世界はキラキラおもちゃ箱・第3館

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エンジェリスム礼賛

2017-08-29 04:16:42 | 黄昏美術館


アネリア・パブロバ

原題不明


オーストラリアの画家らしい。実に美しいというか、かわいらしいが風である。女流でもこういう表現をあきらかに前に出し、芸術家として活動した例は少ないだろう。

デフォルメされた個性的な天使の姿はまるで透き通るようだ。愛の夢を歌う歌が聞こえてきそうだ。

天使といえば、人間はこういう世界を想像するものだろうというものである。

20世紀の芸術は、美を破壊し分解することに労を尽くした。破壊してしまいたいほど、自分がつらかったからだ。だから醜いものや奇妙なものを描き続け、それが芸術だということにしてきたのである。

そこを突き抜けて、こういうものが出てきたというのがおもしろい。ただただ甘く美しい世界だ。だが人間はこのような絵に、甘露の水を見出すのである。

そして、美しさというものに飢えていた自分の心を見出すのだ。

シュルレアリスムやダダの芸術を見ながら、人間の心は実は傷付き続けていたのである。所詮人間は馬鹿な者なのだと、芸術が叫び続けていたからだ。

だがこの絵には、まだはるかに遠い声でありながら、もう人間は愛してもいいのだという、神の声が聞こえるのである。





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