今日の朝日新聞の記事『削れぬ思いやり予算もあえて政策コンテストに 防衛省』を読んで、「やはりそう来たか~」と思った方はなかなかの政策通です。一方、何で防衛省はそんなことするんだろうと思った方、ちょっと一緒にポイントを考えてみましょう。
先日からお知らせしている通り、平成23年度予算に向けた概算要求の基本フレームは、歳出の大枠を71兆円、国債発行の上限を44兆円とし、社会保障費とその自然増分の合計27.5兆円などを除いた上で、各省庁の概算要求枠を前年比で1割減で算出して、その1割削減分については各省庁がそれぞれ「元気な日本復活特別枠」に要望を出すことができるというものです。各省庁からの要望に対して、約1~2兆円の規模の特別枠をどう配分するかについては、「政策コンテスト(この名称の評判はあまり良くないようですが・・・)」でオープンな形で決定されることになります。
さて、各省庁が今、最も悩んでいるのが、(1)1割削減で何をどう削るか、(2)特別枠に何を要望するか、ということなのです。
まず、1割削減については、「予算項目のすべてで一律1割ずつ削れば簡単だ」と考えそうなものですが、これでは以前の自民党時代のシーリングと全く同じ予算編成になってしまいます。今回の予算編成の基本姿勢は、国民生活第一の政治の実現や、新成長戦略の推進をめざして「予算配分を省庁を超えて大胆に組み替えること」。それが、フタを開けてみたら前年度予算の1割減での焼き直しだった、などということになっては全く意味がないわけです。その意味では、まず各省庁で、(a)もはや役目を終えた事業を打ち切る、(b)不急の事業を凍結するか大胆に予算削減することで、(c)必要・緊急の事業に積極的に予算配分する、ことが求められている訳ですね。
そして、特別枠への要求については、マニフェストの実現や、新成長戦略の推進、強い雇用の創出に向けて必要な事業への新規もしくは増分の要望を出していく、というのが本筋になるでしょう。特別枠への要望は、それが必ず予算付けされるとは限らないわけです。つまり、リスクの高いギャンブルのようなもの。だからこそ、本当に必要な事業は概算要求枠の中で要求するのが筋で、この部分に「緊急性」の高いものや「絶対にはずせない予算」を出してくるのは、言わば禁じ手なのです。
ところが防衛省は、まさにその禁じ手を使ってきたわけです!
朝日新聞の記事にもある通り、防衛省が概算要求枠から一部削って、特別枠に要望することを決めた(a)在日米軍駐留経費負担(思いやり予算=2010年度は約1,900億円)、(b)艦船や航空機などを購入する際の契約で毎年の支払いが決まっている「歳出化経費」(同約1兆8,600億円)、(c)航空燃料などの「油購入費」(同約800億円)などは、いずれも「実際に削減するのは困難」と思われている「義務的経費」ばかりなのです。つまり、本来なら優先的に概算要求枠に残すべき予算項目を敢えてはずして特別枠に要望することで、総枠としての防衛省予算を前年度並みに確保することを狙ったわけです。政府としても、それははずせないと考えるでしょうからね。
単純に考えれば、これは明らかに禁じ手です。というか、今回の概算要求の基本フレームを敢えて無視した行動、と思われても仕方ないと思います。同じ事をすべての省庁がやったら、今回の組み替え基準など全く絵に描いた餅になってしまいますからね。ということで、これは防衛省がそうしたいと言っても、内閣が(財務省が)それを許さないという態度で臨まないと、予算編成全体がおかしなことになってしまうでしょう。
ただ、今回の基本フレームを逆手に取った(つもりの)防衛省のこのアプローチを、さらに政治主導でこちら側が逆手に取る、というのも一つのアプローチかも知れないと思ったりもしています。
どういうことかと言うと、防衛省は「予算が付くかどうか分からない」特別枠に上記の項目を出すわけですから、当然その「リスク」は理解しているはずです。客観的にみても、これらの項目は特別枠には馴染まないし、新成長戦略から判断しても重要事項ではないわけですから、予算付けをしない理由も十分にあります。だから、政治主導で、本当に切ってしまえばいいのです。その結果、国内的にも批判の多い「思いやり予算」が、この防衛省の英断(?)によって大幅に削減されて、その分、国民の生活のための予算に振り分けられるとしたら・・・皆さん、どうでしょう?
予算編成の基本方針を考えれば、防衛省にそういうアプローチは許さない、もし敢えて防衛省がそれを実行するならば、政治主導で切ってしまうことも厭わない ----- 国民のための予算をつくるんだという決意の下に、それだけの強い姿勢を示せるかどうかが今、政府与党に問われていると思います。
先日からお知らせしている通り、平成23年度予算に向けた概算要求の基本フレームは、歳出の大枠を71兆円、国債発行の上限を44兆円とし、社会保障費とその自然増分の合計27.5兆円などを除いた上で、各省庁の概算要求枠を前年比で1割減で算出して、その1割削減分については各省庁がそれぞれ「元気な日本復活特別枠」に要望を出すことができるというものです。各省庁からの要望に対して、約1~2兆円の規模の特別枠をどう配分するかについては、「政策コンテスト(この名称の評判はあまり良くないようですが・・・)」でオープンな形で決定されることになります。
さて、各省庁が今、最も悩んでいるのが、(1)1割削減で何をどう削るか、(2)特別枠に何を要望するか、ということなのです。
まず、1割削減については、「予算項目のすべてで一律1割ずつ削れば簡単だ」と考えそうなものですが、これでは以前の自民党時代のシーリングと全く同じ予算編成になってしまいます。今回の予算編成の基本姿勢は、国民生活第一の政治の実現や、新成長戦略の推進をめざして「予算配分を省庁を超えて大胆に組み替えること」。それが、フタを開けてみたら前年度予算の1割減での焼き直しだった、などということになっては全く意味がないわけです。その意味では、まず各省庁で、(a)もはや役目を終えた事業を打ち切る、(b)不急の事業を凍結するか大胆に予算削減することで、(c)必要・緊急の事業に積極的に予算配分する、ことが求められている訳ですね。
そして、特別枠への要求については、マニフェストの実現や、新成長戦略の推進、強い雇用の創出に向けて必要な事業への新規もしくは増分の要望を出していく、というのが本筋になるでしょう。特別枠への要望は、それが必ず予算付けされるとは限らないわけです。つまり、リスクの高いギャンブルのようなもの。だからこそ、本当に必要な事業は概算要求枠の中で要求するのが筋で、この部分に「緊急性」の高いものや「絶対にはずせない予算」を出してくるのは、言わば禁じ手なのです。
ところが防衛省は、まさにその禁じ手を使ってきたわけです!
朝日新聞の記事にもある通り、防衛省が概算要求枠から一部削って、特別枠に要望することを決めた(a)在日米軍駐留経費負担(思いやり予算=2010年度は約1,900億円)、(b)艦船や航空機などを購入する際の契約で毎年の支払いが決まっている「歳出化経費」(同約1兆8,600億円)、(c)航空燃料などの「油購入費」(同約800億円)などは、いずれも「実際に削減するのは困難」と思われている「義務的経費」ばかりなのです。つまり、本来なら優先的に概算要求枠に残すべき予算項目を敢えてはずして特別枠に要望することで、総枠としての防衛省予算を前年度並みに確保することを狙ったわけです。政府としても、それははずせないと考えるでしょうからね。
単純に考えれば、これは明らかに禁じ手です。というか、今回の概算要求の基本フレームを敢えて無視した行動、と思われても仕方ないと思います。同じ事をすべての省庁がやったら、今回の組み替え基準など全く絵に描いた餅になってしまいますからね。ということで、これは防衛省がそうしたいと言っても、内閣が(財務省が)それを許さないという態度で臨まないと、予算編成全体がおかしなことになってしまうでしょう。
ただ、今回の基本フレームを逆手に取った(つもりの)防衛省のこのアプローチを、さらに政治主導でこちら側が逆手に取る、というのも一つのアプローチかも知れないと思ったりもしています。
どういうことかと言うと、防衛省は「予算が付くかどうか分からない」特別枠に上記の項目を出すわけですから、当然その「リスク」は理解しているはずです。客観的にみても、これらの項目は特別枠には馴染まないし、新成長戦略から判断しても重要事項ではないわけですから、予算付けをしない理由も十分にあります。だから、政治主導で、本当に切ってしまえばいいのです。その結果、国内的にも批判の多い「思いやり予算」が、この防衛省の英断(?)によって大幅に削減されて、その分、国民の生活のための予算に振り分けられるとしたら・・・皆さん、どうでしょう?
予算編成の基本方針を考えれば、防衛省にそういうアプローチは許さない、もし敢えて防衛省がそれを実行するならば、政治主導で切ってしまうことも厭わない ----- 国民のための予算をつくるんだという決意の下に、それだけの強い姿勢を示せるかどうかが今、政府与党に問われていると思います。