Dr. Jason's blog

IT, Engineering, Energy, Environment and Management

ITベンチャーは放送局を買収できないのか?

2005-02-24 | Business
 このところ,ニッポン放送の株式を大量に取得したライブドアへの風当たりが強い.
 どうも,テレビ局も新聞社も「自分たちは特別な存在」と考えているようにも見える.
 いつもは歯切れの良い産経新聞の社説もどうも「苦しい答弁」になってるように思う.また,様々なコネクションを利用して,政治家にも自社を弁護するような発言を促しているようにも見える.
 ニューズウィーク日本語版(2005.3.2)のジェームズ・ワーグナー副編集長のコラムでも「...逆に日本では,政府が許可していること以外はしてはいけないと,よく言われる.私がその感を強めたのは,大物政治家が次々にテレビに登場してライブドア批判を繰り広げたときだ.」と指摘されている.ライブドアの堀江社長の大胆な行動が,日本の旧体制の「暗黙の了解」からはずれて「出るくいは打たれる」形にになっていることが,アメリカのビジネスマンからみて奇異に見えるということだろう.
 資本主義の世界で,株式を公開しているということは,単純に大株主には色々な発言権(および付帯する義務)があるというのは,小学生でもわかる理屈のはずである.
 時間外取引でも,それは合法的な普通の売買である.フジテレビがすでにTOBを仕掛けていても,購入資金があってフジテレビのTOB価格よりも少し高い値段で買い注文を出せば,当然だれでも買い付けできたはずだ.
 元々,歴史的な背景から,持ち株会社あるいはオーナー一族の資産管理会社的な性格をもつ,総体的に小さな会社が,より大きな会社の大株主になるような形態で,長い間グループ運営してきたことそのものに問題があることは,明白だと思う.
 問題の表面化の仕方は違うが,グループのガバナンスと株の所有について「ねじれ現象」が発生していたのは,コクドと西武鉄道と大差ないのではないだろうか?ライブドアが仕掛けなくても,他の資金力のあるベンチャー企業が狙っていたと思う.
 一部には,テレビ朝日の株が買い占められたときの教訓が全く生かされていない,つまりフジ-サンケイグループの経営陣の脇が甘いだけだという指摘もある.日本の企業の株価は,その資産や事業の内容からすれば,株式の総評価額が意識的に低めにコントロールされているのではないかと思われる会社がいくつもある.このような会社は,ちょっと気をぬいていると,あっという間に,あまり知られていない会社に事実上買収されてしまう可能性がある.
 米国では,数年前の大手インターネット会社のAOLによる出版・映画の大手タイム・ワーナーグループの買収は失敗だったと考えられている.ライブドアの堀江社長は,ブロードバンドによる高速低価格常時接続が前提となっている現在は当時とは異なる状況であるというヨミのようだ.
 すでに,国内でも,携帯電話によるのECサイトなどを運営している会社が,雑誌や通販の会社を買収して「メディア・ミックス」のシナジー効果を出している例もある.逆に米国では,老舗の新聞社であるニューヨーク・タイムスが,WebのポータルサイトのAbout.com を買収したそうだ.
 私は,個人的には産経新聞もフジサンケイ・ビジネスアイも長年愛読しているが,今回の騒動については,ライブドアにがんばってもらいたいと考えている.
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 京都議定書発効 -2005/2/16... | トップ | 60歳からの精進 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

Business」カテゴリの最新記事