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「80歳を過ぎたら我慢をしない」という生き方がいい。  202204

2022-04-09 22:03:00 | 📗 この本

「80歳を過ぎたら我慢をしない」という生き方がいい。
  Book Watch より 220409


 著者の和田秀樹さんは精神科医。東京大学医学部卒。高齢者専門の精神科医として30年以上にわたり高齢者医療の現場に携わってきた。著書に『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)、『老後は要領』(幻冬舎)など多数ある。

 最初に、老いを受け入れ、できることを大事にすることが、「幸せな晩年」と「不満足な晩年」の境目になると説いている。そして、80歳を超えた人は高齢者ではなく「幸齢者」と呼ぶことを提案している。

 「人生百年時代」という言葉が、80歳の壁を高くしているという。長寿になったことは喜ばしいが、「長生きしなければならない」という呪縛にかかっているからだ。本書はその呪縛を解くヒントに満ちている。

 和田さんが長年勤めた浴風会病院は高齢者専門の病院で、毎年100人ほどの遺体を解剖した。すると、本人は自覚していないにもかかわらず、体の中に大きな病巣があり、それ以外の病気が原因で亡くなっていた、という例が少なくなかった。

 つまり、最後まで気づかない病気がある、ということだ。がんもその一つだ。85歳を過ぎた人を解剖すると、ほとんどの人の体にがんが見つかる、と驚くべきことを書いている。本人が気づかないがんもあるし、生活に支障がないがんもあるというのだ。

 ここから導かれる結論は、「80歳を過ぎたら我慢をしない」という生き方だ。がんにならないために食べたいものを我慢したり、好きなお酒やタバコを控えたりすることもない。むしろ好きなことをして気楽に生きるほうが、免疫力が高まることも分かっており、がんの進行を遅くするという。

⚫︎認知症は必ずやってくる
 また、認知症は必ずやってくるから、今のうちにしたいことをする、ことを勧めている。多くの遺体を解剖し、がんと同じように85歳を過ぎた人のほぼ全員の脳に、アルツハイマー型の脳の変性のような病変が見られたという。

 つまり、認知症は病気というより「老化現象」に近いものであり、年を取ると誰にでも起こる症状だというのだ。
 認知症の発症年齢のデータを示している。
60代で1~2%、70代前半で3~4%、70代後半で10%、80代前半で20%を超え、ここから一気に増える。
 80代後半で40%、90歳で60%、95歳では80%となる。「死ぬまで認知症にならなかった」という人は、認知症になる前に亡くなっただけのこと、と書いている。

 そこから導かれる結論も「どんどん好きなことをして、楽しく生きること」。そのことによって脳は刺激を受け、活性化し、認知症の発症を遅らせることは可能だという。

 第1章「医者・薬・病院の壁を超えていく」では、「幸齢者になったら健康診断はしなくていい」と書いている。検査の結果、数値を正常にするために薬を服用し、体の調子を落とす人、残っている能力を失ってしまう人、寿命を縮めてしまう人がいることを指摘している。
 2020年、新型コロナウイルスの影響で、病院に行く人が大幅に減った。しかし、皮肉なことに日本人の死亡者数は減った。つまり、「病院に行かないほうが死なない」という皮肉なことが起こった。

 もう一つ、北海道の夕張市で起きた例を紹介している。2007年に夕張市は財政破綻をし、唯一の市立総合病院が閉院した。病院は小さな診療所になり、171床あったベッド数は19床に減った。
 ところが,日本人の3大死因と言われる「がん、心臓病、肺炎」で亡くなる人は減り、死亡者数もほぼ変わらなかった。ほかの原因で亡くなる人が増えたが,それは「老衰」だった。

 和田さんはどんな医師を選ぶかが晩年の幸・不幸を左右するとして、良い医師選びが大切だという。それを見分けるのは、薬について話してみることだ。薬を飲んで具合が悪くなるなら、それは悪い薬だ。それなのに取り合ってくれないなら、やめたほうがいいという。

 また、糖尿病の治療がアルツハイマー型認知症を促進するという驚くべきことを書いている。一般に「糖尿病の人はアルツハイマー型認知症になりやすい」と言われているが、正反対のことが起きていた。和田さんが務めていた病院の解剖結果を紹介している。

 第2章「老化の壁を超えていく」、
 第3章「ボケ・認知症の壁を超えていく」でも、やりたいことをやることが効果的であることを説明している。
 第4章「高い壁を低くするヒント 50音カルタ」には、それらをもとに、参考になりそうな格言を挙げている。論拠も書いている。いくつか紹介しよう。

 あ 歩き続けよう。歩かないと歩けなくなる
 い イライラしたら深呼吸。水や美味しいものも効果的
 う 運動は体がきつくない程度に
 え エアコンつけて水を飲み、猛暑から命を守れ
 お おむつを恥じるな。行動を広げる味方です
 く 薬を見直そう。我慢して飲む必要はない
 に 肉を食べよう。しかも安い赤身がいい
 も もっと光を。脳は光でご機嫌になる
 る ルールは自分で決めればいい

 がんや認知症は80歳を超えた高齢者にとって避けられないということが分かったが、それでも避けたいと思うのが人情だろう。
「80歳の壁」を超えた人は、本書を読み、ある意味で「安心立命」の境地に至るかもしれないが、壁を超えていない人はまた新たな悩みを持つことになる。
 日本人の平均寿命は、男性が81.64歳。女性が87.74歳(令和2年調べ)。80歳を超えた人は、やはり幸せと言うべきだろう。

 BOOKウォッチでは、和田さんの著書『固有名詞が出てこなくなったら認知症の始まりですか?脳寿命を延ばす10の方法』(かや書房)、『感情的にならない気持ちの整理術』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)、『先生! 親がボケたみたいなんですけど......』(祥伝社)を紹介済みだ。

📗書名: 80歳の壁
監修・編集・著者名: 和田秀樹 著
出版社名: 幻冬舎
出版年月日: 2022年3月25日
定価: 990円(税込)
判型・ページ数: 新書判・226ページ
ISBN: 9784344986527


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「80歳の壁」を超えるため、この現実を数字で知っておきましょう|80歳の壁
  幻冬社プラス より 220414 和田秀樹

発売後から大反響!のベストセラー『80歳の壁』(和田秀樹著)。体力も気力も70代とは全然違う「80歳」の壁をラクして超えて、寿命をのばす――その秘訣がつまった本書から、試し読みをお届けします。

* * *

男性は9年間、女性は12年間──。この年数が何を示すかわかりますか?

じつはこれ、病気や認知症などで寝たきりになったり、誰かに介助されたりしながら生きる平均期間を表したものです。もちろん、自ら好んで寝たきりになるわけではありません。誰だって、人生の最後まで好きなことをして、好きなものを食べて、自由に、自立した生活をしたいと願っています。

しかし、そうはいかない。これが「世界一長生き」と言われる日本の現実です。

さらに次のような国の調査結果もあります。知っている人もいるでしょうし、知りたくない人もいるでしょう。でも、これから迫る80歳の壁を超えていくためにも、数字をまずは押さえておいてほしいと思います。

【健康寿命】
 心身ともに自立して健康でいられる年齢を「健康寿命」と言います。その年齢は男性が72・68歳、女性が75・38歳です(令和元年の調べ)。

 平均すると男性は72歳、女性は75歳で、誰かの介助が必要になることを示しています。もう少しわかりやすく言うと、病気や認知症で寝たきりになるレベルでなくても、身の回りのことを一人でできなくなり始める平均年齢を表しています。
 もちろんこれは統計の数字であり、全員がそうなるわけではありません。事実、いまこの本を読んでいる人は、この年齢を超えても元気に生活できているのではありませんか。「私は健康寿命の平均は超えた」と自信を持っていいのです。

【平均寿命】
「平均寿命」は、男性が81・64歳、女性が87・74歳です(令和2年の調べ)。
 これは、何歳まで生きるか、という平均年齢のことです。
ズバリ言うと、何歳で死ぬか、ということでもあります。

今後はさらに平均寿命が延び、人生100年、100歳に近づいていくでしょう。しかし、いくら長生きになっても、「健康寿命」が延びなければ、介護されたり、ベッドで過ごしたりする時間が長くなるだけです。その期間が、現在、男性が9年、女性が12年となっているわけです。

「それでも長生きしたい」と言う人もいるでしょうが、できることなら元気に健康に過ごしたいと思うでしょう。私もそうです。だからこの本を書きました。

【死亡数】
「死亡数」とは、年齢別に亡くなった人の数を調べたものです。最も多くの人が亡くなった年齢は、男性が85歳、女性が90歳でした(平成17年の調べ)。

もちろん、それを超えて生きている人も大勢います。2021年の発表では、85歳以上の男性が208万人、90歳以上の女性が192万人もいるのです。

 これらの統計を見て、どう思われたでしょうか?
80代は70代とは、まるで違います。いまは元気でも、この先どうなるかはわからない。
 残念な気持ちになりましたか。逆に、ファイトが湧(わ)いてきたでしょうか。
具体的な数字を提示したのは、みなさんを落ち込ませるためではありません。
 これからの人生の時間を、満足しながら過ごしてほしいと願うからです。

(第2回へ続く)

📗関連書籍 和田秀樹『80歳の壁』
人生100年時代だが、健康寿命の平均は男性72歳、女性75歳。80歳を目前に寝たきりや要介護になる人は多い。「80歳の壁」は高く厚いが、壁を超える最強の方法がある。それは、嫌なことを我慢せず、好きなことだけすること。「食べたいものを食べる」「血圧・血糖値は下げなくていい」「ガンは切らない」「おむつを味方にする」「ボケることは怖くない」等々、思わず膝を打つヒントが満載。70代とはまるで違って、一つ一つの選択が命に直結する80歳からの人生。ラクして壁を超えて寿命を伸ばす「正解」を教えます!

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