映画日記(ためし)

映画の印象を、悪い、ふつう、よい、の三段階で表現したいと思います。
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『恋人たち』

2015年11月20日 | Weblog
ふつう

橋口亮輔 監督・脚本
篠原篤、成嶋瞳子、池田良、安藤玉恵、黒田大輔、山中崇、内田慈、山中聡、リリー・フランキー、木野花、光石研 出演

橋梁のコンクリートをハンマーで叩き破損の有無をチェックする橋梁点検の仕事をしながら裁判のために奔走するアツシ。数年前、最愛の妻を通り魔殺人事件で失い、今なおその喪失感と犯人への憎しみから立ち直れずにいる。自分に関心を持たない夫と、ソリが合わない姑と3人暮らしの退屈な毎日を送る主婦、瞳子。ある日、ひとりの中年男とひょんなことから親しくなっていく。同性愛者で、完璧主義のエリート弁護士、四ノ宮。一緒に暮らす恋人がいながらも、秘かに学生時代からの男友だちを想い続けていた。そんな不器用ながらも懸命に日々を生きている3人だったが……。
ストーリーはallcinemaより
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=352726





映画館で観た。

橋口亮輔監督は、人が良すぎて、もしくは優しすぎて、作品に悪影響を及ぼしているのではないか?

橋口亮輔監督作品の『ぐるりのこと。』に関してちょっとネタバレします。






あの作品がどういう内容だったのか?
何が起こって(A)、どうなったのか(B)?



A 子供を失って、
B 嫁が鬱になった。

という話だったのだが、観客に配慮(遠慮)しすぎて、AもBもともに薄口表現、伝わりにくいものになっていた印象がある。

そして本作……。
絶望と再生の物語としてとらえると、やはり薄口すぎてものたりないのだ。それだったら『そこのみにて光輝く』のほうがはるかにいい(笑)。
それよりも、本作のチラシに掲載されていた鈴木敏夫さんのことば「世の中には、いい馬鹿と悪い馬鹿と質(たち)の悪い馬鹿がいる」のほうがはるかにピンとくる。それでも、いい馬鹿→篠原篤、悪い馬鹿→光石研と安藤玉恵、質の悪い馬鹿→池田良で、成嶋瞳子が含まれなくなるのだが……。
この場合の「馬鹿」とは、生きにくい世界だと思っている人というような意味で、容姿や収入やテストの点数は関係ないのだよ。

ここまでが、本作理解のための手助け。

ここからがわたしの印象。

定職を持っている詐欺師が、その定職に近い分野をネタにして詐欺を働くのは素人っぽい。しかも「美女水」のような本格的な詐欺もしているというのに……。コメディ・リリーフとしての役割は十分にあるが、リアリティに欠ける。
いつもどってくるのか描かれていない旦那と姑がいる自宅で、浮気をさせるな。

池田良を悪徳弁護士にしていないのも、観客には理解しにくい。傲慢ではあるが、根っからの悪人にはなっていないのだ。

カルキのタイミングはどうした? デキの悪い映画のようだ。注射器は入手したのか?

演技はすばらしい。泣きのシーンで胸が詰まりそうになった。

『アナーキー』

2015年11月14日 | Weblog
ふつう

マイケル・アルメレイダ 監督・脚本
イーサン・ホーク、エド・ハリス、ミラ・ジョヴォヴィッチ、ジョン・レグイザモ、ダコタ・ジョンソン、ペン・バッジリー、アントン・イェルチン 出演

バイク・ギャング軍団を率いる麻薬王シンベリンは、娘のイノジェンが幼なじみのポステュマスと結婚してしまったことに腹を立てる。溺愛する後妻クイーンの息子クロートンと結婚させたいシンベリンは、ポステュマスを追放してしまう。やがて放浪するポステュマスが出会ったのが謎めいた男ヤーキモー。彼は、ポステュマスにある賭けを持ちかける。それは、ヤーキモーがイノジェンを誘惑し、彼女のポステュマスへの愛が本物か確かめるというものだったが……。
ストーリーはallcinemaより
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=352383





ストーリーの流れはそのままに、時代や設定を置き換えることを「翻案」という。藤山寛美さんは『ゴッドファーザー』を大阪の漬物屋の話に翻案できると言っていたらしいと、小林信彦さんの本で読んだことがある。

本作はシェイクスピアの『シンベリン』の翻案なのだが、セリフが意図的に古臭いところがある。そして、それがちっともよくない。おもしろみがわからない。

ポステュマスが主人公かと思ったのだが、原題は『シンベリン』である。予算と使いやすさの関係でポステュマスが主人公のように見えたのかもしれない(笑)。

説得力のない展開は、翻案の作業の中途で改善されるべきものではないのか?

イーサン・ホーク、エド・ハリス、ミラ・ジョヴォヴィッチは観る価値がある(特に男ふたり)。彼らがいなければ……。

箱(笑)!!!  無理だって。

『イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密』

2015年11月14日 | Weblog
よい

モルテン・ティルドゥム 監督
ベネディクト・カンバーバッチ、キーラ・ナイトレイ、マシュー・グード、ロリー・キニア、アレン・リーチ、マシュー・ビアード、チャールズ・ダンス、マーク・ストロング 出演

1939年。ドイツ軍と戦う連合軍にとって、敵の暗号機“エニグマ”の解読は勝利のために欠かせない最重要課題だった。しかしエニグマは、天文学的な組み合わせパターンを有しており、解読は事実上不可能といわれる史上最強の暗号機だった。そんな中、イギリスではMI6のもとにチェスのチャンピオンをはじめ様々な分野の精鋭が集められ、解読チームが組織される。その中に天才数学者アラン・チューリングの姿もあった。
ストーリーはallcinemaより
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=350926





冒頭の青酸カリが機械に使用するためのものだと思うが、もうちょっと丁寧に用途を説明してほしかった。

天才ではあるが、ひとつの目的(マシン)にしか活かされない才能で、自分を守る能力や社会性がないために自滅してしまう。

キーラ・ナイトレイと別れたところが主人公の人生の決定的なポイントで、解読した情報をどのように使うのかは本来暗号解読者たちの管轄外のはずである。このふたつを同じように見せている(主人公の物語として扱っている)のはあまり感心しない。

チャーチルに手紙を書いて説得できる能力があるのならば、ほかの窮地ももうちょっと避けられそうな気もするのだが……。

ミンギス怖い。彼に頼ることはできなかったのだろうか。

『恋の渦』

2015年11月14日 | Weblog
よい

大根仁 監督
新倉 健太、若井尚子、柴田千紘、後藤ユウミ、松澤 匠、上田 祐揮、澤村 大輔、圓谷健太、國武綾、松下貞治 出演

部屋コンに集まった男女9人。イケてないオサムに、カノジョを紹介するのが、今夜の隠れテーマだ。しかし、やってきたユウコのルックスに男は全員ドン引き。それでも無理矢理盛り上げようとするが、全てが空回りし、微妙な空気のままコンパは終わったはずだったが・・・。その夜を境に、男女9人の交錯する恋心と下心、本音と嘘が渦巻き、ゲスでエロくておかしな恋愛模様が繰り広げられていくのだった。
ストーリーは公式サイトより
http://koinouzu.info/story.html

GYAO! で観た。



邦画にはあまり期待しないのだが、本作のような作品を観ることができると、「日本人でよかった~」と本気で思ってしまう。おそらく字幕や吹き替えがうまくつけられれば、全世界に通用するデキである。

さまざまな男女関係を非常に狭い世界で描いた名作。

監督と脚本(三浦大輔 原作も)と出演陣がよければ、こんなすばらしい作品ができるのだと日本人の映画関係者は心に留めておくように。

公式サイトによると、撮影日数わずか4日間で、低予算だったらしい。


さて、内容にふれる。

ラストのオチというかその直前というか、アレは予想できた(笑)。しかたないかもしれないが、途中の男のセリフをカットか薄めることでどうにかなったかもしれない。

カオリがシャワーを浴びて帰るときに、風呂場になにかいやがらせ的なメッセージを残してもよかったかな~と思った。

松下貞治がただ存在しているだけで生まれるおかしみ!

オサムさん、最高っす! しあわせなのはオサムとナオキかもしれない。

最近のカップルは富士そばに行くのか?

『ロボコップ』(2014)

2015年11月14日 | Weblog
ふつう

ジョゼ・パヂーリャ 監督
ジョエル・キナマン、ゲイリー・オールドマン、マイケル・キートン、サミュエル・L・ジャクソン 出演

2028年。ロボット技術で世界を支配する巨大企業オムニコープ。同社のロボットが世界各地で軍事利用される中、アメリカではその配備が法律で禁じられていた。それでもアメリカ国内での普及を目指すオムニコープは、様々な手段を講じてこの法律の廃止を画策する。
ストーリーはallcinemaより
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=346944#1




ポール・ヴァーホーヴェン監督による87年の大ヒット作品のリブート。

この監督の作品、『エリート・スクワッド』(2007)と『エリート・スクワッド ブラジル特殊部隊BOPE』(2010)を観ているが、どちらも主人公を大事にするという意識が薄い作品だったと思う(笑)。

脇に大物俳優を使うのはよいとして、だからといってストーリーがおもしろくなくなったらだめでしょう。

ゲイリー・オールドマンの人のよさとサミュエル・L・ジャクソンの下品さを強調することに夢中になりすぎて、本作でも主人公の影が薄くなり、話のポイント(力点)の配分がおかしくなっている。