映画日記(ためし)

映画の印象を、悪い、ふつう、よい、の三段階で表現したいと思います。
コメントのところをクリックするとコメントできます。

『メル・ブルックス 珍説世界史 PART 1』

2010年12月29日 | Weblog
よい

メル・ブルックス 監督・製作・脚本
メル・ブルックス、ドム・デルイーズ、マデリーン・カーン、グレゴリー・ハインズ、ロン・ケアリー、シド・シーザー、パメラ・スティーヴンソン、メアリー=マーガレット・ヒュームズ 出演

舞台は紀元前3000年に人類が二本足で立ち上がる時代から、石器時代、旧約聖書、ローマ帝国、スペイン異端審問を経てフランス革命まで、歴史上の名場面を徹底的にパロディ化し、荒唐無稽な珍説が展開されていく。
ストーリーはアマゾンより
http://amzn.to/eocjKb



短くて(92分)バカでスケベなコメディ。
あとに残らないところがすばらしい。

ユダヤ人としての執念深さは失っていないようだ。

『キャデラック・レコード』

2010年12月29日 | Weblog
よい

ダーネル・マーティン 監督・脚本
エイドリアン・ブロディ、ジェフリー・ライト、ビヨンセ・ノウルズ、コロンバス・ショート、モス・デフ、エマニュエル・シュリーキー、セドリック・ジ・エンターテイナー、ガブリエル・ユニオン、イーモン・ウォーカー 出演

1947年、シカゴ。ポーランド系移民の若き野心家レナード・チェスの経営するクラブでは黒人ミュージシャンたちがライブ演奏を行っていた。その中の一人、ギタリストのマディ・ウォーターズは陽気なハーモニカ奏者リトル・ウォルターと組んだ新しいバンド・スタイルで評判を呼んでいた。チェスはさっそくマディにレコーディングの話を持ちかける。
ストーリーはオールシネマより
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=333966#1



ロックの起源概論的な作品。

レコードがメインの時代にいとこがマディ・ウォーターズのレコードを持っていて、こんど聞かせてくれと頼んでいたら、いとこの友人がそのレコードを借りたまま行方不明になった(笑)という懐かしい記憶を思い出した。

ロックの歴史に詳しい人だと不満な点があるかもしれないが、素人が観ても楽しめるいいバランスの作品だと思う。

リトル・ウォルター役のコロンバス・ショートがよかった。

『ダーティハリー4』

2010年12月21日 | Weblog
ふつう

クリント・イーストウッド 製作・監督
クリント・イーストウッド、ソンドラ・ロック、パット・ヒングル、ブラッドフォード・ディルマン、ポール・ドレイク、ジャック・チボー、アルバート・ポップウェル、オードリー・J・ニーナン 出演

乱暴な捜査を重ねた結果、北カリフォルニア沿岸の港町サン・パウロヘの出張を命じられるハリー・キャラハン刑事。サンフランシスコで起きている連続殺人事件の犠牲者の一人が、この町の出身であったからだが、意外なことにここでも同様の手口による殺人事件が起きていることを知る。
ストーリーはオールシネマより
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=13487#1



ウィキペディアによるとシリーズ最大のヒットとのことだが、かなりの異色作。
約30年前の作品(1983年)だということを考慮しても、ユニークである。
善悪が混沌としている映画の草分け的な存在ではないか。

シーンとシーンとのつながりが唐突すぎて、わかりにくいところが複数ある。

悪人が悪人として観客に認められる表現が遅すぎて、前半にあまり意味がない(笑)。

ハリーの相棒らしい(?)ホレスも出てこなくてもよさそうであった。

犬がいい味出している。

『空気人形』

2010年12月19日 | Weblog
よい

是枝裕和 監督・脚本
ペ・ドゥナ、ARATA、板尾創路、高橋昌也、余貴美子、岩松了、星野真里、丸山智己、奈良木未羽、柄本佑、寺島進、オダギリジョー、富司純子 出演

川沿いの古びたアパート。ファミレスで働く冴えない中年男、秀雄が優しく語りかけている相手は、空気人形のラブドール。ある朝、その空気人形が心を持ってしまう。
ストーリーはオールシネマより
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=333252#1



もしかしたら、若くて魅力的で演技力があって裸になれる女優、というのが今の日本にはほとんどいないのではないかと思ってしまった。

ラブドールのファンタジーという着想はすばらしいのだが、この監督は小説をあまり読んでいない人のような脚本が多い。物語として収束していないのだ。

好きな人の息が体内にはいるという女性が喜ぶシーンもあれば、男でもひくようなグロテスクな表現もあった。

高橋昌也が高橋昌也だとはじめ気づかなかった。

『マッハ!』

2010年12月17日 | Weblog
よい

プラッチャヤー・ピンゲーオ 監督
トニー・ジャー、ペットターイ・ウォンカムラオ、プマワーリー・ヨートガモン、スチャオ・ポンウィライ、チェータウット・ワチャラクン、ルンラウィー・バリジンダークン、ワンナキット・シリプット 出演

仏教とムエタイの国、タイ。敬虔な仏教徒たちが暮らすのどかな田舎の村ノンプラドゥ。ある日、村の信仰の象徴である仏像“オンバク”の首が切り落とされ、盗まれてしまう。犯人は、コム・タン率いるバンコクの密輸団と手を組むこの村出身のドンと判明。以来、村人たちは悲嘆に暮れ、災いの到来に怯える日々。そこで村の長老たちは、孤児のティンに“オンバク”の首の奪還を要請した。彼は僧侶プラ・クルに師事し、古式ムエタイを極めた最強の戦士。村の切実な希望を託されたティンは、さっそくドンの捜索にバンコクへと向かうのだが……。
ストーリーはオールシネマより
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=320367



アジア系の作品はあまり観ないのだが、評判がよいので観てみた。
あいもかわらずストーリーはどうでもいいし、のめりこむこともできないのだが、痛みを感じるアクションと、三輪タクシー・トゥクトゥクのカーアクションがとてもすばらしい。

基本的にワイヤーを使うかどうか、CGを使うかどうかなんてことは観る側にとってはどうでもいいのだ、それによっておもしろくなれば成功だし、ちゃちになれば失敗であるということなのよ。CGの技術なんてまだまだ未発達・ちゃちだとわたしは思っているし。

人間の限界のようなアクションを二回も三回も違うアングルで見せるやり方はもうどうかとも思うが、トゥクトゥクの連続横転シーンやそのあとなど、素直に感動するシーンも多かった。

同監督の『チョコレート・ファイター』の記事
http://blog.goo.ne.jp/jm131/e/f81a7fdad3a45dba76fa3ba920e65423

『ノルウェイの森』

2010年12月15日 | Weblog
よい

トラン・アン・ユン 監督・脚本
松山ケンイチ、菊地凛子、水原希子、高良健吾、霧島れいか、初音映莉子、柄本時生、糸井重里、細野晴臣、高橋幸宏、玉山鉄二 出演

唯一の親友・キズキを突然の自殺で失ったワタナベは、悲しみから立ち直れないまま東京の大学で学生生活をスタートさせる。ある日、ワタナベはキズキの恋人・直子と偶然の再会を果たす。同じ喪失感を共有する2人は次第に惹かれ合っていくが、2人の関係が深まるにつれ、直子は心のバランスを崩してしまい、ついには京都の療養所に入院することに。直子と会うことも叶わないワタナベの前に、直子とは対照的に若者らしい明るさと生命力に満ちた緑が現われる。積極的な緑との交流を持ちながらも直子の状態が心配でならないワタナベ。そんな中、ようやく直子との面会が許され、京都へと向かうワタナベだったが……。
ストーリーはオールシネマより
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=336172#1



ひさしぶりにしっかりとした邦画の作品を観た。

わたしがエンディングを見間違えている可能性もあるが、17歳のときに受けた呪縛が解けるきっかけが20か21歳で、実際に解けるまでにパラボラアンテナの時代までかかったということだろう。

役者の選択と使い方がすばらしい。菊地凛子と高橋幸宏以外誰が演じているのかあまり意識せずに(わからずに、ともいうが)観ることができた。これは、この人にはこの役柄という日本的な固定観念が働いていないからこそできたのではないか。

また、原作の村上春樹はこことは違うどこか・別世界を描くことが多いと思うが、この映画作品の中でも日本に似たどこか・別世界の創出に成功している。特に雪山。雪山といえばすぐにヘリを飛ばして俯瞰で回り込みながら撮るしか能がないバカとは違い、下から見上げながら寂寞として重みのある風景を切り取っている。撮影(マーク・リー・ピンビン)もすばらしい。

演技の能力の関係もあるかもしれないが、ワナタベと直子の描写に比重がかかりすぎているような気もする。

この作品の紹介によく、ふたりの女性の間で揺れ動く……、みたいな表現があるが、まったく違う。ワタナベは揺れてはいない。作品を観ればわかる。

『マイレージ、マイライフ』

2010年12月14日 | Weblog
よい

ジェイソン・ライトマン 監督
ジョージ・クルーニー、ヴェラ・ファーミガ、アナ・ケンドリック、ジェイソン・ベイトマン、ダニー・マクブライド、メラニー・リンスキー、エイミー・モートン、J・K・シモンズ 出演

企業のリストラ対象者に解雇を通告する“リストラ宣告人”の仕事で年間322日間も出張しているライアン・ビンガム。自らの講演でも謳っている“バックパックに入らない人生の荷物はいっさい背負わない”をモットーに人間関係も仕事もあっさりと淡泊にこなし、結婚願望も持たず家族とも距離を置いたまま、ただマイレージを1000万マイル貯めることが目下の人生目標となっていた。だがそんな彼も、2人の女性と出会ったことで人生の転機が訪れる。
ストーリーはオールシネマより
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=335381



話のつながりが案外へたくそだが(いくらなんでも企業のパーティーから一気にボートへは跳び過ぎである)、おもしろかった。

リアルで悲惨な内容かと思っていたが、フィクションのおちついたいい話であった。

冒頭で冷徹に首を斬りまくるジョージ・クルーニーの描写があって、アナ・ケンドリックといっしょに各地をまわるようになってから急に相手を思いやるような態度になるのが、うまくつながっていない。

ジョージ・クルーニーとヴェラ・ファーミガとの恋愛はおおむね想定内なのだが(笑)、家族の結婚式や男の出身高校に連れて行かれたら、ちゃんとしたオトナの女性だったら展開を予想して予防線を張るのがマナーってやつじゃないか?

『処刑人Ⅱ』

2010年12月10日 | Weblog
ふつう

トロイ・ダフィー 監督・脚本
ショーン・パトリック・フラナリー、ノーマン・リーダス、クリフトン・コリンズ・Jr、ジュリー・ベンツ、ジャド・ネルソン、ボブ・マーリー、ブライアン・マホーニー、デヴィッド・フェリー、デヴィッド・デラ・ロッコ、ピーター・フォンダ、ビリー・コノリー 出演

コナーとマーフィーのマクマナス兄弟とその父ノアの3人が、イタリアン・マフィアのボス、ジョー・ヤカベッタを処刑してから8年。逃亡先のアイルランドでひっそりと暮らしていた彼らのもとに、兄弟のよく知るボストンの神父が殺害されたとの報せが入る。それは、何者かによる兄弟への挑発的なメッセージだった。さっそくボストンへと向かった兄弟。実は、彼らをおびき寄せたのは、ボストンでの勢力を回復させたヤカベッタ・ファミリーのボスにして、かつて兄弟が処刑したジョー・ヤカベッタの息子コンセイシオだったのだが……。
ストーリーはオールシネマより
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=336255





残念ながら、最初の『処刑人』と比べてテンポが悪い(笑)! そして残念ながら、ウィレム・デフォーが活躍しない!
彼の後継者としてジュリー・ベンツが出てくるのだが、彼女では力不足だし、余計な演出もあった。なんだあの音楽を聞きながら体を揺するのは? 前作を見直して、もっと陶酔させろ。

それと、お父さんがアメリカに来た理由がわからない。なにか新しい情報を得たからか、それとも神のお告げがあったからなのか(笑)。

とってつけたような敵も作品にうまく馴染んでいない。

ブルーレイの特典映像のおまけで、監督と出演者がアメリカのコミコンに登場してファンと交流する映像が一時間くらいあったが、前作がどれだけカルト的な人気があったのかがわかって好印象であった。監督が大人の事情を話すのも興味深い。

前作『処刑人』のわたしの記事
http://blog.goo.ne.jp/jm131/e/1f1e6ccc1753033089ff783723ab43ce

『バッド・ルーテナント』

2010年12月08日 | Weblog
よい

ヴェルナー・ヘルツォーク 監督
ニコラス・ケイジ、エヴァ・メンデス、ヴァル・キルマー、アルヴィン・“イグジビット”・ジョイナー、フェアルーザ・バーク、ショーン・ハトシー、ジェニファー・クーリッジ 出演

ハリケーン・カトリーナの直撃で荒廃したニューオーリンズ。浸水した刑務所から逃げ遅れた囚人を助け出す英雄的行為で表彰され、“警部補(ルーテナント)”に昇格した刑事テレンス・マクドノー。しかし、救出の際に負傷した腰の痛みのためドラッグが手放せなくなってしまう。愛人の高級娼婦フランキーと2人でドラッグに興じ、元来の賭博癖にも歯止めが掛からなくなっていくテレンス。さらには町のゴロツキを銃で脅してドラッグをくすね、警察の押収品にまで手を出す始末。そんな中、セネガルからの不法移民家族5人が殺害される事件が発生、その捜査の陣頭指揮を任されるテレンスだったが……。
ストーリーはオールシネマより
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=335584#1



ニコラス・ケイジ!
ぶっ壊れたニコラス・ケイジが返ってきた! 

殺人事件なんてどうでもいいのだ(笑)。ニコラス・ケイジの壊れゆく個人の世界を、笑いながら楽しめる心の余裕と才能がある人だけが楽しめる作品なのだ。

さすがアメリカ映画、こんな作品でもエンディングはああいうふうにしてしまうとは……(笑)。

ワニ、イグアナ、犬と、動物が出てくるところは笑ってもいいところである。

二発撃てのシーンがよかった。

『月に囚われた男』

2010年12月07日 | Weblog
よい

ダンカン・ジョーンズ 監督
サム・ロックウェル、ドミニク・マケリゴット、カヤ・スコデラーリオ、ベネディクト・ウォン、マット・ベリー、マルコム・スチュワート 声の出演 ケヴィン・スペイシー

地球に不可欠なエネルギー源を採掘するという3年契約の仕事に従事するため、たったひとりで月へと旅立った宇宙飛行士が、あるアクシデントを境に不可解な現象の数々に苛まれていくさまをサスペンスフルに描いたSFミステリー。
ストーリーはオールシネマより
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=335732



音楽のセンスがいいなぁと最初思っていたら、基地のデザインもかっちょいい。展開もいい。おもしろい。

97分の中で、こちらの予想を裏切られるところがいくつかある。どれもいい意味でのことだが、そのうちのいくつかは新鮮ですらあった。

特にコンピュータのガーティの存在感がすばらしい。

ブルーレイのおまけの同じ監督の『WHISTLE』という20分くらいの短編もかなりよかった。

『サンセット大通り』

2010年12月01日 | Weblog
よい

ビリー・ワイルダー 監督
グロリア・スワンソン、ウィリアム・ホールデン、エリッヒ・フォン・シュトロハイム、ナンシー・オルソン、フレッド・クラーク、ジャック・ウェッブ、ロイド・ガフ、ヘッダ・ホッパー、バスター・キートン、セシル・B・デミル、H・B・ワーナー、レイ・エヴァンス、ジェイ・リヴィングストーン 出演

ある日、借金取りに追われていた売れない脚本家のジョーは、サンセット大通りに建つ一軒の寂れた邸宅に逃げ込む。そこは、サイレント映画時代の伝説的女優ノーマ・デズモンドの住まいだった。そして、かつての栄光を取り戻すべく銀幕への復帰を目指す彼女は、ジョーに主演作品の脚本を住み込みで執筆させることに。寝食にありつけるとあってこの依頼を引き受けたジョー。しかし、仕事はおろか私生活まで束縛され、ノーマへの不満が募っていく。やがて、ノーマが未だ復帰の機会を得られない中、同じ脚本畑のベティに癒しを求めていくジョーだったが……。
ストーリーはオールシネマより
http://www.allcinema.net/prog/show_c.php?num_c=9281#1



デヴィッド・リンチをより深く理解するために観た。
デヴィッド・リンチよりはるかにわかりやすく、おもしろかった(笑)。

デジタルコンテンツの勝利というか、DVDの映像特典がかなりいい。
ブリッジをするむかしの仲間のひとりがバスター・キートンだなんて気づかなかった。

シニカルで自嘲的な作品。もっと陰湿なものかと思っていたが、ナンシー・オルソンのおかげで目を覆うほどではない。