映画日記(ためし)

映画の印象を、悪い、ふつう、よい、の三段階で表現したいと思います。
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『リトル・ミス・サンシャイン』

2007年03月30日 | Weblog
リトル・ミス・サンシャイン - goo 映画
よい

ジョナサン・デイトン、ヴァレリー・ファリス 監督
グレッグ・キニア、トニ・コレット、スティーヴ・カレル、アラン・アーキン、ポール・ダノ、アビゲイル・ブレスリン、メアリー・リン・ライスカブ 出演

崩壊しつつあるフーヴァー家の娘、オリーブに繰上げ当選ではあるが、美少女コンテスト出場のチャンスが訪れる。

中身が充実したロードムービー。ポイントポイントでイベントがあり、飽きることがない。
基本ダメ人間はひとりなのだが、失意と絶望とタイミングによってダメムードが一家に広がっていく。そして、その救いとなるのが観る人によって、娘オリーブであったり、兄のドウェーンであったり、おじいちゃんだったりするだろう。
最後のミスコンのシーンで、家族に拍手を送った大会スタッフにもほっとさせられる。

『ニコラス・ケイジのウェザーマン』

2007年03月25日 | Weblog
よい

ゴア・ヴァービンスキー 監督
ニコラス・ケイジ、マイケル・ケイン、ホープ・デイヴィス、ニコラス・ホルト、マイケル・リスポリ、ギル・ベローズ、ジェメンヌ・デ・ラ・ペーニャ

地方局の天気キャスターをやっている主人公は、プライベートでさまざまな問題を抱えていた。

ダメ人間の映画。こういうのには弱い。

離婚、子どもたちの非行、社会問題など、あくまでもアメリカ目線での問題だが、それは日本のダメ人間でも理解できる。

ただしこの結果については、これで問題が解決されたわけではないと思ってしまう。

息子のほうの問題解決はすかっとするが、社会的成功によってプライベートがうまくいくとは限らないことは、誰でも知っているだろう。これによって、人間的に一歩成長したということか。

『パフューム ~ある人殺しの物語~ 』

2007年03月23日 | Weblog
パフューム ~ある人殺しの物語~ - goo 映画
ふつう

トム・ティクヴァ 監督
ベン・ウィショー、ダスティン・ホフマン、アラン・リックマン、レイチェル・ハード=ウッド、アンドレス・エレーラ、 サイモン・チャンドラー、デヴィッド・コールダー、カロリーネ・ヘルフルト 出演

嗅覚が以上に鋭い人間の話。魚屋の息子として生まれてきたが、母によって殺されかけた子どもは施設に預けられながらも、香りにこだわっていく。

香りの世界のゴルゴ13(笑)。目的のためには手段を選ばない。
それはそれでいいのだが、スジが通らない。
最後まで飽きることはないが、長い !!

以下ネタバレ







師匠に言われた古代エジプトの香りを再現しようとしていたのは、調香セットのビンの数でわかる。
しかし、なぜか赤毛の女性にいかない。それがわからない。
出会ったときの様子から、彼女の香りに魅かれていたのはわかるのに。
究極の香り完成の途中で殺された人たちはなんのためなのか?

また、生まれ故郷にもどってきての行動がわかりにくい。愛をほしかったということか? 生まれ故郷の人たちの。
主人公に関わる人たちがほとんど死んでしまうのが、人生の皮肉を表しているのだろうが、あまり効果的ではない。


ベルフィルの音楽と、効果音はよい。観るならばよい音響施設の映画館をオススメする。

『バタリアン4』

2007年03月21日 | Weblog
バタリアン4 - goo 映画
悪い

エロリー・エルカイェム 監督
ピーター・コヨーテ、エイミー=リン・チャドウィック、ジャナ・クレイマー、ジョン・キーフ、コリー・ハードリクト 出演

コングロマリット、ハイブラテック社は死者や人間をゾンビ化するトライオキシンを使い秘密の実験をしていた。友人をハイブラテック社に奪われた高校生たちが会社に乗り込む。

もはや『バタリアン』の名を使った別物。コメディ要素ほとんどなし、ドラマもつまらん。ゾンビ物としてもダメ。

序盤、主人公の叔父と弟が期待させるキャラクターとして出てくる。ヒトクセあるタイプとして描かれてはいる。ところが弟は不発、叔父も今作では不発(笑)なのだ。

火炎放射器のシーンに、この作品の内容が象徴されている。まったく迫力がない、撮り方がしょぼい、俳優の演技のレベルも低い。
なんで終盤で弟になんにもさせずに殺したのかがわからない。あっけなさすぎて、おもしろみや悲惨さ(ゾンビ物としてのね)もない。

『バタリアン・リターンズ』

2007年03月21日 | Weblog
ふつう

ブライアン・ユズナ 監督
ミンディ・クラーク、ケント・マッカード、ジェームズ・T・キャラハン、サラ・ダグラス、アビガイル・レンツ、J・トロバー・エドモンド、ジル・アンドレ 出演

現在5作目まで出ている『バタリアン』シリーズの3作目。
死者を復活させたり、人間をゾンビ化させる物質トライオキシンを扱っている軍の研究所の所長の息子が、死んだ恋人を復活させようとそこに忍び込む。

最近になってバタリアンの4と5が出たせいか、この作品もレンタルビデオ屋さんに置いてあった。『バタリアン』といえば、従来のゾンビ物にリスペクトしつつ笑いの要素を大胆に取り入れた名作で大好きなので、これも観てみた。

笑いの要素はほとんどないが、ゾンビ化したヒロインが最後まで人間の意識を保つという設定で、恋人との逃避行を繰り広げる。ゾンビの意識が強くなると、脳ミソを喰いたがるのだが。

序盤の恋人どうしの設定が最近のバカ若者風なのに対し、後半がシリアス純愛路線になるつながりが甘い。

ヒロインのミンディ・クラークはエロくてかわいいが、それ以外にあまり魅力的なキャラクターがいない。リバーマンとのエピソードなどは、もっと深くおもしろみを出せる余地がある。

『蟲師』

2007年03月21日 | Weblog
蟲師 - goo 映画
よい

大友克洋 監督
オダギリジョー、江角マキコ、大森南朋、蒼井優、りりィ、李麗仙 出演

電気が使われ始めた100年前の日本。
動物でも植物でもない生命そのものの「蟲」と、その専門家である「蟲師」の話。

丹念な絵作りで、作品世界を完璧に構築している。
アクションバリバリの超スペクタクル、怨霊調伏、悪魔退散シーンを期待する向きにはあわないが、これはこれでありだ。

阿吽(阿と吽とするべきか?)、母をなくしたギンコと家族をなくしたぬい、常闇と銀蟲と、脚本のパターン構造が似ている。それがいい反復効果をもたらせばよいが、これに関してはあまりうまくいっていない。脚本家としての大友克洋は忙しすぎたようだ。

ストーリー重視のわたしには、ギンコとぬいが再会するシーンで男が川に捨てていた子どもがなんなのかわからなかった。ぬいがギンコを欲するための身代わりか?
それと、淡幽が蟲に一番くわしいと出てくるが、それでぬいのことを知らない(知らなさそう)とか、ぬいとギンコの関係を知らないというのはヘン。

セリフが聞き取りにくい。なおかつ、蟲師たちの立ち寄り所での方言っぽいやつと専門用語(?)の出まくりは、時代をあらわしてもいるが、わかりにくい。

エンディングはギンコと監督が道なかばで倒れた(笑)ように見えるが、これにこりずに次回作を出してほしい。

ヤフーのオンライン試写会で観たので、こちらも紹介しておくが、本作を十分に楽しみたいと思う人は、このページをスミズミまで読んでおいたほうが深く理解できる。特に登場人物。


http://mushishi.yahoo.co.jp/

『プルーフ・オブ・マイ・ライフ』

2007年03月19日 | Weblog
プルーフ・オブ・マイ・ライフ - goo 映画
よい

ジョン・マッデン 監督
グウィネス・パルトロー、アンソニー・ホプキンス、ジェイク・ギレンホール、ホープ・デイヴィス

若いときに学会に革命をもたらし、今は精神疾患の数学者を父にもつ娘が、自分も父と同じ疾患があるのではないかと悩む話。

非常におもしろい。
本人の奇異な行動と姉のメモ魔やきめつける性癖と、グウィネス・パルトローが自分を信じられない環境がじっくりと描かれる。
そこに家族の介護問題や、凡人が才人の足を引っ張る(これを凡人の側から見ると奇異だと感じるわけだが)様子がアクセントになっている。
グウィネス・パルトローの演技力もみもの。

『ガール・ネクスト・ドア』

2007年03月19日 | Weblog
よい

ルーク・グリーンフィールド 監督
エリシャ・カスバート、エミール・ハーシュ、ティモシー・オリファント、ジェームズ・レマー、クリス・マークエット、ポール・ダノ 出演

高校卒業を間近にひかえた高校生が、隣にやってきた美女に引っかきまわされる話。

『24』のキム役だったエリシャ・カスバートの設定のために、性春ものと思いがちだが、そういうセックスにもんもんとするところ以外でコメディにしている。

ふつうの監督だったら、奨学金のスピーチのところでエンディングにするはずだが、ほかにも山を作っている。

ただし、最初の30分が異様に退屈だ。それを我慢できれば、あとは笑いながら楽しめる。

『ナイト・オブ・ザ・スカイ』

2007年03月14日 | Weblog
ナイト・オブ・ザ・スカイ - goo 映画
よい

ジェラール・ピレス 監督
ブノワ・マジメル、クロヴィス・コルニアック、ジェラルディン・ペラス、アリス・タグリオーニ、フィオナ・カーゾン、ジャン=ミシェル・ティニヴェリ 出演

強奪されたフランス空軍の戦闘機“ミラージュ2000”を追って出撃したマルシェリ大尉。射撃しようとした強奪機をやむなく撃墜した大尉を待っていたのは、責任を問われての軍籍剥奪だった…。

誰が悪いのかはだいたいわかったが、ストーリーはほとんどわからない(笑)。

わたしは現代戦闘機が好きだ。これまでロシアのフランカーというのが好きだったが、アメリカのF-22がコブラをしている動画を見て、フランスのラファールが好きになるくらい戦闘機が好きなのだ。

迫力のある戦闘シーンがよかった。撮り方にかなり力を入れている。
これまでの映画において戦闘機どうしがドッグファイトをする必要性があまり描かれていないが、これはそれなりの理由がある。

ミラージュ2000を作った会社のダッソー社がかなり協力をしているようだが、なぜ機種をラファール(こちらが最新鋭)にしなかったのか不満が残るが、まだ主力はミラージュだということか? 『トップガン』よりはこちらのほうが好きである。

『アンジェラ』

2007年03月13日 | Weblog
よい

リュック・ベッソン 監督・製作・脚本
ジャメル・ドゥブーズ、リー・ラスムッセン、ジルベール・メルキ、セルジュ・リアブキン 出演

絶望して自殺しようとしていたダメ男の前に、不思議な美女が現れる。
現代のおとぎ話。

モノクロが美しい。時間(約90分)もちょうどいい。

いきなり以下ネタバレ








タイトル(エンジェル-Aなのね)と最初の10分を観れば、だいたいの予想はつくが、心地よく裏切られた。
てっきり夢オチかとおもったがそうではなかった。ふつうだったら、最後に自殺シーンにもどるところだ。

いつもはgooの映画にリンクしていうるが、これに関してはこちらのほうが写真もあり充実しているのでyahooを紹介しておく。

http://moviessearch.yahoo.co.jp/detail/tymv/id324479/


この人の美女の概念は固まっているようなので、それを許せない人は馴染めないかも。

『もしも昨日が選べたら』

2007年03月11日 | Weblog
もしも昨日が選べたら - goo 映画
よい

フランク・コラチ 監督
アダム・サンドラー、ケイト・ベッキンセイル、クリストファー・ウォーケン、デヴィッド・ハッセルホフ、ヘンリー・ウィンクラー、ジュリー・カヴナー、ショーン・アスティン、ジョセフ・キャスタノン、テイタム・マッキャン 出演

生活に疲れたサラリーマンが万能リモコンを入手し経験するファンタジー・コメディ。

ありきたりの話だが、ギャグのダメ押しが効いている。
そして予定調和でもあるのだが、もって行き方がいい。

邦題がはずして(この作品で昨日は選んでいない)いて、この作品のクリストファー・ウォーケンは作りこみすぎているが、後半になればよい。途中かったるいと思わせるところもある。

『隣のリッチマン』

2007年03月11日 | Weblog
ふつう

バリー・レヴィンソン 監督
ベン・スティラー、ジャック・ブラック、レイチェル・ワイズ、エイミー・ポーラー、クリストファー・ウォーケン、アリエル・ゲイド 出演

同じ工場で働く仲の良いふたり。ひとりがペット用ふん消しスプレーを発明したことにより嫉妬がうまれる、というコメディ。

ベン・スティラーもジャック・ブラックもわたしの好みではないが、現代アメリカを代表するコメディアンだ。そこにわたしの好きなクリストファー・ウォーケン(彼がふつうのまじめな顔をしているだけでおかしくなる)がからむとなると、これは見逃せない。

が、見逃してもよかった。
この手の内容だと、金持ちとそうでないものの大げさな比較がひつようだが(もちろんこの作品でもされてはいるが)、それがうまくない。ある程度の成金趣味は描かれているが、それが下品でこちらがゲヘヘと笑えるようなところがすくない。
ふたりとも「いい人」という設定をしてしまったための失敗だと思われる。
それとも、もうふたりとも「いい人」でないと製作できないほどのビッグになったのだろうか?
『大逆転』という名作があるために(そのほかにも探せばいろいろあるだろう)、余計にふつうに見えてしまう。

『アルゼンチンババア』

2007年03月10日 | Weblog
アルゼンチンババア - goo 映画
ふつう

長尾直樹 脚本・監督
役所広司、鈴木京香、堀北真希、森下愛子、小林裕吉、手塚理美、田中直樹、きたろう、岸部一徳 出演

yahooの動画で抽選にあたり観た。このキャストでこのできとは、絶対に監督と脚本が悪いとムカムカしながら観ていたら同一人物だった……。

妻に先立たれたことで心の支えを失った男とその娘が、風変りな女性との交流を通じ家族のきずなを取り戻してゆく話。

こりゃ監督の中で墓のシーン(上記の写真の直後)以外のイメージが固まっていないな……という印象で、漫然と撮ったようだ。

堀北真希といえば、長澤まさみとならぶアイドルだと思うが、アイドル映画にはなっていない。アイドル映画には脚本も吹っ飛ばすほどのアイドルの魅力を溢れさせる撮り方見せ方がある。じゃあ、役所広司らとともに演技派の内容かというとそうなってもいない。

じゃあなぜ評価が「悪い」ではないのかというと、上記のシーンがよかったことのほかに、タダで観せてもらったことと、ネコがかなり多く登場するからだ。

アルゼンチンババアの門をくぐる前から「くさい」ということが強調されるが、作品のなかではなんの説明もなし。ネコか? そのわりにはきれいなネコばかりばっかりだったぞ。

yahooの動画に行くと、ユーザーズレビューというのがあり、多くの人が「癒された」などと恥ずかしいことを書いているが、ヤラセかよっぽど簡単な傷つき方だったのだろう。

『カサノバ』

2007年03月06日 | Weblog
カサノバ - goo 映画
よい

ラッセ・ハルストレム 監督
ヒース・レジャー、シエナ・ミラー、ジェレミー・アイアンズ、オリヴァー・プラット、レナ・オリン、オミッド・ジャリリ、チャーリー・コックス、ナタリー・ドーマー 出演

西洋ラブコメ時代劇(笑)。
ブエナビスタでカサノバと、まったく期待できそうにない組み合わせを、さすがラッセ・ハルストレム監督、見事に仕上げている。
史実とはほぼ無関係に、カサノバがほんとに愛する人を見つけるが、相手には相手の事情とカサノバにはもちろん彼由来の問題があり、それらがさまざまな笑える困難を引き起こす。

いやらしいことに期待すると裏切られるが、それをブエナビスタの映画に期待するのは素人だろう。それよりも、プッチ司教役のジェレミー・アイアンズやルポ役のオミッド・ジャリリの演技を堪能しつつ、ムフフと楽しむのが正しい。

『エリ・エリ・レマ・サバクタニ』

2007年03月04日 | Weblog
エリ・エリ・レマ・サバクタニ - goo 映画
よい

青山真治 監督
浅野忠信、宮崎あおい、中原昌也、筒井康隆、戸田昌宏、鶴見辰吾、エリカ、川津祐介、岡田茉莉子 出演

音楽、音響に力を入れた実験的映画。映像も美しい。

2015年、レミング病という自殺したくなる病気が全世界的に流行し、明確な対応策のない状態が続いていた。娘がその病気にかかった大富豪が探偵を使い、あるミュージシャンの音楽を聴いた者たちがその病気をおさえることができたことを知る。

エリ・エリ・レマ・サバクタニとは、ヘブライ語でイエスが十字架に張り付けられながら唱えた最期の言葉「神よ、何故に我を見捨てたもうや」のこと。
絶望感に囲まれた世界というのは、いつの時代でも通用する話だ。

川津祐介がふてくされた男を好演しているが(はじめ誰だかわからなかった)、作品全体としてみると余計なパートだ。ストーリーはシンプルなのに、このような部分が多く無駄に長くしている印象がある。

映像と音響の使い方、見せ方がすばらしい。