おばさんの落書き部屋

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映画鑑賞〈追悼・新藤兼人〉

2012-08-18 16:02:52 | 映画

映画監督で脚本家の新藤兼人さんが老衰のため亡くなったのは今年の5/29、100歳だった。
自らの遺作と宣言された自らの戦争体験を基に完成した映画「一枚のハガキ」は98歳。
8/18~8/31まで名古屋シネマスコーレで〈追悼・新藤兼人〉と題し、11本の映画が上映されることを
知り、今日は「愛妻物語」(10:00~11:40)と「原爆の子」(11:50~13:30)と続けて2本鑑賞して来た。

「愛妻物語」
これは新藤兼人の監督デビュー作で脚本と監督をつとめ、実際のエピソードを数多く入れ、駆け出しの
シナリオライターを描いた自伝的作品だそうだ。
主演の乙羽信子も宇野重吉も若々しく、モノクロの画面からは風景・人物・服装・町並みすべて昭和の
時代の郷愁を感じさせる。
戦争に突入し始めたころの多くの人が貧しかった生活と新妻との交流がよく描かれていた。

「原爆の子」
紹介によると近代映画協会第1回自主制作作品。
新藤兼人監督自身が広島生まれで原爆の題材にいち早く取り組み原爆の本質を喝破したとある。
物語は1945年8月6日、広島に原爆が投下され、当時広島に住んでいた主人公・孝子(乙羽信子)は
家族の中でたった一人生き残る。
戦後、瀬戸内海の小学校で教師をしていたが、夏休みを利用して原爆被災のころ勤務していた
幼稚園の園児たちの消息を確認のため久しぶりに故郷・広島を訪れる・・。

新藤兼人監督作品の主演女優は、ほとんどが乙羽信子である。
懐かしい俳優の若いころの出演者にも会えて画像は良くないが、昔の貴重な映画を
再度、鑑賞するのも悪くない。
終戦記念日から67年、メディアでも戦争にまつわる記事や映画が映され、原爆の恐ろしさ、
戦争の悲惨さを戦争を知らない世代に伝えて、平和の大切さをかみしめる必要があると思う。
次は「裸の島」(8/23~)・「午後の遺言状」(8/28~)も鑑賞したい。 
  愛妻物語 



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3 コメント

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Unknown (江戸ハリス)
2012-08-22 18:59:45
今日は。
かっては「映画博士」の異名をとった(?)小生の薀蓄を少々。
溝口健二が監督した討ち入りのない忠臣蔵、戦前の大作「元禄忠臣蔵」を以前WOWOWで観た際、クレジットの「建築監督」に新藤兼人の名前を見つけたときは驚いた。
完全主義者の溝口が原寸大の松の廊下を作らせたエピソードは有名だったが、新藤の右往左往する姿が目に浮かぶようだ。
小生が新藤を知ったのは、日本を代表する
脚本家出身の監督というポジションを確立して以降だったので、若かりし頃、建築監督をしていたことに驚いた。
監督という言葉に当初から偉い人だったんだと思い込んでいたが、実際は、溝口の盟友ともいうべき新藤の先生である水谷浩が美術監督を務め、現場を新藤におしつけたということだったらしいのだが…。
その溝口を滝沢修が演じているのが「愛妻物語」。
生涯に3度結婚した新藤が最初の妻のために捧げた
映画で、それまで脚本家だった新藤が初めてメガホンをとった作品。
妻の役を現実に3度目の妻となった乙羽信子が演じている。2度目の妻との離婚が進まず、乙羽が随分長い間日陰の立場だったことは有名な話。
ツゥ-ショットの写真では、背の低い新藤のために
さりげなく一歩下がって立っていた乙羽が思い出される。
この映画の記憶は妻の死と朝顔。それに、夫に「苦しい時こそ笑え」とアドバイスする妻のセリフ。
隣人とのふれあいですかね。
宇野重吉がよかったなあという覚えがあります。
それにしても寝ても覚めても「溝口健二」という時間があったことを懐かしく思い出します。
返信する
本当に「映画博士」ですね。 (マライカ)
2012-08-22 21:50:46
江戸ハリスさんの守備範囲が広さといろいろな事をよくご存じで驚きました。
おばさんも映画好きではありますが、その場限りで過去のものはどんなストーリーだったかさえも忘れてしまっていることが多いです。
「ある映画監督の生涯・溝口健二の記録」がもう8/17で上映終了してしまっていたのが残念
また、情報をお寄せ頂ければ嬉しいです。
返信する
Unknown (江戸ハリス)
2012-08-23 22:41:55
今晩は。つれづれなるままに駄文を書かせて戴きます。
昭和の終わり頃だったか、NHKで「世界名画劇場」以外に名画を見せる企画があり、邦画限定で溝口とか、小津安二郎の映画をシリーズで放映した後、平成に入って、新藤兼人作品を連続上映した。ここで観た「さくら隊散る」とリアルタイムで見た「第五福竜丸」とマライカさんが今回御覧になった「原爆の子」の3本で新藤は原爆の恐怖を描いた。
広島出身の新藤には、原爆に対する特別の思い入れがあったのだろう。
小生にとって「原爆の子」の印象的な場面は、原爆ドー
ムでも、滝沢修のケロイドでもなく、乙羽の白いブラウス。
小生が最も、親近感を抱いている映画評論家(今では永井荷風研究家かな)の川本三郎が何かに書いていたが
男子にとって初恋の相手は大概担任の教師。
なおかつ、一定の年齢の者にとっては、その先生は白いブラウスを着ているというイメージがある。
本作の乙羽がまさにそのイメージ通りなのであります。
小生は34歳から39歳まで東京支店に勤務していた。
職場は八重洲口にあり、日本最大の書店「八重洲ブックセンター」で頻繁に開かれるサイン会には頻繁に参加し、好きな作家のサイン会であれば、休日に新宿や池袋まで出かけた。おかげで、幅120センチの書棚一杯にサイン本が貯まった。先年、娘にインターネットオークションで、
処分してもらい、売り上げは全部娘のへそくりになった。
ちなみに池波正太郎の梅安が1万円以上の高値。
娘の全く知らない、岸恵子や先日亡くなった高峰秀子の
本が結構高値で落札されたそうだ。
そんな中、手放せない本があって、故人となったジャイアント馬場や、吉行淳之介(但し、文庫本)と並んで、川本の
本がありサインには「SABU]とある。
小生と同年の三郎の妻(彼女の本も持っているが、
サイン本ではない)恵子氏が、早世し、三郎が亡き妻との
想い出を綴った「今にして君を想う(ジャズの名曲のタイトルそのままの、書名のセンスが良い)」は辛くてとても
読めそうにない。
野村克也の本に妻のサッチーが一緒にサインしているという変な本も小生は持っています。
きりがないのでやめますが、年末にナディア・ホールで開かれる名古屋音大の生徒によるジャズ・コンサートにジャズ好きの人たちと行きませんか?
アマチュア芸ですがホールが良く無料なので昨年は楽しめました。
長文にて失礼しました。


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