映画日記(ためし)

映画の印象を、悪い、ふつう、よい、の三段階で表現したいと思います。
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『ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー』

2009年05月31日 | Weblog
ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー - goo 映画

ふつう

ギレルモ・デル・トロ 監督・脚本
ロン・パールマン、セルマ・ブレア、ダグ・ジョーンズ、ルーク・ゴス、アンナ・ウォルトン、ジョン・アレクサンダー、ジェームズ・ドッド、ブライアン・スティール、ロイ・ドートリス 出演

極秘機関・BPRDのエージェントのヘルボーイは、恋人のリズや水棲人のエイブと共に怪事件の捜査にあたっていた。ある夜NYのオークション会場が凶暴な怪物に襲われる事件が発生。ヘルボーイたちはなんとかこれを退治するが、人前に姿をさらしてしまう。その頃闇の世界ではヌアダ王子が人間を抹殺すべくゴールンデン・アーミーの復活を目論んでいた。しかし復活に必要なパーツを王女のヌアラが持ち出しており……。



世界観と映像は最高だが、シナリオ・ストーリーがいまいちである。
あのエンディングがとても気にくわない。
あんなのでよければ、1時間でカタがついている話なのだ。

CGを多用してもいいが、もう夜や雨(この作品ではなかったが)のシーンは飽きた。堂々と昼日中の明るいシーンで多用してほしい。

特殊能力を持ったキャラクターがたくさん出てくるが、それを活かしきれていない。

ゴールデン・アーミーの復活シーンはかっちょいい。

『アイアンマン』

2009年05月30日 | Weblog
アイアンマン - goo 映画

よい

ジョン・ファヴロー 監督
ロバート・ダウニー・Jr、ジェフ・ブリッジス、テレンス・ハワード、グウィネス・パルトロー、ショーン・トーブ、レスリー・ビブ 出演

軍事企業CEOにして天才発明家のトニー・スタークは、武器のデモで訪れたアフガンで武装集団に拉致され、兵器開発を強要される。彼は医師インセンと共に兵器開発をするフリをしながら脱出用のパワードスーツを製作し、命からがらの脱出を果たす。帰国後トニーは自社の軍事産業からの撤退を発表。自らは自宅の作業部屋に篭って、新型パワードスーツの開発に没頭する。彼の周囲は恐ろしい陰謀がうごめいているとも知らずに……。



そんなにすばらしくはないのだが(笑)、話の単純さとバカの要素が多数取り込まれている(上の写真でもわかる人にはわかるはずである)のがよい。

爆弾のカケラが内部にはいるのを防ぐために電磁石を使うというのはわかるのだが、それをポータブル化したものをとりはずすと主人公が死んでしまうというのがわからない。ペースメーカーとか人工心臓の役割も担っているということか?

武器メーカーという設定なので、写真のF22や、無人戦闘機が出てくるのが兵器好きには嬉しい。

ジェフ・ブリッジスには気づかなかった(笑)。

マークⅡができるあたりで、スペースインベーダーの効果音が鳴るような気がする(笑)。

『幻影師アイゼンハイム』

2009年05月28日 | Weblog
幻影師アイゼンハイム - goo 映画

ふつう

ニール・バーガー 監督・脚本
エドワード・ノートン、ポール・ジアマッティ、ジェシカ・ビール、ルーファス・シーウェル、エドワード・マーサン 出演

19世紀末ウィーン。ハプスブルク帝国末期の芸術文化の都では、大掛かりな奇術=イリュージョンが一世を風靡していた。中でも絶大な人気を誇っていたのは、アイゼンハイムという名の幻影師。ある日彼は舞台の上で、幼なじみのソフィと再会する。今では、皇太子の婚約者として注目を集める彼女は、その後ほどなく皇太子邸で謎の死を遂げてしまう。謀殺の噂も沸き立つ一大スキャンダルのさ中、アイゼンハイムはソフィの幻影を蘇らせる前代未聞のイリュージョンを発表するのだが…。



ええと、想定内のストーリー展開であった(笑)。

エドワード・ノートン、ポール・ジアマッティふたりの演技はいいとして、ジェシカ・ビールがちっとも魅力的に見えてこないのであった。

『スターリングラード』の英語を話すロシア兵に感じたのと同じ違和感をこの映画にも感じてしまう(笑)。
ヨーロッパなのに英語を話すことすべてに違和感を感じるのではなく、演技がそこそこしかないのに英語を聞かされることによって、余計に演技力不足を意識させられてしまうような印象であった。

せっかくのイリュージョンを安っぽいCGでやるのも感心しない。

『白い馬』

2009年05月24日 | Weblog
よい

アルベール・ラモリス 監督・脚本
アラン・エムリイ、パスカル・ラモリス 出演

フランス南部のカマルグ地帯、野性馬のリーダーの白い馬クラン・ブランは、馬飼いの一団の垂涎の的だった。しかし誰一人これを捕らえられる者はなく、彼らは猟師の少年に、捕まえたらお前にやる、と吐き捨てる。ある日、葦に火を放たれ、逃げ惑う白馬を少年が救って以来、彼らは大親友となる。馬飼いたちに追いかけられた彼らは、海の中までも駆けて行く……。
オールシネマよりの引用
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=11210#1



『赤い風船』と同じDVDにはいっている作品。
こちらもよいのだが、若干古めかしさが出ている(1952年の作品)。

上記ストーリーの「猟師の少年」は、「漁師の少年」のことではないかと思われる。船に乗って魚をとっていたので(笑)。

馬どうしのけんかのシーンは迫力がある。

話の展開が強引なところもあるし、うさぎのところはいらないと思うが(笑)、トータルで観てよい。こちらも40分の短編。

『赤い風船』

2009年05月24日 | Weblog
赤い風船 - goo 映画

よい

アルベール・ラモリス 監督・脚本
パスカル・ラモリス、シュザンヌ・クルーティエ 出演

1950年代、パリ。少年パスカルは、街灯に結ばれた赤い風船を見つける。よじ登って風船を手にすると、どうやらその風船には意思があるらしい。手を放してもパスカルになついて後をついてくる。ある日、パスカルと風船の仲の良さを妬んだいたずらっこ達が追いかけてきて…。



こりゃ、こどももおとなも夢中になるわ(笑)。

ユーモラスなところも魅力だが、言うことをきく風船というのもこどもはひきつけられる。

あまりセリフがなく、スーパーがなくてもだいたいのことはわかる。こういうところは『ベルヴィル・ランデブー』と似ていると思った。

35分という長さもすばらしい。

DVDだと『白い馬』といっしょにはいっている。

『スローターハウス5』

2009年05月21日 | Weblog
スローターハウス5 - goo 映画

よい

ジョージ・ロイ・ヒル 監督
マイケル・サックス、ユージン・ロッシュ、ロン・リーブマン、シャロン・ガンス、ヴァレリー・ペリン、ジョン・デナー、ペリー・キング、ロバーツ・ブロッサム、フレデリック・レデブール 出演

カート・ヴォネガット・Jrの同名SF小説の映画化作品。実業家として成功した老境の男ビリー・ピルグリム。彼は自分の回想録を書こうとする。第二次大戦の捕虜収容所、飛行機事故の大惨事、彼自身の暗殺など、ビリーの、時間と空間を超越した体験を幻想的に描くが、それを端的に描出したカットの切り替わりの巧みさが素晴らしい。奇異な原作を映画化したジョージ・ロイ・ヒル作品としては、ジャンルは違えど、後の「ガープの世界」に共通するテイストがある。
オールシネマより
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=12282



世界は瞬間の寄せ集めであり、時間と空間は飛ぶし重なるのだ。ピース。
以上ではあまりにも乱暴なので、もうすこし。



淀川 長治さんの『日曜洋画劇場』でこの作品を初めて観たときに、悪夢的な印象が強く残ったが、そのラストシーンのすばらしさも忘れられなかった。まだこの時点で監督名や原作者が誰なのかはもちろんわかっていない。

もういちど観たような気もするが、それが同じ番組か深夜だったのかも覚えていない。

中・高生のときに、原作とその他の作品、ついでに偶然だがジョン・アーヴィングの『ガープの世界』を読む。これらにより自分の物語の好みが大きく影響される。

その後『ガープの世界』の映画版を観て気に入る。ジョージ・ロイ・ヒルの名前を覚える。このとき映画版『スローターハウス5』と非常に印象が似ていることに気づく。

『スローターハウス5』の監督も同じ人だと気づく。

時間と空間、物語、カート・ヴォネガット、ジョージ・ロイ・ヒル、ここあたりに興味のある人はいちど観ておいてほしい作品。

『いつか読書する日』

2009年05月18日 | Weblog
いつか読書する日 - goo 映画

よい

緒方明 監督
田中裕子、岸部一徳、仁科亜季子、渡辺美佐子、上田耕一、香川照之、杉本哲太、鈴木砂羽、左右田一平、神津はづき、田根楽子、馬渕英里何、山田辰夫、柳ユーレイ、堀部圭亮 出演

山肌に家々が貼り付いたような生まれ故郷で、牛乳配達をしている50歳の大場美奈子。独身で親兄弟もいない彼女の生活は、判で押したように単調だ。一方、美奈子の牛乳配達先の高梨家では、槐多が末期ガンの妻・容子を看病していた。実は美奈子と槐多は高校時代につきあっていたのだが、不幸な事故をきっかけに疎遠になったいきさつがある。その事を偶然知り、二人が今も想いあっていると確信した容子は、自分の死後、二人が一緒になればと願いはじめる。



話に余分なところもありわかりにくいかもしれないが、見ごたえのある作品であった。

少し乱暴な説を書く。
高校生の大場美奈子が本屋にいて槐多が声をかけるシーンがある。
現在の美奈子の部屋が写り、そこそこ多量といえる本が並んでいる。
そしてこの作品タイトル。
つまり、美奈子は本の数ほどに(長年)槐多を待ち続けたのだ。
では読書する日とは何か?
これは恋が終わる(成就することをも含めて)ことを意味するのだ。
だから美奈子は途中でゆっくりと読書をするシーンがある(ゆっくりと恋が終わる、終わらせようとしている)のだ。

ラジオに投書するのは余計ではないか。秘密にしようと思っている女の行動にしては安易すぎる。

老いや死の要素をからめるのは悪くないが、この恋の復活にこどもの万引きが一因であることと、おわりにもこどもがからんでしまうのがわたしには不自然に感じた。

香川照之と馬渕英里何がさりげなくよい。

『蛇にピアス』

2009年05月17日 | Weblog
蛇にピアス - goo 映画

よい

蜷川幸雄 監督
吉高由里子、高良健吾、ARATA、あびる優、ソニン、今井祐子 出演

渋谷を徘徊する19歳の少女ルイは、クラブで知り合ったアマの蛇みたいに割れた舌(=スプリットタン)に心を奪われる。後日、アマに連れて行かれた妖しげな店で、全身に刺青を施し、顔じゅうにピアスのある店長のシバに、舌ピアスをあけてもらう。少しずつ穴を拡張しスプリットタンにするつもりだ。その日以来、彫り師のシバに強い憧れを抱いたルイは、自分にも最高の絵を刻みたいと思うようになる。



これがほんとに原作の完全映画化ならば、原作はそうとうつまらないもののはずである(笑)。ストーリーは薄いし、完結していない。

ケンカで逃げる前に、ちゃんと仲間に挨拶をして帰るあびる優(ここがものすごくうまい)。蛇を思わせる電車。交差点で泣き出す高良健吾など、蜷川幸雄の演出が光る。

「スプリット・タン」がときどき「スピリット・タン」に聞こえる吉高由里子は初主演だが、デビューは早い。演技はうまくないが、これも蜷川のおかげでギリギリ許せる範囲にとどまっている。

単なるバカ女の物語としてとらえることも可能だが、前半は彼女の裸の魅力もあり、ストーリー的にも飽きることはなくおもしろい。後半は逆に言うと、展開がもっさりしていて話もまとまらないので、不満が残る。

『デュプリシティ ~スパイは、スパイに嘘をつく~』

2009年05月16日 | Weblog
デュプリシティ~スパイは、スパイに嘘をつく~ - goo 映画

ふつう

トニー・ギルロイ 監督・脚本
ジュリア・ロバーツ、クライヴ・オーウェン、トム・ウィルキンソン、ポール・ジアマッティ、デニス・オヘア、トーマス・マッカーシー、キャスリーン・チャルファント、ウェイン・デュヴァル 出演

CEOハワード率いるトイレタリー業界最大手のB&R社に激しいライバル心を燃やす新興企業エクイクロム社のCEOディックは、強力なスパイ・チームを組織しB&R社の機密を収集することに躍起になっていた。新しくチームに加わったレイは英国の諜報機関MI6の元エージェント。早速、ハワードが世界を牛耳る新製品の発表を控えているという情報を、潜入スパイで元CIAエージェントのクレアから入手する。



ジュリア・ロバーツが美しいうちに彼女を徹底的な悪女にすべきであった。
予想できるストーリー展開のうち三番目くらいに予想できるものであるために、それまでのわくわく感よりも、がっかり感のほうが観終わったときに残ってしまう。

この結末がほんものとして、クライヴ・オーウェンの役割が不明になってしまう。急遽彼をチームに入れる必要性がないのだ。

『アキレスと亀』

2009年05月13日 | Weblog
アキレスと亀 - goo 映画

ふつう

北野武 監督・脚本
ビートたけし、樋口可南子、柳憂怜、麻生久美子、中尾彬、伊武雅刀、大杉漣、筒井真理子、吉岡澪皇、円城寺あや、徳永えり、大森南朋 出演

裕福な家庭に生まれ育った真知寿は絵を描くのが大好きで、将来画家になる夢を持っていた。しかし両親が突然自殺し、一人ぼっちに。青年に成長した真知寿は、バイトで貯めたお金で美術学校に通っていた。そんな彼の前に美しい理解者が現れる…。同じ工場で働く幸子と結婚した真知寿は、彼女の手を借りながらますます芸術にのめり込んでいく。中年になった真知寿は来る日も来る日も創作に励んでいたが、絵はまったく売れなかった。



才能のない芸術家の孤独と悲劇をコメディタッチで描いた作品だというのはわかるが、タケシと樋口可南子が出てくるところからそのコメディ色がかなり強くなる。
それまでの流れだとひとりの完成した芸術家ができるまでには、かなりの死者が出ることもあるのだ、というようなことをうったえたいのかと思っていたが、その印象が変わってしまう。

タケシが出てくる前と後、そのどちらもよいのだが、トータルバランスは取られていない。

大杉漣に一気に状況説明をさせるところはうまい。
注文をつけるだけの大森南朋がおもしろい。

『ゼラチンシルバーLOVE』

2009年05月10日 | Weblog
ゼラチンシルバーLOVE - goo 映画

ふつう

操上和美 監督
永瀬正敏、宮沢りえ、役所広司、天海祐希、水野絵梨奈、SAYAKA 出演

運河を隔てた家に暮らす女をビデオカメラで盗撮する男。女はひとり本を読み時に涙を流し、ゆで卵を食べ、外出し再び戻ってくる。男は撮影済みのテープを依頼人に渡し、監視の目的と女の正体を尋ねてみるが、返ってきたのは「詮索は得になりませんよ」という警告ともとれる答えだった。得たいの知れない魅力に抗えず、男は思わず女の跡をつけてしまう。いつしか男の行動は依頼された仕事の領域を逸脱して行く。



ええと、操上和美(くりがみかずみ)とは、優秀なスチールカメラマンである。

ゼラチンシルバー=銀塩とは、
フィルムで撮影して現像するときに塗りこめる感光物質。それが塗られたフィルムを露光させる方式で撮影したものを銀塩写真という。感光物質の結合剤として機能するのがゼラチンである。

というような好意的な予備知識を得ていたとしても、評価はあまりかわらない。

おそらくこの監督は自分の理想とする映像の具現化だけにしか力がはいらなかったのではないか。そして映画というのは総合芸術であり、映像、音楽、シナリオ(ストーリー)、演技(もちろん表情だけではなく、歩き方などの動きも含めて)などのトータルで判断されるものだということを忘れたか無視したかに違いない。

20分近く頭からセリフがないのはいいが、宮沢りえがしゃべりだした途端彼女が魅力的に映るというのは、この監督の狙いとはズレているのではないか。

映像もふつうに美しい。特に美しいというものではない。

参考URL
High photo Japan 操上和美 特集
http://www.h-pj.com/modules/pages/index.php?content_id=32

『レッドライン』

2009年05月09日 | Weblog
レッドライン - goo 映画

わるい

アンディ・チェン 監督
ナディア・ビョーリン、ネイサン・フィリップス、エディ・グリフィン、アンガス・マクファーデン、ティム・マシスン、ジェシー・ジョンソン、トッド・ロウ 出演

歌手になることを夢見る美しき女性ナターシャ。彼女は生まれながらにして類まれなドライビングテクニックを持っていたが、レーサーだった父親がレース中の事故で命を落として以来、その道に進むことを固く拒んでいた。ある日、アメリカ西海岸の公道で違法な賭博レースに興じている金持ちグループの一人、インフェイマスに目をつけられ、歌手として出演させてもらうことを条件に、次のレースが行われるラスベガスに向かう…。



バカになりきれていな~~い!!
水着金髪美女による泡だらけ洗車などのアメリカ男性のエロ理想もはいってはいるが、これでもかというしつこさ、執着心がない。
しかもヒロインのナディア・ビョーリンが、そんなに美人ではない(笑)!!
マッチョでタフで正義感の主人公が出てくるが、演技がへた。
演技がへたなら、レースシーンをたっぷり見せることによってごまかすという手もあるはずなのだが、それも期待はずれであった。
もちろんストーリーもつまらない。

『フィクサー』

2009年05月09日 | Weblog
フィクサー - goo 映画

よい

トニー・ギルロイ 監督・脚本
ジョージ・クルーニー、トム・ウィルキンソン、ティルダ・スウィントン、シドニー・ポラック、マイケル・オキーフ、デニス・オヘア、ジュリー・ホワイト、オースティン・ウィリアムズ、メリット・ウェヴァー、デヴィッド・ランズベリー 出演

NYの大手弁護士事務所に勤めるマイケル・クレイトンの専門は不始末をもみ消すこと。そんな仕事に嫌気が差していた時、大規模集団訴訟を担当中の同僚弁護士アーサー・イーデンスが、依頼人の農薬会社U・ノース社を裏切る行動に出る。マイケルは事態の収拾に乗り出すが、アーサーは訴訟を覆す恐るべき秘密を握っていた。一方、U・ノース社の法務部本部長カレン・クラウダーは追い詰められ非情な手段に出るのだった…。



地味な内容だが、話がおもしろい。

こちらの時間のズレは『娼婦と鯨』のようにしつこくなく(笑)、効果的に使われている。

こどもの使い方はもうひと工夫ほしかった。

エンディングの長まわし2回もいい。

『娼婦と鯨』

2009年05月09日 | Weblog
ふつう

ルイス・プエンソ 監督
レオナルド・スバラグリア、カローラ・レイナ、アイタナ・サンチェス・ギニョン、ミゲル・アンヘル・ソラ 出演

スペイン人の女性作家ベラは作品の資料として、スペイン内戦で死亡した男が撮影したある女性の写真を渡される。その写真に異常なまでの興味を抱いたベラは、アルゼンチンのパタゴニアへひかれるように旅立つ。



英語圏以外の作品(アルゼンチン/スペイン)の資料がこんなに少ないとは思わなかった。よく使うオールシネマで出演者の名前がふたり、アマゾンで三人であった。

1936年と現代のシーンがあるのだが(写真は1936年のほう)、入り乱れすぎである。特に前半は集中していないと混乱してしまうかもしれない。

映像は美しい。

結婚しこどもをもうけ、離婚しひとりになったベラが乳がんになる。自分で選んだ孤独のはずだが、なぜか病気以外の生活もつらそうである。その自分の姿と(おそらく)重なる部分、共通点を見出して、娼婦ロラの一生に引き込まれるのだが、それがうまく伝わってこない。

この表現は好きではないのだが、仮にこの作品を<女性映画>だとすると、『ボルベール<帰郷>』や『ピアノ・レッスン』などの完成度と比較すると、かなり下になる。特に、人との出会いがラッキーすぎる。

ロラの話、ベラの話と区別ができると意外にストーリーは単純である。

娼婦も裸も出てくるが、それほどエロくはないので、女性でも抵抗なく観られると思う(借りられるかどうかは別として)。

鯨が死の象徴であるのは間違いないが、そのほかにも女性の安住の地の象徴ではないかと思う。では、女性の安住の地=死なのか? と考えると、そこまではっきりとした答えまではこの作品では出ていないようである。

『グラン・トリノ』

2009年05月06日 | Weblog
グラン・トリノ - goo 映画

よい

クリント・イーストウッド 監督
クリント・イーストウッド、ビー・ヴァン、アーニー・ハー、クリストファー・カーリー、コリー・ハードリクト、ブライアン・ヘイリー、ブライアン・ホウ、ジェラルディン・ヒューズ、ドリーマ・ウォーカー、ジョン・キャロル・リンチ 出演

朝鮮戦争の帰還兵ウォルト・コワルスキーはフォード社を退職し、妻も亡くなりマンネリ化した生活を送っている。彼の妻はウォルトに懺悔することを望んでいたが、頑固な彼は牧師の勧めも断る。そんな時、近所のアジア系移民のギャングがウォルトの隣に住むおとなしい少年タオにウォルトの所有する1972年製グラン・トリノを盗ませようとする。タオに銃を向けるウォルトだが、この出会いがこの二人のこれからの人生を変えていく…。



平凡な話でも非凡の才能が撮れば傑作になるのだ。

「グラン・トリノ」といのは名車の名前。

わたしが特にすばらしいと思ったのは、床屋さんの最初のシーンと最後の歌のところ、それと隣の異文化のところだけである。しかし、ほかのところも悪いところがないのだ。
ジョン・キャロル・リンチ(イタリア系の床屋さん)とのギリギリの会話がすばらしい(笑)。
簡潔な時間経過の表現などで、キビキビと話が進んでいく。

生と死、戦争、異文化、貧困などさまざまな問題がある中で、自分の大切なものを自分の好きな人間に伝えられるというシンプルな幸福感を十分に味わわせてくれる。