今年の7月の初旬5年間仕事に使っているプリンターの印字が出来なくなった。エラーメッセージもろくすっぽ見ずにトナーカートリッジを買った。しかし、後々よく見るとそれはトナーでなく「セッチャクユニットヲコウカンシテクダサイ」のメッセージが出ていた。
何々 接着ユニット???
このプリンターはAmazonで型番遅れで9割引き近い値段の1万円足らずで購入したものだった。レビューも上々で その通り以前使っていた二桁違いの高価なものよりもA3からA4と小さくなったが性能は良いくらいだった。
慌てて買ったトナーも無駄になってしまうので、接着ユニットを探した。
しかし、購入時から型番遅れなのでいくらさがしても、もはや生産中止で見つからなかった。
同じものが中古品で出ていたが、なんとそれは新品で買った値段よりも高く手を出す気がしなかった。
そのうち「ウィ~ン、ウィ~ン」と、泣き出しその度にメッセージが表示された。昭和のテレビのようにドンドンと叩いたところ、動き出し印字が出来た。
新しい物をと思って探しても、なかなかピンとくるものが無い。一度格安の味をしめるとその条件に合うものは無い。
ウイ~ン、ウィ~ンと悲鳴をあげ、一日に何度も叩かれながらかわいそうにプリンターは3か月近く動いていた。私達は時折ネットで探していたが、もう限界だと感じ始めた9月の末 思わぬところから発売時期がほぼ同時で型番の末尾が近く見た目が同じ中古品を見つけた。価格も納得の行く7,8千円。ダメでも諦めのつく価格であった。
トナーは大容量でローラーもすべて部品はチェックしてあると言う。
ドライバーをダウンロードするのが面倒なので接着ユニットを取り、交換するつもりで購入した。
そう決めた途端、驚いた事に意思があるかのようにこちらの気持ちを汲みとり鳴き声も全くあげず、叩かなくてもスムーズにプリンターは動き出した。
2,3日経って新品同様の製品が届いた。接着ユニットを交換と思っていたが、ローラーの摩耗と言う言葉が気になり、そのまま交換しようとすると、新しい物には電源コードは付いていてもusbコードが無く、チエさんと二人で今の物から外そうとするが、しっかりとかみついたように外れない。
「今まで我慢したのにそれは無いでしょ。」と言って怒ってるみたいに頑として離れなかった。30分位試みたがこれいじょうするとコードが千切れそうなので諦めて当初の計画通り接着ユニットを交換した。
それ以来、何事も無かったようにトラブルなく動いている。
「けなげで愛い奴じゃ。」と、昔の殿様なら言うであろう。新しいものに比べライトグレーが日に焼けて色もベージュぽっくなって所々手あかが付き汚れているのが目につき、感謝の気持ちを込めて拭いたが、今まで机は拭いてもプリンターの側面や全面を拭いた事が無かった。
大量生産で作られたもの、極端に言えば単なる粒子の集まり…と言うが、物にも魂があると知らされた出来事だった。それ以来、雑で粗っぽく物を大切にしない自分を反省し、かかわる全ての物に感謝しなければと思った。