映画日記(ためし)

映画の印象を、悪い、ふつう、よい、の三段階で表現したいと思います。
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『どろろ』

2007年02月28日 | Weblog
どろろ - goo 映画
よい

塩田明彦 監督
妻夫木聡、柴咲コウ、瑛太、杉本哲太、土屋アンナ、麻生久美子、劇団ひとり、中村嘉葎雄、原田芳雄、原田美枝子、中井貴一 出演

魔物に肉体を奪われた武将の子どもが、成長し肉体を取り戻していく話。

東宝の伝統で妙なミュージカルシーンがあるが、それがいきなり出てきて嬉しかった。黒澤映画、モスラにもあるやつだ。

長すぎる割には、土屋アンナのエピソードが原作と違っていたような気がする。あれはもっと奥深い話だったような気がする。またこの部分のCG、おわりの石投げシーンはひどい。手抜きだ。

粒子の粗さはなんのためだろうか? CGとなじみやすくするためか? とにかくあれが演出だとは認められない。

無国籍調にしたのはいいアイデアだ。柴咲コウの演技がうまい。コミカルな部分もよい。特に返り血。

『キンキーブーツ』

2007年02月26日 | Weblog
キンキーブーツ - goo 映画
よい

ジュリアン・ジャロルド 監督
ジョエル・エドガートン、キウェテル・イジョフォー、サラ=ジェーン・ポッツ、ジェミマ・ルーパー、リンダ・バセット、ニック・フロスト、ユアン・フーパー、ロバート・パフ 出演

父親の急死で零細靴工場を受け継いだ弱気な息子が、偶然知り合ったドラッグクィーンの協力のもと、生き残りをかけて奮闘するコメディ。
爆笑するところは少ないが、解雇シーンなどのテンポと音楽がいい。

イギリスでもけっこうおかまはたいへんなのだとわかった(笑)。
なんかかなり多そうなイメージを持っていたのだが。

主人公とサラ=ジェーン・ポッツとの関係の描き方がうまい。
露骨なドラッグクィーンと対照的な匂わせ方になっている。

実際の工場は規模縮小したらしいが、実話に基づいた映画だそうだ。

『16ブロック』

2007年02月26日 | Weblog
16ブロック - goo 映画
ふつう

リチャード・ドナー 監督
ブルース・ウィリス、モス・デフ、デヴィッド・モース、ジェナ・スターン、ケイシー・サンダー、シルク・コザート、デヴィッド・ザヤス、コンラッド・プラ 出演

アル中の刑事が証人護送の任務を急遽受けるが、それがとんでもないことになる。

とても惜しい。ブルース・ウィリス、モス・デフ、デヴィッド・モースとハマリ役の魅力的なキャラクターを三人も作り出しているのに、それらがどれも活かされていない。描きこみ不足。

逃げる場面が中心になるのだが、それもいまひとつ物足りない。

以下ネタバレ





ああいう終わり方をするのであれば、さっさとモス・デフを逃がせばいいのだ。大騒ぎしすぎなのだ。DVDで観ると映像特典でもうひとつのエンディングがあるが、そちらのほうがよいような気もする。

『トランスアメリカ』

2007年02月25日 | Weblog
トランスアメリカ - goo 映画
よい

ダンカン・タッカー 監督
フェリシティ・ハフマン、ケヴィン・ゼガーズ、フィオヌラ・フラナガン、エリザベス・ペーニャ、グレアム・グリーン、バート・ヤング、キャリー・プレストン 出演

性同一性障害で性転換手術を間近に控えた男性が、ほんとに男性だったときにできた子どもと出会う。

最後がハッピーエンド(言いたいことをいい、お互いに認めているのだから、あれはハッピーエンドだ)で、とちゅうもつっこみが足りないところはあるのだが、よい。
きれいごとのアメリカとリアルのアメリカがうまく描写されている。フェリシティ・ハフマン(女性)が複雑な男性役を好演。主人公の妹役のキャリー・プレストンもよい。

『ファイヤーウォール』

2007年02月20日 | Weblog
ファイヤーウォール - goo 映画
ふつう

リチャード・ロンクレイン 監督
ハリソン・フォード、ポール・ベタニー、ヴァージニア・マドセン、メアリー・リン・ライスカブ、ロバート・パトリック、ロバート・フォスター 出演

家族を人質に取られたコンピュータ・セキュリティの専門家と強盗集団の知略を駆使した攻防をスリリングに描いて……いないのだ、これが。

まず、会社の自分のパソコンが乗っ取られているシーンがある。優秀そうなコンピュータ・セキュリティの専門家なのに。そしてそれほど優秀な敵なのかというと、そう見えないのだ。
次に、ひと段落ついたら主人公のコンピュータ能力を駆使して逆襲がはじまるかと思いきや、まったくはじまらない。無謀な追跡が始まるだけ。なぜ追跡できるようになった時点で警察に届けずに、追い詰めてから警察を呼ぼうとするのか?
まるで脚本が途中で変更されたかのように、前半と後半のつながりが悪い。
敵側は人質たちをどのように処理するのかの作戦を立ててはいるが、なぜあの場所に行ったのかわからない。
そして最後の戦い。敵のキャラクター・人数の強調が足りないために、怖さが減じている。
もちろん最初から見直せば人数の確認くらい簡単なのだが、見る気はない。

テンポがいいのと、時間が短いのがとりえ。

『美しき運命の傷痕』

2007年02月18日 | Weblog
美しき運命の傷痕 - goo 映画
よい

ダニス・タノヴィッチ 監督
エマニュエル・ベアール、カリン・ヴィアール、マリー・ジラン、キャロル・ブーケ、ジャック・ペラン、ジャック・ガンブラン、ジャン・ロシュフォール、ミキ・マノイロヴィッチ、ギョーム・カネ 出演

ポーランドの巨匠クシシュトフ・キエシロフスキの遺稿を『ノー・マンズ・ランド』で鮮烈なデビューを飾った新鋭ダニス・タノヴィッチ監督が映画化。

過去に家庭で悲劇を味わった三姉妹が成長し、それぞれの人生の中で過去の悲劇の影響(反復)が見えてくる。長女は夫の浮気、次女は親の介護と孤独、三女は不倫で悩んでいる。

ダニス・タノヴィッチ監督のすごいところは、前作『ノー・マンズ・ランド』でもそうだったが、どんなに悲劇的な状況でも喜劇を忘れない。この作品の中でもユーモラスな表現がいくつもある。いきなりの詩の朗読はなんだったのだ? あれは誰でも愛のくさい告白だと思ってしまう。車掌さんもいい。

飽きることはないが、前半は人間関係を把握するのに手間取り、後半になって一気にミステリアスなストーリーが明らかになってくる。冒頭の象徴的な託卵シーンの直後が理解できたのは、おわりになってからだった。

映像も美しい。この監督も螺旋階段が好きなようだ。

オフィシャル・サイト

http://www.utsukushiki.jp/

『サイレントヒル』

2007年02月17日 | Weblog
サイレントヒル - goo 映画
ふつう

クリストフ・ガンズ 監督
ラダ・ミッチェル、ショーン・ビーン、ローリー・ホールデン、デボラ・カーラ・アンガー、キム・コーツ、ターニャ・アレン、アリス・クリーグ、ジョデル・フェルランド 出演

医者でも治せない夢遊病の娘が「サイレントヒル」ということばをつぶやき、それが実在する町の名前だとわかった主人公が娘を連れて訪れる、という恐怖映画。

この監督の『ジェヴォーダンの獣』が大好きなので観た。
映像美、というか映像醜はすごいところもあるが、ストーリーがさっぱりわからない。あの灰、サイレン、世界の入れ替わりの意味は? 説明なし?
もちろん説明なしの恐怖映画もあるが、成功している作品の構造はもっとシンプルなものだ。ゲームが原作だからって、プレイしていない人にも説明は必要だろう。
最後に旦那のいいシーンがあるが、その他のところは余計。削ったほうがいい。

『アルタード・ステーツ 未知への挑戦』

2007年02月16日 | Weblog
アルタード・ステーツ 未知への挑戦 - goo 映画
よい

ケン・ラッセル 監督
ウィリアム・ハート、ブレア・ブラウン、アーサー・ローゼンバーグ、メイソン・バリッシ、ボブ・バラバン、ドリュー・バリモア 出演

これについては書いたつもりだったが、どうやら書いていないようだ。
人間の記憶には古来からの歴史がすべて刻まれていると主張する学者が、アイソレーションタンクを使ってその人類の歴史を引き出そうとする話。

1980年前後に、未知の感覚を表現しようとした映画があった。
これもそうだし、『ブレインストーム』では死後の世界を表現しようとしていた。これらをまとめてドラッグムービーというらしい。
当時のSFXではタカが知れているが、がんばっているほうだ。
映画の中ではインディアンの秘薬をタンクと同時に使うことによって、過去に遡行しようとしていたが、これは当時のLSDなどのドラッグ文化の影響もある。
それらの社会情勢に興味がある人は、ここを参考にするといいだろう。
SF映画選

http://www.pcs.ne.jp/~yu/sf/altered.html

『亀は意外と速く泳ぐ』

2007年02月14日 | Weblog
亀は意外と速く泳ぐ - goo 映画
ふつう

三木聡 監督

上野樹里、蒼井優、岩松了、ふせえり、要潤、松重豊、村松利史、森下能幸、緋田康人、温水洋一、松岡俊介、水橋研二、岡本信人、嶋田久作、伊武雅刀 出演

ふつうの主婦がスパイ募集に応募したことから始まる脱力系コメディ。

上質なスケッチかコントの連続という印象だが、それらをまとめて一本の作品として考えるとものたりない。
豪華な出演者の中でも特に要潤のところがよい。自力スロー(わからない人はDVDの映像特典を参照のこと)もいいが、伸縮するテーブルがよかった。
上野樹里のふつうであることのテスト、蒼井優の抽選シーンもよい。

『グエムル -漢江の怪物-』

2007年02月13日 | Weblog
グエムル -漢江の怪物- - goo 映画
よい

ポン・ジュノ 監督
ソン・ガンホ、ピョン・ヒボン、パク・ヘイル、ペ・ドゥナ、コ・アソン、イ・ジェウン 出演

『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』と同様、オッサン向け怪獣映画。
しかし、こちらはそれにダメ家族団結、国内(韓国)問題、コメディ要素がうまくミックスされ、より完成度が高くなっている。

ダメおやじの娘が怪物に奪われ、軍はそれを信じず、一家で団結して娘を取り戻そうとする。

主人公のダメさが強調されているが、妹は行動のテンポが悪く金メダルを取り逃し、弟は知人にだまされかけ、怪物にとどめをさしそこねる。マヌケな家族なのだ。主人公の父親(写真右)はしっかりしていて家族を認めまとめているが、不幸で笑える最期をむかえる。

売店あらしのふたりがつけたしのように見えた。
韓国映画には偏見があって、あまり好みではないのだが、この監督の『殺人の追憶』は観たくなった。

『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』

2007年02月12日 | Weblog
ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟 - goo 映画
よい

小中和哉 監督
五十嵐隼士、黒部進、森次晃嗣、団時朗、郷秀樹、高峰圭二、いとうあいこ、田中碧海、堀内正美、山田まりや、アメリカザリガニ、布川敏和、田中実、風見しんご 出演

オッサン世代をかなり意識したウルトラマン映画。
CGと実写がやはり融合できていないとか、変身・出現シーンがむかしと違ってみんな顔が上を向きすぎているとかあるが、それでも往年のフィルムが流れたりすると、おぉ~~! と感動してしまう。
どうせなら、ウルトラの父とか母とか長老とかいとことかはとことか義理の息子の兄嫁とか全員出して、登場シーンだけで30分とかしてほしかった(一部ウソあり)。これもエンディングクレジットに工夫あり。オッサン喜ぶ。

『X-MEN:ファイナル ディシジョン』

2007年02月12日 | Weblog
よい

ブレット・ラトナー 監督
ヒュー・ジャックマン、ハル・ベリー、パトリック・スチュワート、ジェームズ・マースデン、ベン・フォスター、ファムケ・ヤンセン 出演

映画版第三弾。特殊能力を持ったミュータントたちが人間側と反人間側に別れて戦う。今回はミュータント能力をなくす薬が開発されたことを中心に、新たなミュータントも加わる。
監督が代わったことにより、物語の深さ(神秘性)よりもわかりやすさが優先され、おもしろさがアップしている。
ジーンの設定(生き返ることと、二重人格でものすごい力を持っていること)とウルヴァリンの誕生の秘密が置き去りにされたことに不満はあるが、ど派手で楽しいアクションになっている。面白い。
シリーズ物のエンディングは工夫が必要だというのがわかる。

『ロスト・ストーリー』

2007年02月11日 | Weblog
よい

マーク・パランスキー、トア・スタッパー、デボラ=リー・ファーネス、イレーナ・ダグラス、コリン・スペクター、アンドリュー・アプトン、ウィリアム・ガルシア 監督


ヒュー・ジャックマン、ケイト・ブランシェット、ポール・ベタニー、ジョシュ・ハートネット、キーラ・ナイトレイ、イレーナ・ダグラス、ダリル・ハンナ、ジェフ・ゴールドブラム 出演

七話からなるオムニバス。出演者が豪華。
それぞれにストーリー的な関連はないが、それぞれがおもしろかった。
デヴィッド・リンチ風または、リドリー&トニー・スコット風のもので始まり(これがまた無言劇なのよ)、コメディありで楽しい。一発ネタもあるので、事前情報は少なめに。
スーパーマーケットのやつとケイト・ブランシェットの出てくるやつが特におもしろかった。
情報に間違いがあるようだが、ネタバレなしでここが一番詳しく説明しているようだ。

http://moviessearch.yahoo.co.jp/detail/tydv/id472500/cid325178/

『ファイナル・カット』

2007年02月10日 | Weblog
ファイナル・カット - goo 映画
ふつう

オマー・ナイーム 監督
ロビン・ウィリアムズ、ミラ・ソルヴィーノ、ジム・カヴィーゼル、ミミ・カジク

人間の記憶を記録できるゾーイ・チップ。金持ちはこのチップを使い、葬式のときにメモリアル上映会として故人の美しい記憶を観ることができるのだ。
主人公はそのゾーイ・チップの記録を編集する腕利きの編集人で、あるときゾーイ・チップを生産する会社の弁護士の記録を編集するよう依頼される……。

脚本が未成熟。いいアイデアがたくさんあるのに、それを観ている者が満足できるレベルにまでもっていっていない。

以下ネタバレ







ふたつの大きなプロットがある。
子どものときに友人を死なせた記憶の真偽、弁護士の記録の扱い。
これがとてもへたくそに描かれているために、不満がたまるのだ。
だいたい、記録阻害イレズミを入れたあとで自分の記録を見ても、それが確かなのかどうかもわからないはず。それを100%信じてほっとするなんて、納得できない。

『マリー・アントワネット』

2007年02月07日 | Weblog
マリー・アントワネット - goo 映画
ふつう

ソフィア・コッポラ 監督
キルスティン・ダンスト、ジェイソン・シュワルツマン、リップ・トーン、ジュディ・デイヴィス、アーシア・アルジェント、マリアンヌ・フェイスフル、ジェイミー・ドーナン 出演

マリー・アントワネットの結婚からを描いた作品。
胸に訴えてくるようなドラマはないが、西洋版『大奥』と考えればこんなものだろう。ベルサイユを使えたということがよくも悪くも影響しているのかもしれない。
アメリカ独立のためにかなり金を使った、ということが強調されていた。

ヘアスタイルも含め、かなり史実に忠実ではないかと思われる。
キルスティン・ダンストはスパイダーマンの100倍くらい魅力的ではあった。
ソフィア・コッポラには期待しているので、話題作の次は名作をお願いしたい。