映画日記(ためし)

映画の印象を、悪い、ふつう、よい、の三段階で表現したいと思います。
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『さらば、ベルリン』

2008年06月30日 | Weblog
ふつう

スティーヴン・ソダーバーグ 監督
ジョージ・クルーニー、ケイト・ブランシェット、トビー・マグワイア、ボー・ブリッジス、トニー・カラン、リーランド・オーサー、ジャック・トンプソン、ロビン・ワイガート、ラヴィル・イシアノフ、クリスチャン・オリヴァー 出演

ドイツ降伏後のベルリンに、ポツダム会議取材のためアメリカ人記者のジェイクが訪れる。彼の運転手を務める米兵のタリーは、裏側で、米軍の品を横流ししていた。やがてジェイクはタリーの情婦レーナが、かつて彼が愛した女性である事を知る。戦前、ベルリンに駐在していたジェイクは、人妻であるレーナと不倫関係にあった。そんな中、タリーが死体で発見される事件が起きる。渦巻く陰謀の中、ジェイクはレーナを救おうとするが…。

ストーリーがどうの脚本がどうのという前にまず、輝度の高いビデオのような(おそらくビデオで撮っているのだろうが詳しくないので、「ような」をつけておく)映像が作品とまったくマッチしていない。

そして『カサブランカ』や『第三の男』へのオマージュとなるべきストーリーが、複雑すぎておもしろくもなく、男のロマンがないどころかミステリーとしても完成度が低すぎる。

『ぼくを葬る』

2008年06月21日 | Weblog
ふつう

フランソワ・オゾン 監督
メルヴィル・プポー、ジャンヌ・モロー、ヴァレリア・ブルーニ・テデスキ、ダニエル・デュヴァル、マリー・リヴィエール、クリスチャン・センゲワルト、ルイーズ=アン・ヒッポー、アンリ・ドゥ・ロルム、ウォルター・パガノ、ウゴ・スーザン・トラベルシ 出演

パリでファッション・フォトグラファーとして忙しい日々を送っていたロマンは、ある日、医者から余命3ヶ月という衝撃の事実を告げられる。同棲中の恋人に別れを告げ、家族にも秘密にしたまま、自分の死と向かい合うことを決めたロマンだが、唯一の理解者である祖母ローラにだけは真実を話した。刻々と迫る命の期限。残された時間で何ができるのか?ロマンはふと、カフェで出会った女性、ジャニィの頼みごとを思い出した…。

近くのレンタル屋さんには置いていなかったが、Gyaoで観ることができた。

感動的なシーンや美しいシーンは数々あるが、トータルで観ると「理想的な死に方のひとつ」を描いた作品でしかないのではないか。過去のしがらみや思い出に自分なりのくぎりをつけ、偶然(この偶然がちょっとありえないが)未来への希望・つながりを残して消える。

同じ監督の『まぼろし』をはじめ、死を扱ったいくつかの作品をこれまでに観たが、それらは自分なりのくぎりのつけ方にわたしの想像を超えたものがあり、それがうれしくおもしろいところであったのだが、この作品にはそれがなかった。

あの旧式な人工授精シーンは、主人公がゲイだからか ? それにしても、あんなことしなくてもできそうなものだが……。

『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』

2008年06月21日 | Weblog
よい

吉田大八 監督
佐藤江梨子、佐津川愛美、永作博美、永瀬正敏、山本浩司、土佐信道、上田耕一、谷川昭一朗、吉本菜穂子、湯澤幸一郎、ノゾエ征爾、米村亮太朗 出演

両親の訃報を受け、音信不通だった澄伽が東京から戻る。家には、母の連れ子だった兄・宍道と結婚相談所の紹介で嫁いできた兄嫁・待子、内向的な妹・清深がいた。

ダークなコメディ。
真の主人公は妹役の佐津川愛美だが、内向的な性格という設定のためにそれほど目立たないのが惜しい。佐藤江梨子を含めみなの演技がよいが、ミョーにういている永作博美が特におもしろい。

田舎のどろどろしたところとそっけないところの取り上げ方は、『ゆれる』なんかよりもずっと真に迫っている。

『静かなる男』

2008年06月19日 | Weblog
ふつう

ジョン・フォード 監督
ジョン・ウェイン、モーリン・オハラ、ヴィクター・マクラグレン、ウォード・ボンド、フランシス・フォード、ミルドレッド・ナトウィック、バリー・フィッツジェラルド、メエ・マーシュ、アイリーン・クロウ、チャールズ・フィッツシモンズ、ショーン・マクローリー 出演

アメリカのプロ拳闘家だったシーン・ソーントン(ジョン・ウェイン)は平和な生活を望んで拳闘界から身をひき、故郷アイルランドの小村イニスフリーに帰って来た。彼は人手にわたった荒れ果てていた自分の生家ホワイト・オモーニン荘を金持ちの後家ティレーンから買いとり、静かに暮らそうと思ったのだが、この家は村の大地主で乱暴者レッド・ウィル・ダナハー(ヴィクター・マクラグレン)の地所の隣で、かねてからティレーンに思召しのあるレッドが買い取ろうとしていたところなので、ことは面倒になって来た。その上、シーンが村に着いた日、見染めた娘と恋仲になったが、これがレッドの妹メリー・ケイト(モーリン・オハラ)だったので、レッドはいよいよシーンに対して腹を立てた。

これを劇場で総天然色で観た人々の驚きは想像に難くないのだが、最後の夫婦喧嘩から兄弟喧嘩になる前の部分がどうにも長い(全体で129分)。

耐えて、耐えて、耐えて、最後に爆発 ! というパターンが好きな日本人には特に受けると思われるが(義兄までもがうまくいくハッピーエンドだし……)、ジョン・ウェインが気にしているのは嫁の態度だけであって、義兄のことも金のことも気にしてはいない。

周囲の人間の明るさと、警察・宗教公認での喧嘩シーンはよい。

『フレッシュ・ゴードン』

2008年06月17日 | Weblog
ふつう

マイケル・ベンヴェニスト、ハワード・ジーム 監督
ジェイソン・ウィリアムズ、スザンヌ・フィールズ、ジョン・ホイト、ジョセフ・ハギンズ、ウィリアム・ハント 出演

時は不況の時代。今こそ、スーパー・ヒーローが待望とされる時だった--。そんな頃、地球に怪光線がふりそそぐ。この光線をあびると、人々は色狂いと化し、理性が失なわれてしまうのだ。ゴードン教授(ジョン・ホイト)は、人々を集め会議をし、今、海外にアイスホッケーの試合で遠征している息子フレッシュ (ジェイソン・ウィリアムズ)を呼びもどす。

戦前のアメリカのコミック『フラッシュ・ゴードン』のポルノ版コメディ。『フラッシュ・ゴードン』も何度か映画化されている。

上記の解説は上品だが、中身はもっと下品でオールシモネタ(笑)。
さらにレズビアンの地下組織やホモのゲリラなども加わり、人間は敵の悪玉を除きすべて全裸か半裸。

ある種伝説的な作品だったので観たが、時間がたっているのは否めない。
今でも笑えるのは、妙に落ち着いた声の大魔神くらいか。この部分はストップ・モーションも使ってかなり頑張っている。

写真は宇宙ロケットだから(笑)。

『サンキュー・スモーキング』

2008年06月13日 | Weblog
よい

ジェイソン・ライトマン 監督
アーロン・エッカート、マリア・ベロ、デヴィッド・ケックナー、キャメロン・ブライト、ロブ・ロウ、アダム・ブロディ、サム・エリオット、ケイティ・ホームズ、ウィリアム・H・メイシー、J・K・シモンズ、ロバート・デュヴァル 出演

タバコ研究アカデミー所属のPRマン、ニック・ネイラーの使命は、得意の話術でタバコ業界への手厳しいバッシングをかわすこと。その巧みな論理のすり替えテクニックから「情報操作の王」と異名をとる彼の評判はすこぶる悪いが、一人息子のジョーイだけはそんな父親を尊敬していた。訴訟を未然に防ぎ、反タバコ法案を掲げる上院議員をやり込め、ハリウッドをも巻き込むあの手この手の戦略を展開するが、思わぬ落とし穴が待っていた…。

キレのあるコメディ。
この作品をみてわたしは嫌煙派だ、喫煙派だと言ってもまったく意味はないので、そーいうバカな勘違いはしないように。どちらかというと、タスポを導入したのにそのタスポを自動販売機にくくりつけているような、今の日本の状況を笑えるような人向けである。

テンポよくすすむので印象に残りにくいが、名作映画ののタバコシーンの改変はポイント。アメリカのアホらしさ、バカさ加減がこういうところに出ている。

嫌煙派の拉致シーンは素直に楽しめる。

ときどき字幕ではないテロップが出てくるが、これがあまり効果的ではないし、一ヶ所は日本語バージョンで確認しないと意味がわからなかった。

『ハリウッドランド』

2008年06月13日 | Weblog
ふつう

アレン・コールター 監督
エイドリアン・ブロディ、ダイアン・レイン、ベン・アフレック、ボブ・ホスキンス、ロイス・スミス、ロビン・タネイ 出演

1959年6月16日、TV版「スーパーマン」シリーズの主演俳優ジョージ・リーブスが殺害された。私立探偵ルイス・シモは事件の真相を追う過程で、映画会社の重役の美貌の夫人とジョージとの情熱的な恋や、ジョージの秘められたコンプレックスなどを次々と暴いていく。事件解決は時間の問題と思われた。しかし、彼はまだ知らなかったのだ。ハリウッドにおいて《真実》と《正義》を求めることがいかに困難で危険なことかを……。

ひょっとしたらハード・ボイルドの大傑作になりえたかもしれない作品。
ハリウッドという異常な世界、その中で生きていく個人の孤独と苦悩、そこあたりはきちっと描かれていて好感がもてる。細部にこだわり、ガムをかむ探偵などの主人公像もよい。

しかし、犯人探しの部分があいまいなのと無駄に長いところが足をひく。

いちどは観てもいい作品。

『西の魔女が死んだ』

2008年06月05日 | Weblog
ふつう

長崎俊一 監督
サチ・パーカー、高橋真悠、りょう、大森南朋、高橋克実、木村祐一 出演

中学生になったばかりのまいは学校へ行くのが嫌になり、ママの提案でおばあちゃんのもとでひと夏を過ごすことになる。魔女の血筋を引くというおばあちゃんの暮らしは自給自足。野菜やハーブを育て、昔ながらの知恵を活かしながらの生活は、まいにとって新鮮に感じられた。課された“魔女修行”は、早寝早起き、食事をしっかり摂り規則正しい生活をするというもの。そんな暮らしは、やがてまいの心にも変化を起こさせるのだった…。

yahooのオンライン試写会で観た。
イギリスの田園風景のような美しさを日本に求めようとしたのはわかるが、都会の人間の幻想とあこがれをミックスしたありえない田舎にも見える。

演技で合格点をとれるのが木村祐一くらいしかいなくて、ほとんどサチ・パーカーと高橋真悠のふたり芝居になってしまうのもつらい。

エンディングはよかったが、半日で行けるところに結局2年も訪れなかったのかこの家族は……、という描かれなかったところに対する不満がつのる。

都会に住んでいて、エコ・バッグをいくつももち「ロハス」や「癒し」を信じてハーブ・ティーを飲んでいるような女性にはおすすめ(笑)。いじめなどによって切実に疎外感を感じている小中学生がこれを見ることでなにかが変わるとは思えない。

『チャーリー・ウィルソンズ・ウォー』

2008年06月02日 | Weblog
よい

マイク・ニコルズ 監督
トム・ハンクス、ジュリア・ロバーツ、フィリップ・シーモア・ホフマン、エイミー・アダムス、ネッド・ビーティ、オム・プリ、エミリー・ブラント、ケン・ストット、ジョン・スラッテリー、デニス・オヘア、ジャド・タイラー、ピーター・ゲレッティ、ブライアン・マーキンソン、クリストファー・デナム、トレイシー・フィリップス、ウィン・エヴァレット、メアリー・ボナー・ベイカー、レイチェル・ニコルズ、シリ・アップルビー 出演

下院議員チャーリーは、酒と女が好きなお気楽政治家。しかし、その内面では、平和を愛するゆるぎない心を持ち、ソ連の攻撃に苦しむアフガニスタンを常に気にしていた。国防歳出小委員会がアフガニスタン支援に500万ドルしか用意していない事を知ると、委員会のメンバーである彼は、予算を倍にするよう指示する。そこに、テキサスで6番目の富豪で、反共産主義者のジョアンが目をつけ、アフガニスタンを救うよう彼に訴える。

アメリカの歴史に詳しくない人にも楽しめる史実に基づいたコメディ。きれいなおねえちゃんはいっぱいでてくるし、イスラエルを承認していないパキスタンとイスラエルが協力してアフガンゲリラを援助するなんていうとんでもないこともでてくる。
そして最後にしくじったために、話は9・11にまでつながっているのだ。

冷戦時代にホットな戦争を避けるためにソ連製の武器で援助という話は理解できるのだが、ハインド(ソ連の攻撃ヘリ)を撃ち落としていたのはスティンガー(アメリカ性携行対空ミサイル)ではないか? この経緯はよくわからなかった。

『アレックス・ライダー』

2008年06月01日 | Weblog
ふつう

ジェフリー・サックス 監督
アレックス・ペティファー、ユアン・マクレガー、ミッキー・ローク、ビル・ナイ、ミッシー・パイル、アリシア・シルヴァーストーン、サラ・ボルジャー、アンディ・サーキス、ダミアン・ルイス、ソフィー・オコネドー、ロビー・コルトレーン、スティーヴン・フライ、アシュリー・ウォルターズ、リチャード・ハウ 出演

地味な銀行員の伯父イアン・ライダーと一緒に住む、ごく普通の高校生アレックス・ライダー。しかしイアンの死をきっかけに彼を取り巻く状況は一変。実はイアンは英国諜報機関MI6の二重諜報員で、アレックスに趣味と称してスパイ技能を習得させていたのだ。MI6のミスター・ブラントにスパイに強制的に就任させられたアレックスは、早速陰謀を企んでいるといわれるIT企業の社長ダリアス・セイルへの元へと潜入するが……。

ユアン・マクレガーの部分とアレックス・ペティファーのロープアクションのところまではよかったのだが、そのあとがつづかない。
おこちゃま向けのスパイアクションになってしまうのだ。同じ子ども向けならば『スパイキッズ 』シリーズのほうが楽しめる。