映画日記(ためし)

映画の印象を、悪い、ふつう、よい、の三段階で表現したいと思います。
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『天国は待ってくれる』

2008年09月29日 | Weblog
天国は待ってくれる(1943) - goo 映画

よい

エルンスト・ルビッチ 監督
ドン・アメチー、ジーン・ティアニー、チャールズ・コバーン、マージョリー・メイン、レアード・クリーガー、スプリング・バイイントン、アリン・ジョスリン、ユージン・パレット、ルイス・カルハーン、シグニ・ハッソ 出演

地獄行きの手続きを委ねられている閻魔大王(レアード・クリーガー)は、そこにやって来た全く天国行きに執着しないヘンリー(ドン・アメチ)という男に興味を抱き、彼からその人生の話を聞くことにした--。

エルンスト・ルビッチ作品の中ではデキはふつうみたいなのだが、『ニノチカ』と『桃色(ピンク)の店』しか観たことがないのでその判断はできない。

ユーモアと皮肉とハート・ウォーミングと男の身勝手のバランスが絶妙にとられている。
いきなり死後の世界で始まるのは当時としては画期的ではないか。

フランス人メイド役の人が出番は少ないが、チャーミングである。

『イースタン・プロミス』

2008年09月22日 | Weblog
イースタン・プロミス - goo 映画

よい

デヴィッド・クローネンバーグ 監督
ヴィゴ・モーテンセン、ナオミ・ワッツ、ヴァンサン・カッセル、アーミン・ミューラー=スタール、イエジー・スコリモフスキー、シニード・キューザック、ミナ・E・ミナ、サラ=ジャンヌ・ラブロッセ 出演

病院で働くアンナの下に、一人の少女が運び込まれる。意識を失くした少女は、女の子を産み落とし、息を引き取る。バッグに入っていた手帳にはロシア語で日記らしいものが書かれており、少女がロシア人であることが分かる。手術に立ち会ったアンナは、少女の身元を確認するため、ロシア料理レストランのオーナーに相談すると、自分が日記の翻訳をしようと申し出る。しかし、その後、謎のロシア人、ニコライがアンナに近付き始め…。

公式サイトによると「イースタン・プロミス」とは人身売買のことらしいのだが、作品中でなにか説明があったっけ(笑)?
 
非常に男くさい作品。その男くささを強調するために、ヴァンサン・カッセルをホモの(もしくは不能の)バカ旦那にすることで、ヴィゴ・モーテンセンとアーミン・ミューラー=スタールの男性性を際立たせている。

クローネンバーグの前作『ヒストリー・オブ・バイオレンス』のような、静かな暴力性・隠れた暴力性はあまりなく、どちらかというと明示された暴力性なのだが、そのリズムに緩急をつけることで、観客をぐいぐい引き込む。

サウナでの格闘は女性とホモの男性へのサービスということもあるが(笑)、それ以上に真っ裸にナイフという格別の痛みを観客全員にヒシヒシと感じさせる。

『0093 女王陛下の草刈正雄』

2008年09月22日 | Weblog
0093 女王陛下の草刈正雄 - goo 映画

ふつう

篠崎誠 監督
草刈正雄、黒川芽以、彩輝なお、麻有、和田聰宏、唐橋充、水野晴郎、森田正光、嶋田久作 出演

「ケータイ刑事」のスタッフが贈る、日本初本格パロディ・スパイ映画の決定版!スター俳優とスパイの2つの顔を持つ男・草刈正雄が愛娘を守るため、巨大な陰謀に立ち向かう姿を描く。二枚目俳優・草刈正雄は押しも押されぬ大スター。だが真の正体は女王陛下の元で働く諜報部員、コードナンバー“0093”だった。彼自身もスパイである事実を忘れかけていたある日、20年ぶりに女王様からある指令が下るのだが…。

『女王陛下の007』の次にはこちらを観なければならない(笑)。

予算のない映画において、頑張るのはシナリオと演技だと思うが、シナリオはそれなりの頑張りを見せている(ということは演技はそれほど……ということだ)。

ゆる~いギャグがきまったりきまらなかったりするのだが、黒川芽以に一定のキャラクターづけ(熟語の意味にこだわる)をするなど、努力は認めてやりたい。

主題歌もかなりよい。

『ハンニバル・ライジング』

2008年09月21日 | Weblog
ハンニバル・ライジング - goo 映画

ふつう

ピーター・ウェーバー 監督
ギャスパー・ウリエル、コン・リー、リス・エヴァンス、ケヴィン・マクキッド、スティーヴン・ウォーターズ、リチャード・ブレイク、ドミニク・ウェスト、チャールズ・マックイグノン、アーロン・トーマス、ヘレナ・リア・タコヴシュカ 出演

1944年リトアニア。名門家の血を引くハンニバル・レクターは、ドイツ軍の爆撃により両親を失い、幼い妹とともに山小屋でひっそりと暮らしていた。そこへ、脱走兵のグルータスらがやって来て、山小屋を乗っ取り、妹を連れ去ってしまう。終戦後、ハンニバルは孤児院へ送られるが、そこはかつてのレクター家の古城で、難なく脱走に成功。長旅の末、パリの叔父を訪ねた彼を迎えてくれたのは、美しい日本女性レディ・ムラサキだった。

この作品だけの評価として「ふつう」。これをシリーズ物として評価すると「ふつう」以下になる。

まず独立したこの作品だけとしての感想だが、盛り上がりに欠ける。緊張感に関しては主人公が子どものときのほうがはるかにあり、医学生になってからは同じパターンの繰り返しでしかない。主人公を追及する警察という構図もうまくはたらいていない。

ジャポネスクに関しては、まあ不思議な感じを出すための日本と考えたらあれくらいは許そう。

シリーズ物としての感想は、この作品からは決して『羊たちの沈黙』や『レッド・ドラゴン』、『レッド・ドラゴン/レクター博士の沈黙』へとつながらない。
たしか大学教授で生徒の肉を食べたという経歴があるはずだが、そこへとつながらない。単なる復讐譚にしかなっていない。
こういうことがありましたから、こういう性格になりました、はわかる。しかし、こういうことがありましたから、ああいう(他作品のハンニバル・レクターの)性格になりました、がわからないのだ。

『女王陛下の007』

2008年09月19日 | Weblog
女王陛下の007 - goo 映画

ふつう

ピーター・ハント 監督
ジョージ・レーゼンビー、ダイアナ・リグ、テリー・サヴァラス、ガブリエル・フェルゼッティ、バーナード・リー、ロイス・マクスウェル、デスモンド・リュウェリン 出演

スペクターの首領、ブロフェルドの所在が明らかになった。ボンドはその情報をもとに、スイスへと飛ぶ。やがて、細菌を使った恐るべき人類抹殺計画が明らかになる……。

長い。地味。テレサの状況説明が終わるまでが手間取りすぎる。

ボンドがテレサと出会うところが三ヶ所あるが、そのうち二ヶ所が不自然である。

とどめをさしたのかの確認くらいはボンドにちゃんとしてもらいたい。

『リストランテの夜』

2008年09月17日 | Weblog
シェフとギャルソン、リストランテの夜 - goo 映画

よい

スタンリー・トゥッチ、キャンベル・スコット 監督
スタンリー・トゥッチ、キャンベル・スコット、トニー・シャルーブ、イアン・ホルム、ミニー・ドライヴァー、イザベラ・ロッセリーニ、キャロライン・アーロン、マーク・アンソニー、アリソン・ジャネイ、ラリー・ブロック、アンドレ・ベルグレイダー、ピーター・マクロビー 出演

本格的なリストランテ「パラダイス」を経営するのは、職人肌の料理人の兄プリモ(トニー・シャループ)と、営業と経理担当の弟セコンド(スタンリー・トゥッチ)のイタリア移民兄弟。だが客は普通のアメリカ人ばかり、プリモの自慢のリゾットではなく、スパゲティーかミートボールを頼むだけ。頑固なプリモは「客の好みにあった食事を出せ」というセコンドの要求にも耳を貸さず、自慢の一品ばかり並べるので客足は引く一方。

映画公開時は『シェフとギャルソン、リストランテの夜』というタイトルだったらしい。イタリア移民兄弟を描くハートウォーミングドラマ。

「最高」というほどではないが、評判はよいようである。

脇をかためる俳優陣がイアン・ホルム、イザベラ・ロッセリーニ、アリソン・ジャネイ(テレビドラマ『ホワイトハウス』でCJ役の人)と手堅い。

料理のシーンがあるので楽しい。特に「ティンパーノ」の切り分けシーンはとてもうまそうである。

最後の長回しはすばらしいが、途中で余計だと思われるところもある。

『ストロベリーショートケイクス』

2008年09月16日 | Weblog
ストロベリーショートケイクス - goo 映画

ふつう

矢崎仁司 監督
池脇千鶴、中越典子、中村優子、岩瀬塔子、加瀬亮、安藤政信、趙民和、矢島健一、高橋真唯 出演

泣いてすがった大失恋を経ても尚、恋がしたいと口癖のようにつぶやく里子。フリーターの彼女の今の仕事はデリへル店「ヘブンスゲイト」の電話番だ。最近親しく口をきくようになった店のNo.1の秋代は、稼いだ金で一人で生きて死ぬために5階以上の高層マンションを買うつもりでいる。一方、イラストレーターの塔子は仕事に没頭しながらも、口を開けば男と占いのことばかりのルームメイト・ちひろの能天気な態度にいらいらを募らせていた。

非常に集中力を強要させられる映画であった。なんの前情報もしいれずに観たものとして、はじめは中村優子と岩瀬塔子の違いがわかりにくかった。
集中力が必要な理由として、音量の小ささに問題がある。セリフが聞き取れないのだ。重要だと思われるセリフも聞きなおしてどうにかわかるという程度(後述)。

コネタがあるのもこのような状況だと考え物である。例えば、「拉麺・餃子・珈琲」だとか、塔子のイラストの横のメッセージなど、本来ならば効果的なものであるはずなのに、神経が疲れてしまう。

聞きなおしてはっきりしたことだが、塔子は最初に納入したイラストを女編集者に紛失させられている。また、秋代の「キクチが触ったわたしの体に、誰も触らないでよ」というセリフはかなり重要なものであるはずだ。

秋代がデリヘルとして働く最初のシーンで、ドアを開けたところから客の一人称カメラであるはずなのに、その客がベッドに座っているのは猛烈に不自然である。暗転ひとついれればクリアできるはずなのにそれをしない。映像が美しいのに残念であった。

リアルな女性映画になり損ねた作品。

『真・女立喰師列伝』

2008年09月16日 | Weblog
真・女立喰師列伝 - goo 映画

よい

押井守、神山健治、湯浅弘章、神谷誠 監督
ひし美ゆり子、吉祥寺怪人、鈴木敏夫、水野美紀、辻本一樹、川本淳市、安藤麻吹、神山健治、藤田陽子、和田聰宏、若松武史、小倉優子、池内万作、佐伯日菜子 出演

立喰いによる無銭飲食を生業とする架空の仕事師=≪立喰師≫の、6つのストーリー。「金魚姫 鼈甲飴の有理」…巧みな話術と背中の金魚の刺青を武器に、縁日の飴屋店主に賭けを挑んだ“伝説の女立喰師”と、彼女の現在のゆくえを捜し歩くカメラマン。遂に出会い、背中の金魚をを撮影したいと申し出て…。

第二話の「荒野の弐挺拳銃 バーボンのミキ」と第三話の「Dandelion 学食のマブ」のデキが素人同然だが、それ以外はよかった。

第三話に関しては映像、シナリオ、演技どれをとってもひどくて「悪い」という評価を与えていいと思う。

前作の趣味に走ったところから、すこしは客のことを考えたつくりになっている。
前作に関しては以下を参照してほしい。

http://blog.goo.ne.jp/jm131/e/04fde9dbec2aebb71b971b7f414ba106

押井守監督作品のふたつはさすがに完成度が高いが、驚いたのが第四話の「草間のささやき 氷苺の玖実」である。藤田陽子の美しさ、ストーリーも立喰師シリーズにしておくのがもったいないほどである。

小倉優子主演の作品も、80年代に青春をすごした人にはおもしろいパロディになっている。

『ウォンテッド』

2008年09月14日 | Weblog
ウォンテッド - goo 映画

よい

ティムール・ベクマンベトフ 監督
ジェームズ・マカヴォイ、モーガン・フリーマン、アンジェリーナ・ジョリー、テレンス・スタンプ、トーマス・クレッチマン、コモン、クリステン・ヘイガー、マーク・ウォーレン、デヴィッド・オハラ、コンスタンチン・ハベンスキー、クリス・プラット、ローナ・スコット 出演

ウェズリーはルーティン・ワークにウンザリしている普通の若者。しかし彼の運命は、セクシーで謎めいた女フォックスとの出会いによって激変する。ギリシャ神話の時代から、神に代わって“運命の意志”を実践してきた秘密の暗殺組織“フラタニティ”。ウェズリーはその王位を継承する選択を迫られるのだが…。

見せ方に凝ったアクション。

モーガン・フリーマンがやる気ないだとか、アンジェリーナ・ジョリーの魅力の引き出し方が十分ではないとか、主人公が弱い(キャラクター的に)とかもあるかもしれないが(笑)、新しい見せ方にチャレンジしようとしている気力は買える。

文字(アルファベット)の見せ方がロシア人監督らしい。

会社の上司役の女性がいい味を出している。

エンディングはあっさりしすぎていて、もったいない。

王位継承の話ってあったっけ?

『秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE II ~私を愛した黒烏龍茶~』

2008年09月13日 | Weblog
秘密結社 鷹の爪 THE MOVIE II~私を愛した黒烏龍茶~ - goo 映画

よい

FROGMAN 監督・脚本
声の出演 FROGMAN

世界征服を企む貧乏ベンチャー秘密結社“鷹の爪団”の吉田はある日、正義の味方DXファイターの拠点DXカンパニーをサイバー攻撃することを思いつく。レオナルド博士が開発したシステムを使い、鷹の爪団はサイバースペースに潜入するが…。

映画版も二作目となって監督も金の使い方を学んだかと思えたが……、あの「効果音」と主題歌のところのバジェット・ゲージの減り方を見るとまだまだ……(笑)。

熊本では一作目の「総統は二度死ぬ」は映画館では上映されなかったはずである。指をくわえてDVDが出るのを待つしかなかった。それと比べれば、映画館で観られるというのはしあわせだと思わなければならないのだろう。しかしまだ、熊本でのFROGMANの人気はいまひとつであった。もっと若くてピチピチのバカが必要だ !!
島根県Tシャツもほしかったのになかった。高いキャラクターもののTシャツしかなかった。

同時上映の『古墳ギャルのコフィー ~12人と怒れる古墳たち~』は完全な裁判員制度批判映画。オッサンのわたしが観てもひいてしまうほどの内容であった。

島根への愛と憎しみがかわらないのはよい。敵がスケールダウンしているのはシリーズものの宿命かもしれないが、二作目というのは早すぎる。

『ブレードランナー ファイナル・カット』

2008年09月13日 | Weblog
よい

リドリー・スコット 監督
ハリソン・フォード、ルトガー・ハウアー、ショーン・ヤング、エドワード・ジェームズ・オルモス、ダリル・ハンナ、ブライオン・ジェームズ、ジョアンナ・キャシディ、M・エメット・ウォルシュ、ウィリアム・サンダーソン、ジョセフ・ターケル、ジェームズ・ホン

リアルでダークな終末観を提示した近未来像でカルト的な人気を博したリドリー・スコット監督によるSF映画の金字塔「ブレードランナー」。これまでにもいくつかのバージョンが存在した同作だが、本作「ファイナル・カット」は、製作25周年となる2007年、これを記念してリドリー・スコット監督が自ら新たに再編集したバージョン。1992年の『ディレクターズカット/最終版』を基本に、再編集やデジタル修正を行い美しい映像でよみがえらせた。

熊本では『スーパーマンⅡ』の同時上映として大劇(たいげき、今はなき映画館)で上映されたはずである。そこで初めて観て以来、二番館、三番館、VHS、LD、DVDとさまざまなメディアでさまざまなバージョンを観てきた。

旧版の「ディレクターズカット」のDVDとVHSは持っているが、残念ながら映像も音楽もそれほど上質ではなかった。

今回新しく出た「ファイナル・カット」とリマスターされた、いろいろなバージョンを観たが、まずはこれから。

映像も音楽もかなり上質になっている。
なってはいるが、「ディレクターズカット」からさらに手を加えてある。

気づいたところでは、スピナーに最初にデッカードが乗るシーンで、「最終接近」という日本語の追加、二回目に乗るシーンで「レーダーコンタクト」という日本語の追加。サロメのいる店に行く前に、変なダンスをする人の追加。タイレル博士の寝所のラストシーンでロイがセバスチャンに謝っている(上の写真のシーン)。ハトが飛び立つ空が暗くなっている。

自信はないが、「なにかへんなもの落として(残して)いったぜ」という音も少なくなっている。また、タイレル社でVKテストを受けるレイチェルのテーブルの上に盆栽が載っていたなんて、初めて気づいた。

映像や音楽が上質になるのはありがたいのだが、ここまで変化を加えられると、どうせ20年以内に「ファイナル・カットⅡ」とか「アナザー・カット」とか「リアル・カット」とかが出てくるであろうということは想像に難くない。

『百万円と苦虫女』

2008年09月08日 | Weblog
百万円と苦虫女 - goo 映画

よい

タナダユキ 監督・脚本
蒼井優、森山未來、ピエール瀧、竹財輝之助、齋藤隆成、笹野高史、嶋田久作、モロ師岡、石田太郎、キムラ緑子、矢島健一、斎藤歩、堀部圭亮、平岩紙、江口のりこ、悠城早矢、弓削智久、佐々木すみ江 出演

短大を卒業後、フリーターをしている鈴子は、バイト仲間からルームシェアを持ちかけられて実家を出る事にした。しかしひょんな事から事件に巻き込まれ、警察沙汰に。前科者になってしまった鈴子は、「百万円貯まったら出ていきます」と家族に宣言し、バイト掛け持ちで懸命に働く。やがて実家を出た鈴子は、とある海辺の町にたどり着く。海の家で働き始めるが、貯金が百万円貯まると、あっさり次の土地を目指して旅立つのだった…。

男であれ女であれ、生きている途中で「自分の人生これでいいのか?」という疑問に苛まれたり、思い悩むことがある。
当然のことながら、「これでいいのだ」と言ってくれる人はバカボンのパパや変な宗教やなんとか相手をものにしようとしているときの異性でしかない。
「これでいいのだ」と誰も言ってくれない現実世界において、どうにかこうにか生きている一例としての女性をコメディタッチで描いている。
しかし、コメディタッチとはいえ人生における誤解や不理解が基調にあるので、つらく感じるところもあるかもしれない。

ピエール瀧がかっちょいい。

エンディングテーマの原田郁子の曲もとてもよい。

以下ネタバレ









さて、意見が分かれるであろう森山未來の借金の原因だが、あれは予想ができる。
それよりも、なぜ返すときにはっきり言わんかなぁ~、しかも数分後に思い直すというところに、徹底的な現実的な男のふがいなさ、間の悪さ、リアルさがあらわれている。

『酔いどれ詩人になるまえに』

2008年09月07日 | Weblog
酔いどれ詩人になるまえに - goo 映画

よい

ベント・ハーメル 監督
マット・ディロン、リリ・テイラー、マリサ・トメイ、フィッシャー・スティーヴンス、ディディエ・フラマン、エイドリアン・シェリー、カレン・ヤング 出演

何度職にありついても酒が原因でクビになってばかりのヘンリー・チナスキー。有り金が底を尽き住む家すらなくても懲りずに飲んだくれる日々で、唯一続けているのは“書く”ことだった。湧き出る言葉を書き留めずにはいられない彼は、詩人であり作家なのだ。ただ、せっせと出版社に原稿を送ってもボツになるばかりで日の目を見ることはないのだが。ある時、バーで知り合った女ジャンの部屋に転がり込む。

飲んだくれ作家、チャールズ・ブコウスキー作品の映画化。
見事なダメ人間映画になっている。

仕事、酒、クビ、女、小説(ライテインング)の繰り返し。ときには前の女に戻ったりもする。

女にやさしく暴力もふるわず、酒によって日々に埋没していくような主人公なのだが、小説を書くことだけはやめない。そこがふつうの飲んだくれとは違うところだ。

写真はヒールが痛いと言い出した女に、自分の靴を履かせているところ。この作品でもっとも美しいシーン。

『墨攻』

2008年09月05日 | Weblog
墨攻 - goo 映画

ふつう

ジェイコブ・チャン 監督
アンディ・ラウ、アン・ソンギ、ワン・チーウェン、ファン・ビンビン、ウー・チーロン、チェ・シウォン 出演

戦国時代。趙と燕の国境にある粱城は、趙によって攻撃されようとしていた。10万の趙軍に対し、梁城の全住民はわずか4000人。頼みの綱は墨家の救援部隊だったが、間に合いそうもなく、粱王は降伏を決断する。墨家の革離(かくり)がたった1人で駆けつけたのは、その直後だった。兵に関する全権を粱王から与えられ、早速城を守る準備に取りかかる革離。趙軍の指揮官・巷淹中は革離を好敵手と見なし、やがて激しい攻撃を開始する。

長い、甘い、見せ場がへたくそという残念な仕上がりであった。

甘いというのは例えば、革離が王から疑われて捕らえられそうになるシーン。革離を信じる王子は戦うフリをしながら、自分を人質にして逃げさせようとする。もちろん王子だから、無事に城外へ脱出できるのだが、ここで城壁から矢を放つのだ。ここがおかしい。どうせ矢を放つくらいならば、ふたりを城外へ出さなければいいのだ。そのあとに続くことも不自然である。

見せ場がへたくそというのは、この主人公のキャラクターであれば、知的な意外性をたたみつけるようにしてつなぐのが順当だと思われるのだがそれをしない。
裏の読みあいの深さを楽しみたいのだが、それがもの足りない。それなのにへんなアクションシーンとか、余計なところがある(例、股割きのところなんてまったくいらない)。

『ショーン・オブ・ザ・デッド』

2008年09月05日 | Weblog
よい

エドガー・ライト 監督
サイモン・ペッグ、ケイト・アシュフィールド、ニック・フロスト、ディラン・モーラン、ルーシー・デイヴィス、ペネロープ・ウィルトン、ビル・ナイ、ピーター・セラフィノウィッツ、ジェシカ・スティーヴンソン、 マーティン・フリーマン、ソネル・ダドラル、マット・ルーカス 出演

ロンドンに暮らすショーンは、いい歳して人生の目標や目的を持たぬまま、親友のエドとパブに入り浸るばかりの冴えない毎日を送っていた。そんな彼に長年の恋人リズもついに愛想を尽かしてしまう。このままではいけないと自覚したショーンは、リズとヨリを戻すため、これまでのだらしない生活を改めようと決意する。ところが、ショーンが恋人のことで頭がいっぱいになっている間に、街にはゾンビが溢れ、生きた人間を次々と襲っていたのだった……。

ゾンビ物のパロディだと思い敬遠していたが、傑作であった。
パロディであることに間違いないのだが、それよりも、わたしの愛するケヴィン・スミスの「ジェイ&サイレント・ボブ」シリーズに代表される超ダメ人間・バカ人間のドラマだったのだ !!

彼女との別れや口うるさい母親など、ダメ人間のダメ人間がゆえの苦悩が見事に描かれている(笑)。

なかなか周囲のゾンビに気づかない主人公たちや、ゾンビかふつうの市民かどちらもノロノロしているので区別がつかなかったり、ゾンビの集団から脱出するための誰もが思いつくが映画の中ではまだ誰も試したことがなかった方法が初めて試されていたりして、観客に対するサービスが満点である。

どこあたりがゾンビ物のパロディなのかは「ベイエリア在住町山智浩アメリカ日記」が詳しい。

http://d.hatena.ne.jp/TomoMachi/20040928



ゾンビにレコードは投げつけないだろう。


んで、これが気に入った人は同じスタッフが作った『HOT FUZZ ホットファズ-俺たちスーパーポリスメン!』も気に入るだろう。