突然死は「歯磨き」で防ぐ! 気温15度を切ったら始める「血流活性化」術
現代ビジネス より 221127 週刊現代
寒くて不調が出やすい季節。でも、ちょっとしたことの積み重ねで健康寿命は驚くほど伸びる。元気に100年を生き抜くヒント集をお届けします。
⚫︎晩秋は血圧が不安定になりやすい
「医学の父」と言われる古代ギリシャの医師ヒポクラテスは「あらゆる病気は、体内の液体のバランスが崩れることで起きる」と看破した。
現代日本でも、血流が滞ったり血管が破れたりすることで毎年多くの人が倒れている。特に、気温が下がってゆく秋から冬は危ない。
すぎおかクリニック院長の杉岡充爾氏が言う。
「寒さに慣れてゆく途中の期間は、血圧が不安定になりやすく、血管が詰まったり切れたりする人が多いのです。実際に、晩秋から一気に心筋梗塞の発症数が増えるという統計もあります。
特に高齢の人は血液がドロドロになりがちで、血管も古いホースのように柔軟性に乏しく、破れやすくなっている。血流をスムーズにし、かつ血管を強くする生活習慣を心がける必要があります」
まず気をつけるべきは一日の始まり、起床時だ。寒い外気にいきなりさらされると、血圧が急上昇してしまう。目覚めたら布団の中で緊張脱力体操をして体を慣らそう。
「布団に入ったまま、ファイティングポーズのような姿勢をとって10秒ほど全身に力を入れてください。血流を一瞬止めて再び流せば、血流促進効果があるNO(一酸化窒素)という物質が体内で盛んに作られ、体温も上がり始めます」(杉岡氏)
ゆっくりと布団を出たら、レモン白湯を飲んで体を温めよう。コップ一杯のお湯に小さじ2~3杯のレモン汁を溶かすと、ビタミンCが血管壁を強くしてくれる。
⚫︎突然死は「歯磨き」で予防する
意外にも、突然死を防ぐには5分以上歯磨きをすることが有効だ。歯周病と動脈硬化は関係が指摘されているのである。
「歯肉が炎症を起こすと、そこで生じた毒素が血中に溶け込み、動脈硬化のリスクを高めることがわかっています。噛む力を維持するのも血液や血管の健康を保つには重要ですから、できれば歯間ブラシも使ってしっかりケアしてください」(栗原クリニック東京・日本橋院長の栗原毅氏)
日中には、血流を促進する体操やストレッチを実践したい。簡単で効果が高いのは手足ブルブル体操。仰向けで両手両足を上に持ち上げ、そのまま30秒ブルブルと揺らすだけでOKだ。手足の先端には、全身の毛細血管の70%が集中しているから、そこに滞った血を流すイメージでやってみよう。
下半身にある大きな筋肉を刺激したり、伸ばしたりするのも効果が高い。椅子スクワットは、椅子に座る直前の「空気椅子」の状態で10秒キープし、その後座って10秒休憩。これを3回繰り返す。それがつらい場合はかかと上げ下げ体操も有効だ。爪先立ちでかかとを浮かせて30秒維持する。
「ふくらはぎのヒラメ筋は、重力に逆らって血液を心臓へ戻すポンプのような働きをします。脚の筋肉を刺激し鍛えることは、基礎代謝を高めて体温を上げ、免疫を強くすることにもつながります」(前出・栗原氏)
⚫︎高血圧予防に「DASH食」
強い血管とサラサラの血を作るには、何といっても食べ物が大切。海藻、ナッツ、魚は高血圧予防効果が高い「DASH食」と言われる食材だ。
「アーモンドをはじめナッツ類は血管拡張効果の高いビタミンEを多く含み、お腹もそれほど膨れないので、おやつがわりに食べるのがいいでしょう」(前出・杉岡氏)
魚はイワシ・サバ・サケを選ぶと、動脈硬化を防ぐ効果の高い「オメガ3系脂肪酸」のDHA・EPAや、血栓を防ぐ効果のあるアルギニンを多く摂れるのでおすすめだ。
⚫︎チョコと納豆はタイミングが重要
食べるタイミングにもひと工夫したい。たとえば食前に高カカオチョコを食べると、食事で血糖値が急上昇するのを防いでくれる。
「血糖値が急に上がる『血糖値スパイク』は、血管を傷つけてしまいます。カカオを70%以上含んでいるものを選んでください」(前出・栗原氏)
また、健康食材の王者納豆は朝ではなく夜食べるのがいい。納豆は血栓を予防する効果が高いが、血栓は夜寝ている間にできやすいためだ。
一日の終わりに気をつけたいのが入浴時の習慣だ。この季節、ヒーターなどを使ってトイレや脱衣所を暖めるだけでも、ヒートショックに襲われる危険性はぐんと減らせる。コップ1杯でいいから、入浴前後に必ず水を飲むことも忘れないようにしよう。
寒い季節は、ほんの少しの心がけが生死を分けることにもなりかねない。血流を整えることは、命を守ることに直結すると心得ておきたい。
「週刊現代」2022年11月19・26日号より
「寒さに慣れてゆく途中の期間は、血圧が不安定になりやすく、血管が詰まったり切れたりする人が多いのです。実際に、晩秋から一気に心筋梗塞の発症数が増えるという統計もあります。
特に高齢の人は血液がドロドロになりがちで、血管も古いホースのように柔軟性に乏しく、破れやすくなっている。血流をスムーズにし、かつ血管を強くする生活習慣を心がける必要があります」
まず気をつけるべきは一日の始まり、起床時だ。寒い外気にいきなりさらされると、血圧が急上昇してしまう。目覚めたら布団の中で緊張脱力体操をして体を慣らそう。
「布団に入ったまま、ファイティングポーズのような姿勢をとって10秒ほど全身に力を入れてください。血流を一瞬止めて再び流せば、血流促進効果があるNO(一酸化窒素)という物質が体内で盛んに作られ、体温も上がり始めます」(杉岡氏)
ゆっくりと布団を出たら、レモン白湯を飲んで体を温めよう。コップ一杯のお湯に小さじ2~3杯のレモン汁を溶かすと、ビタミンCが血管壁を強くしてくれる。
⚫︎突然死は「歯磨き」で予防する
意外にも、突然死を防ぐには5分以上歯磨きをすることが有効だ。歯周病と動脈硬化は関係が指摘されているのである。
「歯肉が炎症を起こすと、そこで生じた毒素が血中に溶け込み、動脈硬化のリスクを高めることがわかっています。噛む力を維持するのも血液や血管の健康を保つには重要ですから、できれば歯間ブラシも使ってしっかりケアしてください」(栗原クリニック東京・日本橋院長の栗原毅氏)
日中には、血流を促進する体操やストレッチを実践したい。簡単で効果が高いのは手足ブルブル体操。仰向けで両手両足を上に持ち上げ、そのまま30秒ブルブルと揺らすだけでOKだ。手足の先端には、全身の毛細血管の70%が集中しているから、そこに滞った血を流すイメージでやってみよう。
下半身にある大きな筋肉を刺激したり、伸ばしたりするのも効果が高い。椅子スクワットは、椅子に座る直前の「空気椅子」の状態で10秒キープし、その後座って10秒休憩。これを3回繰り返す。それがつらい場合はかかと上げ下げ体操も有効だ。爪先立ちでかかとを浮かせて30秒維持する。
「ふくらはぎのヒラメ筋は、重力に逆らって血液を心臓へ戻すポンプのような働きをします。脚の筋肉を刺激し鍛えることは、基礎代謝を高めて体温を上げ、免疫を強くすることにもつながります」(前出・栗原氏)
⚫︎高血圧予防に「DASH食」
強い血管とサラサラの血を作るには、何といっても食べ物が大切。海藻、ナッツ、魚は高血圧予防効果が高い「DASH食」と言われる食材だ。
「アーモンドをはじめナッツ類は血管拡張効果の高いビタミンEを多く含み、お腹もそれほど膨れないので、おやつがわりに食べるのがいいでしょう」(前出・杉岡氏)
魚はイワシ・サバ・サケを選ぶと、動脈硬化を防ぐ効果の高い「オメガ3系脂肪酸」のDHA・EPAや、血栓を防ぐ効果のあるアルギニンを多く摂れるのでおすすめだ。
⚫︎チョコと納豆はタイミングが重要
食べるタイミングにもひと工夫したい。たとえば食前に高カカオチョコを食べると、食事で血糖値が急上昇するのを防いでくれる。
「血糖値が急に上がる『血糖値スパイク』は、血管を傷つけてしまいます。カカオを70%以上含んでいるものを選んでください」(前出・栗原氏)
また、健康食材の王者納豆は朝ではなく夜食べるのがいい。納豆は血栓を予防する効果が高いが、血栓は夜寝ている間にできやすいためだ。
一日の終わりに気をつけたいのが入浴時の習慣だ。この季節、ヒーターなどを使ってトイレや脱衣所を暖めるだけでも、ヒートショックに襲われる危険性はぐんと減らせる。コップ1杯でいいから、入浴前後に必ず水を飲むことも忘れないようにしよう。
寒い季節は、ほんの少しの心がけが生死を分けることにもなりかねない。血流を整えることは、命を守ることに直結すると心得ておきたい。
「週刊現代」2022年11月19・26日号より