先月の話ですが、打ち合わせで呼ばれて行った場所が、ノレンを出さないで紹介者だけがお客の寿司屋でした。
繁華街の大きな商業ビルの中にあり、半円形のカウンターだけの御店でした。
数人のお客に対して職人が1名付いて、寿司を握ります。
他のお客さんの顔も話も聞こえるのですが、半数は外国人のお客さんであり、英語と中国語が飛び交っていました。
私の前で握っていた職人さんは、二十歳代前半ぐらいの若くて背の高いイケメンの職人さんで、英語と中国語とスペイン語が話せると言うのです。
隣の人が驚いて、「どこの大学を出たんですか?」と聞きますと、非常に興味深い人生ドラマを話してくれました。
・ 家が貧乏だったから、中学卒業と同時に有名な寿司屋の見習いに入った。
・ 2年が経った頃、店から外国へ職人を一人どうしても出さないと生けないことに成った。
・ ベテランの職人は、誰もが行きたがらなかった。
・ 皿洗いをしていただけの自分なのに、「お前が行け」と言われてヨーロッパに行かされた。
・ 日本では見ていただけ、下準備だけを手伝っていた自分が、外国でいきなり寿司を握った。
・ 2年ほど経って、スペイン語が話せるように成った頃、お客さんで来たシンガポールの大富豪に気に入られて、自宅の専属料理人の中の寿司担当で来てくれと言われた。
・ 寿司ルームを作っておくから、年収は1200万円〜で来いとのこと。
・ え〜と驚いて、店を辞めて半信半疑でダマサれたかも?と思いながら、シンガポールへ行った。
・ 本当に桁違いの超豪邸だった。日本から取り寄せた寿司に関する厨房セットを入れた寿司屋風の部屋が完成していた。
・ どうせ暇だろうと思っていたら、自宅で頻繁に100人規模のパーティをした。非常に忙しかった。そうする内に英語と中国語を覚えた。
・ でも、また日本に戻りたく成って、帰って来てここに居る。
中学卒業で働き始め、何も分からないまま、
「やれ」・・・・「はい」、
と命じられるままに素直に働き。
「行け」・・・・「はい」。
と疑いもなく異国へ一人旅立つ。
「来てくれ」・・・・「はい」、
と更に、住所だけを頼りに知らない国へ。
顔立ちと雰囲気からして、
「ご両親は共に昔は大きな仕事をしていた御方では無いか?」
と私が聞きますと、昔は不動産グループを持っていた親であり、バブル崩壊と共に破産したと聞いているとのことでした。
物心が付いた頃の本人は、苦しい生活しか知らないという訳です。
でも今では3ヶ国語を話すスマートな青年です。果たして彼が普通の家庭で大学まで行っていたならば、このような国際感覚の有る青年に成れたのでしょうか?
体1つで苦労を重ねた青年期だったでしょうが、爽やかな風をまとったような職人さんでした。
彼を観ていますと、70数年前に、大空に散ったケナゲな青年たちを思い出しました。
今はこうして、再び日本に遊びに来て、体1つで、素直に、自由に、世界の散歩を楽しんでいるのでしょう。
最後の握りを出された時に、
「でも、シンガポールの高収入はもったいないね?」
と聞きますと、
「確かに日本では、年齢と学歴だけで、大手の飲食部門は給与が決まってしまうので残念です。
個人の経験値というものが、給料に反映されない無料サービスに成っています」
これは、なるほどだと感心していますと、彼が更に言うには、
「実はシンガポールの富豪の御方が、男性が好きな人だったので、なんとか上手く避けている内に居づらく成ったことも関係するんです」
とのことでした。
これも今の世界には普通に有る現実であり、本当の国際人という日本人を見た気がした、という今日のお話でした。
彼のような日本人は、将来に経営者として成功するのが目に見えるように感じました。
人間は、人生の前半のどんな苦労も、後半の人生の努力で「最善だった」「必要だった」に変えることが可能です。
後半の今も苦しい人も、生きる限りは、心の自由性に気付くことが可能です。
誰もが自分の中の神性に気付くための、旅をしている最中なのです。
(カレンダーの意味は「5月の自然観察日」を参照)
* 気温差の有る地域は、防災意識で静観しましょう。
生かして頂いて 有り難う御座います
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