「明日香村の大字に伝わるはなし」は、明日香村文化協会発足40周年記念事業として、奈良県明日香村の39の大字に伝わる「はなし」を、聞き取り調査されたものを収録されたものです。
この中から、邸宅に関わる話を数回に分けて紹介したいと思います。
第1回目は、明日香村大字岡の「花井邸」でした。
第2回目は、明日香村大字岡にある「嶋田邸」と「岡本邸」です。
〇「嶋田邸」
「岡寺」参道入り口前にある「嶋田邸」は、江戸時代は屋号「くすり屋」という旅籠屋でした。
江戸時代の国学者である「本居宣長」が、1772年の3月5日から14日まで、奈良の吉野や飛鳥を旅した時の日記「菅笠日記」に、飛鳥地域を巡り「岡寺」前の旅籠屋に泊まったと記されています。この旅籠屋が、今の「嶋田邸」ではないかと言われています。
現在、「嶋田邸」には立派な門を見ることができます。この門は、神仏分離令(1868年)による廃仏毀釈の際、多武峰の土地より移築されたものだそうです。
〇「岡本邸」
「岡本邸」は、「嶋田邸」から2~3分の所にあります。
江戸時代の頃と思われる古い佇まいの門構えを見ることができます。
飛鳥川辺に建っているので、岡大字との落差を利用して大型水車が回り、巨大な水車小屋で大量の米をついていたようです。この地域を支配していた高取藩主(植村家)の御用米は、この地域では最も味の良い細川米があてられました。その精米は、御用米専用の水車がある「岡本邸」でなされたと言われています。
現在は、水を落とすための巨大な石垣のみが往時の姿を伝えています。ここからは、西に飛鳥川が流れており、その向こうには橘寺が見えます。
残念ながら、邸宅は老朽化しています。大切な村の財産として、何とかして保存・活用して欲しいと思っています。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます