ここ最近、ネットニュースや雑誌での紹介記事が増えているのが京阪5000系。
7両編成の全てが片側5扉、正に扉だらけの電車なのですが…
ラッシュ時以外は2扉を締め切り、見出し写真の通り扉の前に座席が降りてきます。
5扉車5000系が登場したのは昭和45年。
ひっ迫するラッシュ輸送に対する切り札、最混雑する大阪方の区間急行用に7両×7編成が投入されました。
日中は京都方面にも急行運用で姿を見せました。昭和50年代中頃、鴨川堤防上を走る5000系電車の写真を発見。
この写真、色褪せてますが扉だらけの様子がわかります。
正面から見ると角々。当時、卵型断面の鋼製車両が中心だった京阪電車では特異的、
初期のアルミ製車両の特徴をよく表す箱型車体でした。
当時は貴重な冷房車で人気だったそうな。
当時の京阪電車といえば、冷房の吹き出し口がクルクル回る回転グリル。
そして扉部分、不使用時は2つ折りになる跳ね上げ式のつり革。
そう、京阪5000系で忘れられない事件といえば、御殿山駅付近で発生した脱線転覆事故。
子供のいたずらによる置石が原因で、先頭車両だった5554型が脱線転覆大破し廃車になっています。
なのでこの5554型は、新製し元の編成に組み込まれた2代目車両になります。
さて、昭和、平成と走った京阪5000系ですが、塗装が変更され、令和になっても活躍中。
写真は平成22年暮れのものですがご容赦(40周年の副票がついています)。
塗装は新旧異なりますが5606、3つ上の写真と同車両です。
古い車両も修繕を繰り返し60年近く大切に使用する京阪電車ですから、まだまだ安泰と思われましたが…
昭和34年製(61年モノ)の車体が少数ながら健在の2600系。
昭和39年が製造初年(56年モノ)の2200系はまだまだ主力級の活躍。
昭和44年が製造初年(51年モノ)の2400系は廃車もなく、全車両活躍中。
これらの卵型断面の古い鋼製車両より先に廃車対象となり、間もなく姿を消す予定。
より古い電車より先に廃車になるのは…まずは京橋駅を皮切りに順次設置されるホームドアに対応できないから。
時代の要請で登場し、時代の要請で廃車せざるを得ない、時代を映す鏡のような車両です。