くまのビーディーくんは、ときどき、カタンととまり、コロンと仰向けにひっくり返るんだよ。
ビーディーくんはセイヤーくんという男の子が持っているおもちゃのくまなの。
いっぱい遊んでぜんまいがもどると、カタン、コロンするんだけど、
すぐに、セイヤーくんがていねいにねじを巻いてくれるんだって。
ある日、お家の人たちがみんなで出かけてしまったので、本を読んでいたら、「くま ほらあなにすむゆうかんなどうぶつ」って書いてあったの。
でね、望遠鏡で見つけた丘の上のほら穴に出かけていくの。
ほら穴についたよ~。
ほら穴の中にはなんにもなくて、ここで暮らすのに必要なものを、お家までいろいろ取りに行くんだ、何往復もしたんだよ。
でも、まだなにかが足りないって考えていると、表で大きな音がしたの、そろりそろりと入口のほうに進んでいくと、音はますます大きくなったんだって。
突然、カタン、コロン!
セイヤーくんがねじを巻く鍵を持ってビーディくんを探しに来てくれたんだけど、このときのふたりのお話、
「いやになっちゃうなあ、ビーディー。きみはねじをまかなくちゃだめだってことわかんないのかい? そして、そのねじをまくぼくが、いなければさ!」
「わかってるよ。だけど、それなら、セイヤーくんはだれがいなくちゃだめなの?」
「きまってるじゃないか。きみだよ、ビーディー!」
でね、ふたりはお家に帰っていくの。
ほんとうの話、その晩、うちのベッドに入ったときのビーディーくんくらいしあわせなくまはほかにはいなかったんだって。