この美しい物語も、わたしたちの仲間が書いたものです。人間を本当の幸いに導くためには、何でもやってやりたいという、その天使のすきとおるほど美しい心が深く現れています。
けれども、この天使の本当の使命は、児童文学作家になることではありませんでした。文学作家のようなおとなしい仕事よりも、彼はみんなと共に活発に活動して正しい社会をこの世に創っていくということのほうが好きな人でした。「ポラーノの広場」のように。
しかしバックの霊界からあらゆる馬鹿の攻撃を受け、彼は本当の使命を果たすことができなくなり、その純真な心が辛うじて生きて行くことのできる、詩や児童文学の世界に、自分の魂を逃がしたのです。
アンデルセンもそうですが、自分の使命がまっすぐに果たせないとわかった天使は、よく子供の文学に活路を見いだそうとします。宮沢賢治もまたそうだったのです。
結局賢治は自分の使命を果たすことはできず、三十七年の短い生涯を終えました。しかし彼の熱い思いは、彼の書いた物語の中に残っている。人間を幸せにしてやりたい。そのためには、なんだってしてやりたい。
人間は、彼の書いた物語を大切にしなければなりません。それは、アンデルセンの物語がかのじょの人生を導いたように、彼の物語もまた、だれかの人生を導き、それが人間の本当の幸いの道へとつながるかもしれないからです。
ファンタジー文学は、今この世界で天使の心が辛うじて生きて行ける分野です。かのじょもまた、それによって使命を果たそうとしました。若い頃から表現力を学び、たくさんの詩文や物語を書いてくれました。
かのじょの美しい物語もまた、未来の友の人生を導く光になるかもしれません。いいえ、なるに違いなのです。