社会心理学者のミルトン・ロキーチは、かつて、宗教と社会的思いやり(social compassion)の関係を明らかにするため、
世界の主要な宗教8つの熱心な信者を対象に、最も思いやりの深い宗教はどれかを調査をしたところ、
どの宗教の信者も、思いやりの深さは同程度との結果が出ました。
さすがは宗教。どの宗教であれ、やっぱり思いやりは宗教が専売特許! というべきでしょうか。
そこでロキーチはさらに、全く信仰を持たない無宗教の人びとと彼らを比較する調査をしてみたところ、
何と、前者の人たちの方が思いやりが深いという結果が出たのです!
ただしどの宗教にも、多数派と少数派があり、
無宗教の人びとよりも思いやりが浅かったのは多数派の人たちであり、
少数派の人びとは、わずか10数%を占めるにすぎないとはいえ、
無宗教の人びとをはるかにしのぐ、思いやりの深さだったそうです。
<文献>
Rokeach, M., 1969a Value-system and. Religion, in Review of Religious Research, vol.11, no.1, pp.3-23.
――――, 1969b Religious values and social compassion, in Review of Religious Research, vol.11, no.1, pp.23-38.