪くならなければ、ほかはまだまだ元気いっぱいで、あと何年も生きられたのだと思う。もっと早く治療を始めていたら…。

この後、前の記事にも書いたけれど、「もしかしたら」という一縷の望みをかけて無謀な点滴をしてしまった。あの点滴がなければ、眠るように安らかに逝かせることができたのかもしれないのに、苦しい時間を長引かせてしまった。

うっかりウトウトしてしまいハッと目を覚ますとじゅんはまた玄関の近くに居た。心臓は動いていたけれど、意識はないようだった。名前を呼んでも、もう尻尾が動くことはない。じゅんは時折り体を震わせた。それからの1時間は夫とふたりで、じゅんの体を撫でながら見守った。
やがて急に足を伸ばしたり手をギュッと縮めたりした。その後、じゅんの体に置いた手のひらに感じていた生命の流れのようなものがぴたりと止まった。夫がじゅんの体に耳をあてて確認すると、心臓も止まっていた。朝4時50分。じゅん、お疲れさま。もう苦しくないよね。



13年前の9月、拾われてうちの子になった夜、暴れてあれこれひっくり返した後、小さなカゴにおさまった。
小さくてふわふわのじゅん。
仮の名前は「鼻クロさん」だった。
コメント (6)
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