2歳以前にアトピー性皮膚炎を発症した子供は、6歳時の乳幼児発達スクリーニング検査における神経発達障害と有意な関連があることが、
韓国・翰林大学校のJu Hee Kim氏らの研究により、報告されています。
こうした研究はこれまでほとんどなかったとみられますが、Allergology International誌オンライン版2022年9月1日号に掲載されています。
韓国国民健康保険制度のデータベースにより、2008~12年に韓国で生まれた239万5,966例の小児のうち、
生後24ヵ月までにアトピー性皮膚炎の5つ以上の診断を受けた小児を対象に、
6歳時の韓国乳幼児発達スクリーニングテストの粗大運動能力、微細運動能力、認知、言語、社会性、セルフケア領域をみると、
アトピー性皮膚炎群は、対照群に比べ、
総スコア(加重調整オッズ比:1.10、95%信頼区間:1.05~1.16)、粗大運動能力(1.14、1.04~1.25)、微細運動能力(1.15、1.06~1.25)の3つ
で、ADHD、精神遅滞、心理的発達障害、行動・情緒障害などの神経発達障害の疑いリスクが高いこと、
なかでもステロイドを使用した群や入院した群では、その疑いリスクが上昇することが確認されたとのことです。
ただし、6歳時という単一時点の結果だけでは、全体的な発達の成果を判断することは困難なことは言うまでもありません。
また、個々の子供の発達速度はまちまちであり、発達遅滞が疑われても最終的には正常な発達を示すことが多いことなども、
研究グループは認めています。
そして何より、こうしたアトピー性皮膚炎と神経発達障害の関連性のメカニズムはまだ不明であることも、頭に入れておかねばなりません。
原著論文
Kim jh, et al. 2022 Neurodevelopment at 6 years of age in children with atopic dermatitis, in Allergology international : official journal of the Japanese Society of Allergology. 2022 Sep 01; pii: S1323-8930(22)00088-0.