心身社会研究所 自然堂のブログ

からだ・こころ・社会をめぐる日々の雑感・随想

スマホ認知症

2022-12-22 17:11:19 | 健康・病と医療

ニッポン放送 NEWS ONLINE / 2022年12月21日 11時20分 より転載。

 

医師で医療ジャーナリストの森田豊氏が12月14日、ニッポン放送「モーニングライフアップ 今日の早起きドクター」に出演し、

「スマホ認知症」について解説したとのこと。

 

スマホユーザーの6割が物忘れに悩まされている ~30代にも忍び寄るスマホ認知症

飯田浩司アナウンサー)今回はスマホによる認知症についてですが。

森田)「スマホ認知症」という言葉が巷で有名になってきていまして、30代にも忍び寄るとされています。

新行市佳アナウンサー)30代にも、ですか?

森田)スマホユーザーの約6割が「物忘れなどが深刻になった」と回答しているデータもあるようです。将来、アミロイドβ(ベータ)という老化物質が

 たまりやすくなって、「本当の認知症に発展しやすいのではないか」という報告も出てきています。

飯田)30代だと新行アナウンサーも他人事ではない。

新行)他人事ではないですよね。

スマホを使いすぎると情報過多になり、脳が疲労して思い出す能力が衰える ~脳のなかがゴミ屋敷状態に

飯田)どうしてスマホの使いすぎが物忘れにつながるのですか?

森田)スマホを使いすぎると、脳への情報過多の状態になります。特に脳の前頭前野で処理できないほどの情報が入ってくると、脳が疲れてしまうのです。

 脳の疲れが深刻化すると、新たな情報を取り込んだり、また情報を取り出す、すなわち思い出す働きが衰える状態になると考えられています。

飯田)情報過多になって。

森田)さらに、脳が疲れすぎるとミスが増えたり、睡眠トラブルなどが出ることも報告されています。スマホ認知症の原因の2つは、自分の脳をあまり使わず、

 スマホばかりに頼ること。またスマホからの過剰な情報収集、インプット量が多すぎることに原因があるとされています。脳の情報収集、インプット量が多すぎると、

 頭のなかがゴミ屋敷のような状態になってしまいます。

飯田)ゴミ屋敷。

森田)どこに何の情報があるのかわからなくなってしまって、必要なものを取り出せなくなるのです。それで物忘れが激しくなってしまう。

 

「スマホ認知症」になりやすい人の特徴

飯田)スマホ認知症になりやすい人のチェックリストはありますか?

森田)「こんな人は危ない」という5つのリストをまとめてみました。

 ベッドのなかでもスマホを見ている。

 トイレにもスマホを持って行く。 

 LINEやメールのほとんどの返信を受信から1時間以内にしている。

 最近、漢字を思い出せなくなった。

飯田)わかります。

森田)テレビを観ていても出演者の名前が出てこない……

 有名な人は思い出せるのですが、コメンテーターや専門家など、テレビに毎日出ないような人の名前がどうしても出てこない。

飯田)自分は4つ当てはまりました。

新行)私もそれぐらい当てはまりますね。

デジタルデトックスのすすめ

新行)スマホ認知症にならないための対策を教えていただけますか?

森田)スマホを使わない時間を決めることが大事です。「デジタルデトックス」……デジタルを解毒するということが最近言われつつあります。

飯田)デジタルデトックス。

森田)その他、食事のときはスマホを触らない。寝る1時間くらい前から、スマホは絶対に見ない。朝起きてすぐにスマホをチェックしないなどのルールを、

 自分のなかでつくるしかないと思います。

新行)意識して遠ざけないと、つい使ってしまいますね。

森田)私も寝る1時間前からは、遠くに置くようにしています。

 

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パンデミック下での職場いじめと精神的苦痛や希死念慮の実態

2022-12-15 22:46:33 | 身体・こころ・社会

 職場のハラスメントについて研究してきた神奈川県立保健福祉大学大学院ヘルスイノベーション研究科の津野香奈美氏らが、

コロナパンデミック下での職場いじめ(workplace bullying)と労働者のメンタルヘルスの実態に関する調査を行なった結果を、

「BMJ Open」誌の11月2日号に発表しました。

 

 分析の対象とされたのは、2020年8~9月にCOVID-19パンデミックの住民の生活・健康・社会・経済活動への影響の実態を把握するために

全国にオンラインで実施された大規模調査「JACSIS(Japan COVID-19 and Society Internet Survey)研究」のデータで、有職者16,384人です。

このうち26.5%の人は在宅勤務を行っており、パンデミックに伴なって開始したのが8.4%、パンデミック前から行なっていたのが18.1%でした。

 

それによると、2020年4月から半年間で、職場いじめに遭ったと回答した人が14.9%、職場いじめを目撃したと答えた人が17.9%いました。

職場いじめに遭った場合、重度の精神的苦痛に該当する割合が184%、希死念慮を有する割合が113%、それぞれ有意に高くなり、

また職場いじめに遭わなくても、その場面を目撃しただけで、重度の精神的苦痛に該当する割合が90%、希死念慮を有する割合が41%、

それぞれ有意に高くなっています。

8.8%は精神的苦痛が重度と判定され、11.5%は過去半年間に「死にたいと思ったことがある」と希死念慮を伝えています。

 

職場いじめに遭った人の特徴で、有意な関連因子として浮かび上がったのは、

男性であること、年長者よりも若年者であること、低収入であること、

非正社員やアルバイトよりも正社員、さらには管理職、さらには経営者であることと、

むしろ職位の高い人たちに集まる傾向が見られる(従来にはない)特徴があります。

身体的負荷の増加や心理的負荷の増加ももちろん欠かせません。

 

在宅勤務の開始は、職場いじめに遭う確率を下げるとはいえ、

パンデミックに伴なって「身体的負荷が増えた」と答えた人は20.7%、「心理的負荷が増えた」と答えた人は33.1%あり、

とくに男性では、パンデミック後に在宅勤務を開始したことが、重度の精神的苦痛や希死念慮に関連する有意な関連因子の1つとして抽出されており

(重度の精神的苦痛は+20%、希死念慮は+23%)、女性ではこの関連は非有意とのことです。

 

ハンデミックが職場の環境に、従来の定説では説明のつかない変化をもたらしている可能性が伺えます。

 

<原著文献>

Tsuno, K. & Tabuchi, T., 2022  Risk factors for workplace bullying, severe psychological distress and suicidal ideation during the COVID-19 pandemic among the general working population in Japan: a large-scale cross-sectional study, in BMJ open, vol.12, no.11;e059860. doi: 10.1136/bmjopen-2021-059860.

 

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コロナ増悪を抑制する漢方薬処方

2022-12-08 17:53:23 | 健康・病と医療

軽症および中等症Iの新型コロナウイルス感染症の患者に対し、

葛根湯と小柴胡湯加桔梗石膏を追加投与すると、

発熱症状が早期に緩和し、呼吸不全への増悪リスクが低くなることが、

東北大学ほかの研究グループによる多施設共同ランダム化比較試験で明らかになったそうです。

 

<原著論文> 

Takayama, S., 2022  Multicenter, randomized controlled trial of traditional Japanese medicine, kakkonto with shosaikotokakikyosekko, for mild and moderate coronavirus

disease patients, in Frontiers in pharmacology, vol.13;1008946. pii: 1008946.

 

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猫と人の社会的関わり

2022-12-01 19:59:56 | 生命・生物と進化

人の声を介した、猫と人の社会的関わり、社会的な絆がたしかに存在することを

初めて科学的に確認する研究が、フランスのナンテール大学のシャルロット・ド・ムーゾン(Charlotte de Mouzon)氏らにより発表されました。

 

そこで明らかにされたのは、

猫は飼い主の声を認識しており、飼い主の声とそうでない知らない人の声を識別していること。

つまり飼い主の声には反応し、そうでない知らない人の声には反応しないこと。

また、飼い主が自分に話しかけているかどうかを理解しており、

自分に話しかけているときには反応し、他の人に話しかけている時は反応しないこと。

そして、飼い主でない人の声を聞くときには、その人が自分に話しかけているときも、他の人に話しかけている時も、反応しないこと。

 

ここで「反応」というのは、声の方向への耳の動き、尻尾の動き、瞳孔の開き具合、室内を動き回る動作、休憩の姿勢の維持などです。

猫好きの人には、どれもよくよく知り尽くしていることですね。

こんなふうに、科学の方が後ろから着いてくることも少なくありません。

 

<原著論文>

De Mouzon,Ch.,Gonthier,M. & Leboucher, G., 2022  Discrimination of cat-directed speech from human-directed speech in a population of indoor companion cats

    (Felis catus), in Animal cognition ; doi: 10.1007/s10071-022-01674-w.

 

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