心身社会研究所 自然堂のブログ

からだ・こころ・社会をめぐる日々の雑感・随想

原発6万人集会の新聞報道について

2011-09-29 00:37:00 | 3・11と原発問題
9月19日のさよなら原発集会は大盛況でよかったですね。
僕は17日の「原発どうする!たまウォーク」とその後の分科会担当で半日まるまるを使ったので、その仕事へのしわ寄せにより、19日のほうは身動きとれませんでした。

ところで、この集会の翌日の新聞報道は、各紙が社の特色を丸出しにしていて、非常に興味深かったですね。僕は自宅で「朝日」、オフィスで「東京」をとっているので、そのちがいにびっくりして、思わず6大紙をすべて調べてしまいました。

その結果、群を抜いていたのが「東京」。1面に航空写真付の記事を載せたほか、社会面の1面大半を使って報じ、さらに「こちら特報部」の見開き2面で密着ルポと、大きく扱いました。

これに次ぐのが「毎日」。やはり1面に航空写真付の記事を載せたほか、社会面に論評記事。

その次がだいぶ落ちて「朝日」。1面の下にあまりさえない地上写真の付いたそっけない記事のみでした。ただし翌日の社説ではやけに好意的な論評、さらに25日には、3面(政治面)で【うねる直接民主主義──原発のあり方 私たちで考え、決めたい】と突っ込んだ記事を掲げ、「原発」国民投票まで紹介しています。
誰もが衆目を集めそうな所では軽く流し、コアな読者だけが読みそうな所では玄人受け狙いみたいな感じで、今日の「朝日」のスタンスの定まらなさをよく表わしています。

その次はもっと落ちて、「日経」と「産経」。ともに社会面の端っこに小さな3段記事ですが、見出しでは6万人集会と報じ、記事の中で警察発表は3万人と付け加えています。

最後が「読売」。やはり社会面の端っこに小さな3段記事ですが、見出しでも記事の中でも6万人という数字はなく、「3万人以上」という表現が警察発表という断わりも落として用いられています。さすが元祖原発推進の張本人の面目躍如たるものがあります。

なお6大紙ではないですが、「読売」をさらに下回る新聞がありました。全くシカト!という扱いなんですが、これは天下の脱原発公言政党の機関紙「赤旗」。かわりに同党主宰の脱原発デモの記事が載ってました。これはこれでまた、この党の性格がよく出ていて、かわいらしかったですね。

この対極が「japan times」。1面トップで、どこよりも大きい航空写真付の記事を堂々と載せました。しかしこれは、記事も写真も共同通信の配信で、「東京」とも共通しています。概して共同通信配信に仰いでいる地方紙は、大きく報じたものが多かったそうですね。

しかし最も購読者の多いのは「朝日」と「読売」なわけですから、多くの新聞読者にはこの集会のことはかなり過小に伝わっていることになります。
中央の全国紙が腰砕けで、地方紙がかろうじてひとり気を吐くという構図は、すでに、ちょうど戦前の5・15事件の頃とそっくり酷似しています(当時、5・15事件の暴挙を批判した福岡日日新聞は、軍から戦闘機の低空飛行での威嚇攻撃まで受けながら、最後まで志を曲げませんでしたが、大新聞がすすんで体制に迎合し、率先して大本営発表路線を整えてしまいました)。

いままさに、新聞のあり方が厳しく問われる状況にあります。
そして何より中央と地方の矛盾のうえに成立しているもの、それこそ原発そのものなのでした。
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