心身社会研究所 自然堂のブログ

からだ・こころ・社会をめぐる日々の雑感・随想

気候変動の不平等

2018-10-26 22:47:00 | 自然環境・エコ

気候が本当に全地球的規模でおかしくなってきました。おしなべて地球全体を襲うので、誰もが等しく被害に遭うように私たちは思いがちですが、全くそうでないことは忘れてはなりませんね。

国別でみても、CO2排出量世界ランキングでよく知られているように、1位中国、2位アメリカ、3位インド、4位ロシアとつづいて、5位が日本、その後6位がドイツ、7位韓国、8位イラン、9位サウジアラビア、10位カナダと、富裕国や進行成長国が勢揃いしています。

同じことは階級差にも顕著に表われていて、世界で最も富裕な上位10%の人々が排出するCO2は、全排出量のほぼ半分を占めるのに対し、下位の半分の人々が排出するCO2は、全排出量のわずか10%にすぎないのです。もし上位の富裕者10%の人たちが、欧米の普通の人たち並みのCO2排出量にまで削減するとしたなら、実にすべてのCO2排出量を、今の2/3まで減らすことができるそうです。

http://blog.policy.manchester.ac.uk/posts/2018/10/response-to-the-ipcc-1-5c-special-report/

また、全世界で会社はいくつあるか知りませんが、超大企業わずか100社だけで、CO2全排出量の71%に対して責任があるとのことです。

https://magazine.scienceforthepeople.org/geoengineering/making-war-on-the-planet/

他方この被害を受けるのは、何よりも途上国の人々であり、先進国の貧困者や社会的弱者であり、これから社会を支える若い世代です。気候変動は相対的な剥奪の問題といわねばなりません。

 


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耳鳴りは薬よりカウンセリング

2018-10-19 22:15:50 | 健康・病と医療

10月18日に日本聴覚医学会がまとめた、日本初の「耳鳴り」の診療に関する指針案は、「耳鳴り」の多くが薬による治療に効果はなく、丁寧なカウンセリングにより「耳鳴り」とうまく付き合えるように支援することの重要性を強調しているとのことです(朝日新聞2018.10.19)。


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科学論文の9割はウソ⁉ ~科学と科学主義の別れ道~

2018-10-16 12:15:48 | 哲学・思想

10月1日夜、ノーベル医学・生理学賞を受賞した本庶佑・京大名誉教授が、記者会見で受賞の喜びを語ったなかで、

自身の研究に対する姿勢を問われた際、以下のように語りました。

 

「私自身はやはり自分に何か知りたいという好奇心があること、それからもう一つは簡単に信じないこと。よくマスコミの人は「『Nature』『Science』に出ているから」という話をされるが、「Nature」「Science」の9割は嘘で、10年経ったら残って1割だと言っているし、大体そうだと思っている。まず論文などに書いてあることを信じない。自分の目で確信できるまでやる。それが僕のサイエンスに対する基本的な姿勢だ。自分の頭で考えて納得できるまでやるということ。」

 

科学と科学主義のちがいを鮮明に語って下さいました。私自身も、今度出す本を、同じ姿勢で書いたつもりです。

 

もっとも、この発言がマスコミ各紙等でセンセーショナルに報道されていること自体、

査読付きで発表された科学論文の主張が、あたかも絶対的真理のごとくに受け取られ、流通してきている科学主義的な風潮を

雄弁に物語っていると言わざるを得ません。

マスコミとそれを妄信する少なくない人々、そして科学を語る知識人、さらには何と科学者自身すらもが、往々にしてそんな風潮にのみこまれています。

科学主義という、科学の名を冠したほとんど宗教的な風潮です。

 

科学的真理とは、つねにある条件の下での条件つきの真理であり、

異なる条件の下での批判にたえず開かれ、批判によってより高められていく、相対的な真理であることを忘れてはなりません。

 

実はそれ以前にもすでに、

Nature誌の2013年8月1日号に,「医学生物学論文の70%以上が再現できない!」という報告がなされていました[Wademan 2013]。

NatureやScienceといった一流雑誌に限らず、査読付きで発表された多くの医学生物学論文が、

実際に、その後他の研究によって再現されていないのです。

 

 

<文 献>

Wadman, M ., 2013  NIH mulls rules for validating key results, in Nature, vol.500(7460), pp. 14-16.

 

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