映画日記(ためし)

映画の印象を、悪い、ふつう、よい、の三段階で表現したいと思います。
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『シャイニング』

2008年11月29日 | Weblog
シャイニング - goo 映画

ふつう

スタンリー・キューブリック 監督
ジャック・ニコルソン、シェリー・デュヴァル、ダニー・ロイド、スキャットマン・クローザース、バリー・ネルソン、フィリップ・ストーン、ジョー・ターケル、アン・ジャクソン 出演

コロラドの雪深い山中にあって冬期は閉鎖されている由緒あるリゾート・ホテルを舞台に、その管理にやって来た、ある親子三人に取り憑く怨念と狂気を描く恐怖映画。

だからこれを恐怖映画とかホラー映画とかの範疇でとらえちゃいけないんだって! 公開されたときの『ブルータス』にも書いてあったような気がする(笑)。

久しぶりに観たのだが、
「キューブリックは、映像美、様式美の表現に優れているのだが、ストーリーを語るのがへたくそな監督である。それは『2001年』を観てもわかるだろう。」
と、『スティーブン・キング シャイニング』のところに書いたが、そのまんまの印象であった(笑)。

ストーリー的な恐怖感を煽るのであれば、ジャック・ニコルソンの仕事がなくて困っているようなところや、妻役シェリー・デュヴァルの精神的にもろいところなどを強調しておくべきである。だいたい冒頭の「インタビュー」は「面接」のほうがいいのではないか。

最初に劇場公開された『ブレードランナー』のエンディングがこの映画どアタマの俯瞰シーンの別テイクだというのは有名だが、タイレル博士(ジョー・ターケル)がバーテンのロイド役で出ていたのは知らなかった。

キューブリックの映像美・様式美・演技指導能力を楽しむ作品であり、恐怖映画として楽しもうとすると落胆する人がいるかもしれない。

ちなみに、『スティーブン・キング シャイニング』のわたしの記事はこちら。

http://blog.goo.ne.jp/jm131/e/5d94ba9a1b79ae0a52c5c78db0966a2e

『落下の王国』

2008年11月24日 | Weblog
落下の王国 - goo 映画

よい

ターセム 監督
リー・ペイス、カティンカ・ウンタルー、ジャスティン・ワデル、ダニエル・カルタジローン、レオ・ビル、ショーン・ギルダー、ジュリアン・ブリーチ、マーカス・ウェズリー、ロビン・スミス、ジットゥ・ヴェルマ、エミール・ホスティナ 出演

1915年のアメリカ、オレンジの木から落ちて怪我をし、入院中の5歳の少女、アレクサンドリア。人懐こい少女は、あどけない笑顔で病院中の人々に可愛がられていた。ある日、足の怪我でベッドから起きられない青年と知り合う。病室に入ってきた利発そうな少女に、青年は自分が作った物語を聞かせる。たちまち夢中になって、続きを聞かせてとせがむ少女。しかし、それは少女に薬を盗み出させるための作戦だった…。

前作『ザ・セル』で独自の映像美を見せつけたターセム監督の第二作。
本作でも見事な映像を見せてくれる。

上の写真でもわかると思うが、ターセム監督の美的感覚はすばらしい。前作ではそれが精神世界を表現することによっての発露であったのだが、今回は主人公によって語られるおとぎ話の世界での表現となっている。

いくつも息をのむような美しいシーンがあるのだが、ピカ一は象の水泳である。あれを観たときに、この作品の評価は決まった。もちろん、ストーリーもちゃんとしている。

あのエンディングは涙がでそうになった。

『大脱走』

2008年11月17日 | Weblog
大脱走 - goo 映画

よい

ジョン・スタージェス 監督
スティーヴ・マックィーン、ジェームズ・ガーナー、リチャード・アッテンボロー、ジェームズ・コバーン、チャールズ・ブロンソン、デヴィッド・マッカラム、ハンネス・メッセマー、ドナルド・プレザンス 出演

新たに作られたドイツの北部第3捕虜収容所に、札つきの脱走常習者・連合軍空軍将校たちが運び込まれた。しかし、早速脱走計画が開始される……。

むかしは淀川さんの日曜洋画劇場で、よく二週にわたってやっていたりしたのだが、どうやらあれはカットされた部分があったようだ。

観るのに勇気というか覚悟がいるような長さ(DVD版で173分)だったが、始まるとおもしろさに引き込まれて長さは気にならなかった。

キャラクターの色分けがしっかりされていて、それぞれの行動がなるほどと納得できるのがよい。

スティーヴ・マックィーンだけほかの登場人物たちとは別撮りされているような印象を受けたが(独房シーンも多いし、脱出前も後も基本的に別行動)、特典映像を観ると、どうやら彼は撮影中に6週間引き上げる事態になったらしい。そのことの影響があるのかもしれない。

鉄条網に近づいた理由を三回言わせたり、密造酒のシーンなど、ギャグが効いているところもよい。

『ロックンロールミシン』

2008年11月16日 | Weblog
ロックンロールミシン - goo 映画

よい

行定勲 監督
池内博之、りょう、加瀬亮、水橋研二、粟田麗、川合千春、永田めぐみ、津田寛治、戸田昌弘、つぐみ、三輪明日美、松重豊、SUGIZO、宮藤官九郎 出演

仕事も恋愛もなんだか上手くいかない日々を送る会社員・賢司(加瀬亮)は、高校の同級生、凌一(池内博之)と再会し、彼が仲間と一緒に自分たちのデザイナーズ・ブランドを立ち上げようとしていることを知る。ひょんなことから部長を殴り会社を辞めることになった賢司は、凌一のブランドの立ち上げを手伝うようになる。アパートの一室で悩ましくも楽しい日々を送る賢司。しかし、彼らの服はなかなか売れないのだった。

よくある青春群像劇で、要は凌一(池内博之)の先見性のなさと計画性のなさが原因で話が終わってしまうのだが、そこにたどりつくまでの過程に笑いの要素や会社を辞めたり彼女と別れたりのルーティーンの描き方がなかなかおもしろい。劇中劇のビデオのふたりが異様に気になる(笑)。

りょうが出演しているとは、最初気づかなかった。
20分くらい長い(笑)。低予算はわかるが、屋上と坂のシーンが多すぎる。

『サウスランド・テイルズ』

2008年11月09日 | Weblog
ふつう

リチャード・ケリー 監督
ドウェイン・ジョンソン、サラ・ミシェル・ゲラー、ショーン・ウィリアム・スコット、マンディ・ムーア、チェリ・オテリ、ホームズ・オズボーン、ウィル・サッソー、ジャスティン・ティンバーレイク、バイ・リン、ルー・テイラー・プッチ、クリストファー・ランバート 出演

テキサス州が核攻撃を受けたことから第三次世界大戦が勃発、それから3年経った2008年のアメリカは未だ混迷を極めていた。政府の特務機関“US認証” によって個人の行動は徹底管理され、その一方ではレジスタンス集団の暴動が激化している。そんな中、大統領候補の娘婿でアクション・スターのボクサーが行方不明に。

SFシリアスコメディミュージカル(笑)。

それほど複雑な話ではないが、長いのと要素が多すぎるので、整理しながら書いてみよう。
まず監視社会を象徴するような「US認証」というグループとそれに対抗する「ネオ・マルキシスト」というグループがあり、ネオ・マルキシストに拉致された主人公はなぜか「THE POWER」という脚本を書いている。
そこにエネルギー問題もからんできて、永久的な発電装置が作られるが、これによって別の問題が生じてしまう。

ここまでのことが了解できれば、それほど複雑な話ではない。
しかし、『ドニー・ダーコ』が監督の持つ世界観をうまく他人に伝えることができた作品だとすると、この作品ではその伝えることに失敗しているといっていいだろう。

無駄に登場人物が多いし(たとえば、クリストファー・ランバート)、監督の世界観が切実でシリアスであればあるほど、作品として冗長な部分が増えていったような印象を受ける。

『雨月物語』

2008年11月07日 | Weblog
雨月物語 - goo 映画

よい

溝口健二 監督
京マチ子、水戸光子、田中絹代、森雅之、小沢栄太郎、青山杉作、羅門光三郎、香川良介、上田吉二郎、毛利菊枝 出演

戦乱の到来を契機に大商いを目論む陶器の名工源十郎と、息子と家族3人で貧しくともささやかな幸せを望む妻の宮木。そして、侍として立身出世を夢見る源十郎の弟・藤兵衛とその妻。やがて源十郎と藤兵衛はそれぞれの妻を故郷に残して都に出るが、源十郎はそこで怪しい美女に出会う。

美術・映像のすばらしさと、高貴な女性と簡単にスケベなことができるという外国人でなくても男ならば飛んで喜びそうな話で海外でも高く評価された作品。

ロードムービーになっていて、「行って戻る」を何回も繰り返している。
市に陶器を売りに行って戻る。
柴田の軍勢が来て逃げ出すのだが、窯の焼き物が気になってまた戻る。
焼きあがった陶器を船に乗せて売りに行くが、海賊の話を聞いて戻る。
そして男たちが元のサヤに戻る。

これらのことが97分という時間の中で幻想的に描かれる。

源十郎が天才肌で、死の世界を見る能力があったともとらえることができる。

gooのあらすじ紹介のページで大正十一年と書かれているのは、天正十一年の間違いだろう。

『ミリキタニの猫』

2008年11月05日 | Weblog
ミリキタニの猫 - goo 映画

よい

リンダ・ハッテンドーフ 監督
ジミー・ツトム・ミリキタニ、ジャニス・ミリキタニ、ロジャー・シモムラ 出演

ドキュメンタリー作家のリンダは、ニューヨーク、ソーホーの路上で絵を描いている日系人ホームレスの老人ミリキタニに出会い、彼に興味を持つ。9.11の日もいつも通り、絵を描いていた。リンダは彼を自宅に招き、今まで知らなかった彼の過去を知る。米国籍を持ちながら、戦争中は強制収容所に入れられ、市民権も失くした事。そこで離れ離れになったままの姉がいる事。癒えない傷と怒り、そして平和への願いが彼に絵を描かせていた。

このようなアメリカ国籍の日系人がいることを知識として知っていても、実際の人間、生活、言動に接することによって深い感動を得ることができる。

なぜアメリカの社会保障制度をつかわないのか? そこにはミリキタニのアメリカに対する深いうらみがあるからである。それが監督の愛(ホームレスのおっさんをいくら9.11があったにせよ自分のアパートに入れるか?)によって少しずつ変化していく過程と血縁者などとの出会いがすばらしい。

映画を観て12時すぎに帰ってきた監督を怒るミリキタニは、完全に家族の目線になっている。

長さもちょうどよい(74分)。

『ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習 』

2008年11月02日 | Weblog
ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習 - goo 映画

ふつう

ラリー・チャールズ 監督
サシャ・バロン・コーエン、ケン・ダヴィティアン、ルネル 出演

カザフスタン国営放送のレポーター、ボラットは、国家情報省の命令で、ニューヨークにやってきた。目的は母国の発展のためにアメリカ文化を学ぶこと。早速ユーモア指導の先生を訪れ、アメリカンジョークを習うが、どうもしっくりこない様子。更にフェミニスト主義の淑女たちと話すも、「女性の脳は男性よりも小さい」説は間違っていると言われ…。ボラットはTVで観て一目ぼれした女優に会いに、カリフォルニアを目指すことに…。

これコメディですから。こんなのをほんもののドキュメンタリーなどと思わないように。ドキュメンタリーだと思ったらあまりにもカザフスタンに対して失礼だから。

徹底的なユダヤ人差別ネタがあるのだが、主人公はユダヤ人らしい(笑)。人種に無頓着に観ていると、あまりわからない。

んで、その部分とアメリカをおちょくる(ウーマン・リブのところとキリスト教)部分以外はそれほどおもしろくない。