心身社会研究所 自然堂のブログ

からだ・こころ・社会をめぐる日々の雑感・随想

宗教と社会的思いやり

2022-04-27 13:00:48 | 社会・社会心理

社会心理学者のミルトン・ロキーチは、かつて、宗教と社会的思いやり(social compassion)の関係を明らかにするため、

世界の主要な宗教8つの熱心な信者を対象に、最も思いやりの深い宗教はどれかを調査をしたところ、

どの宗教の信者も、思いやりの深さは同程度との結果が出ました。

 

さすがは宗教。どの宗教であれ、やっぱり思いやりは宗教が専売特許! というべきでしょうか。

 

そこでロキーチはさらに、全く信仰を持たない無宗教の人びとと彼らを比較する調査をしてみたところ、

何と、前者の人たちの方が思いやりが深いという結果が出たのです!

 

ただしどの宗教にも、多数派と少数派があり、

無宗教の人びとよりも思いやりが浅かったのは多数派の人たちであり、

少数派の人びとは、わずか10数%を占めるにすぎないとはいえ、

無宗教の人びとをはるかにしのぐ、思いやりの深さだったそうです。

 

<文献>

Rokeach, M., 1969a  Value-system and. Religion, in Review of Religious Research, vol.11, no.1, pp.3-23.

――――, 1969b  Religious values and social compassion, in Review of Religious Research, vol.11, no.1, pp.23-38.

 

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日本型強制入院(=医療保護入院)の「将来的な廃止」を厚労省が削除!

2022-04-17 18:44:44 | 福祉・教育

この国には、精神障がい者本人の同意なく、精神科病院に強制入院させる制度として、自傷他害の恐れのある場合に都道府県知事らの権限で行なわれる「措置入院」だけでなく、家族らの同意さえ得れば精神科病院医師が行なうことができる「医療保護入院」という制度があります。「医療保護入院」はこの国の精神科の入院患者の実に半数近くを占めており、国際的にも人権侵害との批判がずっとなされてきたものです。

この「医療保護入院」制度について、厚労省は、3月中旬の有識者検討会に示した資料では、「基本的には将来的な廃止も視野に、縮小に向け検討」とししかもその時点では、この厚労省案に強い反対意見も出なかったにもかかわらず、4月15日には、「将来的な継続を前提とせず、縮減に向け検討」と修正、「将来的な廃止」の文言を削除したとのことです(東京新聞2022.04.17)。日本精神科病院協会(日精協)の委員が反発したことなどが要因ではないかと同紙は伝えています――この間3月末の検討会で、日精協の委員が「医療保護入院が廃止されれば、治療の放棄につながりかねない」と反対したというのです。

相も変わらぬ日本の精神医療のタテマエとホンネの矛盾がまたしても露呈し、いやそれどころかホンネの側に強く舵を切り始めた証しです。

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