笑いは、ストレス軽減、NK細胞の活性化、アレルギー反応抑制などとともに、食後血糖値の上昇抑制の効果をもつことが報告されていますが、
福島県立医科大学の広崎真弓氏らは、笑いそのものでなく作り笑いに、深呼吸、手拍子、掛け声を組み合わせた「笑いヨガ」で、
2型糖尿病患者の血糖コントロールが改善されることを、3月31日号のFrontiers in Endocrinology誌に報告しました。
「笑いヨガ」とは、グループのなかで、作り笑いや深呼吸、手拍子や掛け声を行なうことで、
冗談やユーモアに頼らずに笑いの効果を体操として行なおうとするエクササイズです。
この研究では、大阪大学医学部附属病院糖尿病センターに受診する2型糖尿病患者42例を介入群と対照群に無作為に割り付け、
介入群には笑いヨガのプログラムを12週間実施しました。
開始前と12週間後に、HbA1c、体重、ウエスト周囲径、心理的因子、睡眠時間を評価した結果、
ITT解析の結果、笑いヨガ群ではHbA1c値(群間差:-0.31%、95%信頼区間:-0.54~-0.09)と
ポジティブ感情スコア(群間差:0.62ポイント、95%信頼区間:0.003~1.23 )が大幅に改善し、
睡眠時間も増加傾向がみられたとのことです(群間差:0.4時間、95%信頼区間:-0.05~0.86、p=0.080)。
なお、「笑いヨガ」プログラムへの平均出席率は92.9%と高かったそうです。
これはしかし、作り笑いでも血糖値を下げられるといった単純な話ではなく、
それに深呼吸、手拍子、掛け声が組み合わされていることで、
いずれもポリヴェーガル理論でいう腹側迷走神経複合体の活性化を引き起こし、
作り笑いが自然な笑いと同等の笑いの効果を示したとみるべきでしょう。
<原著論文>
Hirosaki M, Ohira, T., Wu, Y., Eguchi, E., Shirai, K., Imano, H., Funakubo, N., Nishizawa, H., Katakami, N., Shimomura, I. & Iso, H., 2023 Laughter yoga as an enjoyable therapeutic approach for glycemic control in individuals with type 2 diabetes: A randomized controlled trial, in Frontiers in endocrinology, vol. 14. pii: 1148468.