心身社会研究所 自然堂のブログ

からだ・こころ・社会をめぐる日々の雑感・随想

近代日本社会と健康ブームの軌跡

2022-06-27 13:23:55 | 社会・社会心理

一昨日の6月25日、ホリスティック医学協会で、「近代日本社会と健康ブームの軌跡」についてお話させて頂きました。

 

“健康ブーム”……それは近代日本において、単なるブームではない。

それは当の社会の変動期の危機の表現であり、その超克の企図であり、その頓挫であり、

頓挫することでの新たな社会の創出であり、危機の更なる深化であった。

私たちの健康は一体どこへゆくのか? 「健康」とは何だろうか?

というのがその趣旨です。

 

25年も前に私が書いた下記の論文をもとに、この25年間の動向も付け加えて、

近代日本社会における健康ブームの実態を社会心理学的に分析し、

「健康」の真の条件を模索したもので、おかげさまで好評をいただきました。

 

当日視聴された方々からも、そうでない方々からも、お問い合わせがありましたので、

とりあえず、下記の論文をお読み頂ければありがたく思います。

 

<論文>

津田真人 1997a 「『健康ブーム』の社会心理史:戦前編」、『一橋論叢』第117巻第3号、49-67頁。 →原論文を読む

────、1997b 「『健康ブーム』の社会心理史:戦後編」、『一橋論叢』第118巻第3号、83-101頁。 →原論文を読む


社会科学ランキング

にほんブログ村 科学ブログ 人文・社会科学へ
にほんブログ村

PVアクセスランキング にほんブログ村

 

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

オオカミに眼輪筋はないか?

2022-06-16 20:14:15 | 生命・生物と進化

6月15日に放送された、NHK「ヒューマニエンスクエスト」は、イヌの言語能力や社会性についての興味深い特集でした。

 

そのなかで、このジャンルの権威でもある麻布大学の菊水健史教授は、イヌが目の表情を豊かにし、上目遣いをする時に動かす筋肉として、眼輪筋につい

て、祖先のオオカミには存在していなかったのが、イヌがヒトと一緒に生活するようになってから獲得したものと語っていました。それは2019年に発表さ

た、ポーツマス大学のジュリアン・カミンスキーらの研究[Kaminski et al. 2019]に依拠するものと思われます。

 

しかし、以前のブログオオカミにないイヌの眼輪筋の進化」で紹介したように、この研究が明らかにしたのは、眼輪筋がオオカミにはなくてイヌにはあった

ということではなく、眼輪筋はオオカミにもイヌにもどの種にも例外なくあって、イヌはさらにそこから目の周りに新しい2つの筋肉、「内側眼角挙筋」

(LAOM)と「外側眼後引筋」(RAOL)を独立させて、これが目の表情を豊かにし、ヒトとの親密なコミュニケーションを可能にしたということでし

た。オオカミにはなくてイヌにあるのは、眼輪筋ではなく、眼輪筋の外側に眼輪筋から独立した「内側眼角挙筋」(LAOM)と「外側眼角後引筋」

(RAOL)なのです。下図のように、イヌにもオオカミにも、しっかりと目の周りを取り巻く筋肉、眼輪筋の存在が描かれています。

 

眼輪筋は、両生類のカエルにすら存在する、進化の歴史の古い代物です。もっとも、カエルでは眼球底が口蓋部に張り出している関係上、眼輪筋が嚥下

にも関与し、目を閉じることで嚥下筋を動かし、食塊を食道にまで送り込みます。どうりでカエルは餌を食べながら(呑み込みながら)、よく目をつぶる

のですね。しかしここに、眼輪筋を司る顔面神経と、嚥下筋を司る舌咽神経・迷走神経との直接的な関連を見て取ることもできます。

 


動物・生物ランキング

PVアクセスランキング にほんブログ村

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする