20日の月曜日は父の四十九だった。大寒に入った事もあり墓地は急斜面の道を上らないといけない事もあり、少し暖かくなった頃お彼岸までに納骨をする事にした。
年が明けても、弔問客はボツボツと来て思い出話をしてくださる。父の温かい人柄を話されるので返って良かったのではと思う。
日が経つに従い、父の居ない寂しさは大きくなってくる。初詣に行くことも出来ず、長い正月休みは母と二人静かに家の中で何か物足りない日々を過ごした。
この半年、父は食べる事は出来なかったが、何か美味しいものをと思いながら食事を作った。
二人になると、全くどうでも良くなり食費が掛からないと母がこぼす。作っても張り合いがないのだ。
年明け早々の話としては良くないタイトルとなってしまったが、それまで家でじっとしていた事もあり、外へ出たかったのかもしれない。
土曜の夜千葉から帰って来た友人と四人で夕食を取りに寿司屋へ行った。
前日彼女が昨年末で失職したkと出会い、集まりに呼んで欲しいという事で彼もやって来たが、たぶん彼を慰める会になるで有ろうと思っていたが、kが来たことでとんでもない事になってしまった。
約束の時間に行くと、kは一足先にカウンターで飲んでいた。
そんなに飲んでいるようには見えなかったが、kの一方的なおしゃべりで始まり、くだらない同級生の噂話ばかりだった。
そのうち何を思ったのか、私に対しての攻撃になった。
「こいつが不倫してのう…。」と言い出した。
「え!してないよ。してないわ。」と驚いて言い返したが、私が反論すると、一層声は大きくなりくじょ説になり攻撃的になった。
「なんで?二人で合うのはまずいから、いつも誰か他に一人か二人がいて一緒も飲んでい多だけなんだけど…、一度誰も居なくてkを頼んだのよ。それが不倫なの?」と言い返すと、チエサンがひきつった顔で
「人選が悪いわ。プラトニックだったのね。」とつぶやいた。
「してないわよ。」と言い返すと、益々声高になり、ニタニタ薄笑いをしながら
「いや~、したした。」としつっこくいたぶるように言い出し、私は抗い隣に座っているkを突っついた。
昔からkは人の嫌がる事を言いはじめたら、反抗するほど、輪をかけて口が悪くなる。
その場でも私に対して攻撃を始める前、なぜか昔彼らがいじめた子の話になり今だったら大変なことになると言ったところだった。
そこでも中学生の頃ある女の子の話をkが話し始めた。
「あいつはかわいそうだった。○○が『臭い』と言ったことから、それから始まった…。」
その話はその頃はクラスが違ったので知らなかったがひどい話である。
「よく自殺しなかった事…、20年近く前にも腋臭で男子生徒に無視されて自殺した事があったわよ。」
と、言ったことが気に入らなかったのかもしれないが、
以前彼の事は書いたことがあるが、確かに彼に対して惹かれたが、10本の指でも足りるほどしか一緒に飲んでいない。それも二人だけという事は無かった。ある晩、私が酔って午前様で帰宅するので、母が私の部屋に来て玄関のドアを開けるなり仁王立ちに立っていて雷が落ちた。しかし、酔っ払っている私にはぬかに釘でへらへら笑うだけと母が翌日こぼしたことがあった。
ドライブに誘われた時、これが最後と決め、桜を見た後、喫茶店で話したのち別れを告げた。
それ以来会ったことはない。自分の気持ちに蓋をして終わった。
それを知っているkがこんな事を言い出すとは…、kの節度のなさに驚くと同時に、こんな人間とよく45年近く友達付き合いをしたものだと信じられなかった。
その時の顛末をいちいち説明するのはだらしく、ただ「していない。」としか私は言わなかった。
その後食事も終わり、お開きにしようと思っていたら、また、kは話を戻し私に対して攻撃を始めたので、彼をひっぱたき、もう湯呑は空であったが、ぶっかける素振りをしたりして小競り合いをしている処にユキちゃんから帰省した友人に電話が入ったが、彼女はこれには触れず、ノー天気な声で「みんなで食事したの~。じゃあね。」であった。
私は著しくプライドは傷つけられ、対面に座っているチエさんは暗い顔になり、帰省した友人は何の配慮もなくニコニコしているだけであり、その場を制ししようとはしなかった。
家から近い店で店の人も知り合いでお運びの人も知り合いである。私はこれからこの店の周辺でモラルもない不倫女扱いであろう…。
帰宅して私の怒りは収まらず、なぜ私はkと友人であったのだろうと思い返した。
ただ幼稚園から一緒だったと言うだけであり、高校3年間一緒だったと言うだけである。おまけに困ったときしか連絡はない。冗談で腐れ縁と言っていたが、本当に腐れ縁であったが、それでも何かと相談も乗り、私でできる事ならばと協力もしてきたが、彼の私生活に対して面白おかしく人に語ったことはない。
その夜の会話にしても、同級生の失敗談を面白おかしく話し酒の肴にしただけである。
しかし、彼に悪意があるとしか思えない。この話は全部知っていることである。
少し離れてみると何と次元の低い会話であり何もなくまるで中学生の頃と変わりはない。
「あんたの口の軽さにウンザリ、さいなら。」と携帯で言ったが、彼はそれが最後だとは気づいていない。わずか10秒の短さだった。
その後携帯から彼のを削除したが、怒りは朝まで治まらず、一睡も出来なかった。
朝になり、ノワタリさんに昨晩の事を話した。
「ええ~!何、してもない事をしたと言われたの~。ひどい、たとえしたとしてもそれをかばうのが友人なのに…。仕事を無くして溜まったものをあなたにぶつけたのね。」
「ええ、友人じゃないんですよ。困った時しか連絡ないんだし、携帯から除けてさっぱりしたわ。ずっとあのこと居たらイラついてたけどもう次元が違うのね。」
「そうです次元が違います。上が『懲らしめやれ』って言ってるわ。」
「ええ!神様がそんな事おっしゃるの?」と余りにも人間臭いので驚いたが、
「でも、別にしない あほらしい。もう関わりたくないし、腐れ縁が切れたのね。」
「何もしなくてもあなたが離れたら、守りが無くなるから同じことね。」と言われた。
たぶん、前世で借りでもあったのだろうが、これでチャラ。
kとは今後付き合わないとその場にいた二人と、来られなかったユキちゃんに話したが、3者3様で、
帰省した彼女は軽くどうでも良いというような感じで
「うん、あんたしてないと思うよ。」で当たり前だと電話後怒りが込み上げてきた。
ユキちゃんは私と同じように怒り、
「その話し、思い出したわ。ずっと昔の話よね。あいつはバカ、上から目線でものを言って人の失敗を面白い誇張して酒の肴にして、私達は自分の失敗やドジを面白く言うだけなのにね。何考えてるのよ。あんたに妬みがあるのよ。」
ノワタリさんの話を伝えると、
「そうよ。見えてるわ、私達が離れたらいい事ないわよ。感謝が無いのよ。なんであの二人は止めなかったの?電話しても言わないし…。」
「もう、ええわ。昨日ずっと考えたけど、昔の話だけで話の内容が無いから時間の無駄でもう会う必要もないのよ。」
と言いつつ、彼が東京に行った時、
「あなたのお友達のあの人気の毒だけど惨死するのが見えたのよ。」と言われた事を思い出した。
地元に帰ったことでそれを免れたと思っていたが、この先はわからない。
その事はユキちゃんに伝え二人で心配した。
「もう地元には居られないでしょ。」
「そうね、仕事がないから…。永らくは居ないでしょ。二人とも忌明けだから神社へお参りに行こうね。」
と二人で話し合ったが、住んでいる土地の浄化が終わり父が亡くなってからこの件だけでなく加速して私の周りで余計ないものは私の意思に関わらず、整理されていることを実感する事の一つだと思った。